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見守る保育(保育アーカイブ)

落ち着いてきたからこそ見えてくる子どもの心情

2019/06/27

巻頭言(園だより7月号)
■季節は夏へ、まっしぐら
   開園してから3ヶ月、季節は春から夏へと場面転換しています。6月初めの保育参観では、園生活に慣れた子どもたちの様子を見ていただきましたが、その後も、子どもたちの生活はどんどん進展しており、意欲的な生活が展開されています。5月から出かけるようになった外遊びや園外活動はますます増えてきました。最近は乳児は晴れていると、ほぼ毎日のように散歩に出かけています。また幼児では、近隣の公園への散歩の他に、バス遠足を6月は3回(明日28日も含めると4回)実施できました。クラス便りにもあるように、乳児も幼児も子ども同士の関係も深まってきて、それと併せて、自分でやろうとする意欲や自立心、あるいは相手の気持ちや考えも理解しようとする姿勢も見られるようになってきました。この間の成長は本当に目に見張るものがあります。
■ジュースの沈殿物
 その一方で、落ち着いてきたからこそ、見えてくる「その子らしさ」という側面も強くあります。新しい友達や先生との関係がひと段落すると、仲良しの友達ができたり、先生との関係も深まったりと、通い合う気持ちの質が濃くなってきているようです。例えていうなら、コップに注がれた搾りたてのジュースが最初は鮮やかな単色だったのに、時間が経つと何かがコップの底に沈殿して分離します。沈殿したものは、果汁本来の姿を見せてくれているようなものです。「私の本当の気持ち」、「僕のいつもと変わらない気持ち」といった心情が、甘えやこだわりなどの形で露わになってきています。
■24時間の生活の連続性

そこで改めて考えておきたいのは、子どもたちだけが家庭での生活と、保育園での生活の両方を経験しているということです。2つの生活経験が24時間の1日の中でミックスされます。その両方を経験しているのは子どもたちだけなので、子ども自身の力だけではコントロールできない、伸び代の大きな生活力というものがあって、親御さんや私たち園の職員が、バランスをとっていってあげることが必要です。

■昼間の疲れを取るためにしっかり休む
 私たちは家庭での生活ではできない活動を保育園で思いっきり体験させてあげたいと思っています。夏の水遊びやプール遊びも始まります。これまで以上に活動量が増えて、エネルギーの消耗も激しくなるかもしれません。園での活動で疲れていたら、家庭でゆっくりと休ませてあげてください。このことは、毎月の献立表の1番右端に「朝食や夕食で左記の材料を取り入れるとより栄養のバランスが良くなります」と書いてあるように、家庭と園とでお互いに補うことで、子どものより良い成長を促すことができるでしょう。体調を崩したらしっかりと休んで、十分に元気になってから登園させてください。結果的にお仕事の休みも短くなるはずです。
■3ヵ月アンケートに協力を
この3ヶ月間の園生活をどのように受け止めてくださっているか、アンケート用紙を配布しますので、率直な感想をお寄せください。保護者の皆さんと私たち職員が同じ方向を向いたパートナーシップを強めながら、ご一緒に子どもたちの成長を支えていきたいと思います。頑張っている職員を応援してくださると嬉しいです。よろしくお願いします。

木場公園での「ゾーン選択」

2019/06/19

■見通しをもつ姿がたくさん

にこにこ組は2回目、わらす組は4回目となる木場公園へのバス遠足でした。バスも道路も公園も、見覚えのあるモノや空間や風景なのでしょう、「あそこはこんなところ」「もうすぐこうなる」「こんなことをやってみたい」といった『見通しを持つ』という姿が、たくさん見られた遠足になりました。同じ場所に繰り返し通うことで、体験が深まっていくプロセスがよくわかります。一人ひとりやりたいことや楽しみ方が、明確な輪郭を持ち始めました。
■自分なりに、やりたい遊び
そのような成長の姿は、公園に着く前のバスの中で既に見られました。小林先生が「公園に着いたらみんな、どんなことをやってみたいですか?  こんなことやってみたいなぁ、こうやって遊びたいなぁ、そういうのありますか?」と聞くと、あちこちから元気よく「はい、はい、はい、はい」と手が挙がり、マイクを向けると「虫かごを持って虫を集めたい」「サッカーと虫探し」「蝶々を捕まえて持って帰りたい」「ゲーム」「ボール投げ」などと、自分なりの言葉でたくさん表現してくれました。
■公園でも「ゾーン選択」
公園に着いてしばらく走り回ったりした後、「虫探しグループ」6人が花壇やビオトープのある方へ遊びに行きました。その活動内容は、ホームページのクラス別ブログをご覧ください。これは公園の中での「ゾーン選択」です。やってみたいことを自然と広げていく保育の展開のことを、保育士の専門性としては「環境の再構成」と言うのですが、そのポイントは、子どもの興味や関心の延長線上に環境を再構成することです。これを就学前教育で大切にしている遊びによる経験カリキュラムと呼びます。
■学校の学習も興味や関心を深める学びへ大転換を図る予定
それとは反対に、子どもの興味や関心の延長線上ではなく、その繋がりをあまり気にしないで大人が体験させたい活動を、時間割通りにやる勉強が学校の教科カリキュラムです。ただし2020年度からは、学校も子どもの興味や関心に基づくアクティブラーニング=『主体的・対話的な深い学び』に大転換を図ることになっています。
■好きな遊びに熱中して
モンシロチョウやモンキチョウ、アゲハチョウが飛んでくると、サッカーやボール投げも一旦中断し、チョウを追いかけて走ったり先生を呼んだりしています。今日もまた、子どもたちのためにつかまってくれたチョウたちに感謝です。
この3月までいた保育園で、ドッチボールをやっていたと言う男の子は、当たらないように逃げるのが得意で、ボールを受け取ったり、投げ返したりする事は、今回私とのあいだで楽しむことを覚えました。
原っぱに座り込んで、シロツメクサを集め小さな花束を作ったり、それを材料にして、ままごとを始める数人のグループもあります。お皿は大きな葉っぱ、小枝がお箸やスプーンです。ズボンのポケットに木の実や小石をいっぱいため込んでいる子もいます。
にこにこ組の子どもたちも、好きな方に歩いたり走ったり、アリを見つけて立ち止まったり、虫かごに入っているチョウやバッタをじっと見つめたりしています。小枝や木の実を見せに来てくれたり、その子なりに感じたことや気づいたことを、私たちと共有しようとしてくれています。
■子どもたちの主体的、対話的な深い学びへ
バスの中や公園や地域にまでその保育「環境」を広げていく上で、子どもたちが興味や関心に基づく見通しを持ち「何々をやりたい」という意欲をもつことは「主体的な学び」の必要条件です。サークルになって話し合ったり、園に帰ってきて振り返ったりする「対話的な学び」も深い学びにとっては、必要不可欠です。
バス遠足が、子どものやりたい遊びの発展形として定着していきそうです。公園の中には、保育園などに貸しているサツマイモ畑もありました。その活用方法も、検討してみたいと思います。

尊敬すべきママたちの毎日

2019/06/17

■「わかってほしい」ママの毎日

これまで数多くの家族と接してきた経験から、ママたちの本音は以下のような感じだと思っています。決してこれが、平均的な姿であると言うわけではありませんが、部分的には当てはまるところがあるんじゃないかなーと思っています。圧倒的に、尊敬すべきママたちの毎日をみんなで共有しておきたいと思っています。
(先に断っておきますが、以下に出てくる「ママ」は、パパでもババでもジジでも好きなように置き換えてください)
■熱が出ようものなら大変
ママはとにかく忙しい。やることが山ほどあって、毎日が時間との戦いです。誰よりも朝は早く起きて朝ごはんや弁当を作り、なかなか起きない子どもをなんとか起こし、トイレに行かせたりオムツを替えたり着替えさせたり。子どもがまだボーッとしている間に、体温を測っておく。もし、ここで熱があったものなら大変!「えっ、今日もまた、代わりに頼まないといけない。この前、代わってもらったばっかりなのに」と慌て、と同時に、その日の予定はガラリと変わってしまう。「どうしよう。今日は水曜日、かかりつけの病院も休みだし」「あー、もう有休が5日しかない。9月まで持たないなぁ」などと考えている間もなく、朝の時計は容赦なく進んで行く。「ねぇ、お願いだから、泣かないで!」。
■保育園に着くまでが大仕事
子どもは元気で熱もない。朝食はあまりゆっくりは、出来ないから、パパッとできるものにしているけど、子どもの食べるのはゆっくりだから、その間にママはお化粧と出かける準備を済ませておく。やっと子どもが「ご馳走さま」で、ここまでに、朝のウンチの習慣は出来てないし、正直その余裕がないなぁ。せめて「靴を自分から履こうとしてくれれば、ママ、助かるんだけどなぁ」。 こうして、やっと保育園までたどり着いたぁ。
■これからが私の本職なんだけど
昼間は職場で「苗字」で働いているのに、保育園では「◯◯ちゃんのママ」になる。最初は違和感を覚えてたけど、今となってはもう慣れた。今日の私の仕事の頑張りを、聞いてもらえるパートナー。その存在のあるとないとでは大違い。私のアイデンティティは妻、母だけじゃない、プロとしての職業人としての私の方が私らしいと思うとこが多いのになぁ。専業主婦じゃなくて、仕事と子育ての両方がんばっているママ友が欲しい。
■夕方からがまた、時間との競争
保育園のお迎えと買い物、晩御飯を作り食べさせたら、お風呂にも入れて、日によっては掃除や洗濯をしながら、子どもの相手をしたり、寝るときに絵本を読んであげたり。子どもが、なかなか寝付いてくれないと、やろうと思っていたことが出来ずに、それはそれで「どうしよう!」となってしまう。早寝早起きが良いことぐらいわかってるんだけど、あんまりプレッシャーかけないでほしいなぁ。
■一人でいる自分の時間を持ちたい
子どもが寝た後に見る連続ドラマ。1日の中で最も贅沢な時間。人には言っちゃっいけないと思ってしまう密かな楽しみ。最後にお風呂に入って、ゆっくり熟睡したいけど、夜子どもが泣いて起きてくる。夜の授乳や夜泣きの対応も結局ママがやるしかない。爆睡中のパパを起こすなんてできないし。みんなどうやって、子育てしてるんだろう。追い詰められている、私がいる。お願い誰か気づいて欲しい。
・・・ルルルルル。目覚まし時計が鳴った。また朝がやってきた。
(写真は文章とは関係ありません)

木場公園が園庭と思えた瞬間

2019/06/12

■3回目の木場公園
木場公園へのバス遠足も今日で3回目になります。先週7日よりも、たっぷりと遊んできました。今日は道路もあまり混んでおらず、信号待ちも少なくて約20分で木場公園に着きました。わらす組の子たちにとっても見覚えのある景色が増えてきて、両国橋を渡るとき今日はスカイツリーが見えました。
■小林先生はホスピタリティのお手本
「わぁ、すごいなぁ、わぁ、珍しいなぁ」と、子どもの好奇心に訴えて、場を盛り上げたい、サービス旺盛な小林バスガイド。私が個人的に面白かったのがこの場面。流石の小林バスガイドの説明も3回目にして、はやくもネタ切れ?のはずもなく、わざと向かいからすれ違うただの普通のバスでも「あー、すごいね、あのバスみんな見えるかな、『回送』って書いてあるよ、わぁ、珍しいなぁ」と、時間稼ぎにでたトークに対して、海の「海草」と勘違いした子がいてくれて、子どもが笑いに落としてくれました。小林バスガイドを救ってくれたT君、ありがとう。
■子どもは乗り物が大好き
しかし、小林バスガイドの本領発揮の場面がやってきました。「ピーポーピーポー」とサイレンを鳴らして走り去った特殊車両が通ってくれた時でした。「とても珍しい車が走っていったね。パトカーでも、救急車でも、消防車でもない車でした。なんだと思う?」私も「!?」と引き込まれてしまいました。
「今のはね、血液ってみんなわかるかなぁ、人は体の中に血液が流れてるんだけど、動物もそうなんだけどね、その血液を急いで運ぶ自動車だったんだよ」
その車の正式な名称は「献血運搬車」でした。そして自然な流れとして、「はたらくくるま」の歌が口ずさまれます。
「♫働く、くるーまー、
♫ケンケツウンパンシャ!」
■はらっぱの引力を再確認
昨日まで雨が降っていた公園なので、土の表面がつるんと光っているところは「滑りやすいから気をつけて」といった程度の注意確認の話もそこそこに、広い原っぱに散り散りに飛び出して行きました。まずは大抵の子たちが走り出します。こんなに広いところは、隅々まで走り回らないともったいないとでも身体が感じ取るのでしょうか。面白いですね、虫かごを持っていても走っています。
サッカーが好きな子は、ほとんどの時間を友だちや先生を相手にボールを蹴って走り回っていました。虫がいそうな場所を探し回っているこもいます。公園に着くなり、最初に子供たちの群がりができたのは、大きな銀杏の木の根元に見つけた大きなミミズでした。鳥についばまれていたのか、ほぼ絶命状態でしたが、子どもたちは恐る恐る、興味深げに見入っています。
■モンシロチョウを追って
遊んだ時間も長かった上、かなり走り回わることになったのは、モンシロチョウのおかげです。ヒラヒラと舞い回わるモンシロチョウを捕まえてたくて、「あ、あっち、ちょうちょ、いた!」と追いかけます。モンシロチョウがこんな速いとは思っていませんでした。自分たちでは捕まらないと悟ったのか、見つけるたびに「先生!」と叫ぶようになっていた子どもたちでした。5、6匹は捕まえたでしょうか。小林先生と坪井先生の走行距離もかなり伸びました。次回は万歩計をつけてもらいましょう。
(「あとは、自分たちで、やってやって」とモンシロチョウを捕まえた網を子どもたちに任せる坪井先生と、それを見守る小林先生と古野先生)
■「いざこざ」が自然に包まれる
チョウが捕まるたびに虫取り網に、子どもたちが群がります。虫かごの中は子ともたちの宝物に変わり、それを誰が持つか、宝物の争奪戦も同時に勃発します。このようないざこざも、何度も続くと、狭い室内だったら大人もイライラしてしまうでしょう。ところがこのように大自然の真下で、自分の欲求をぶつけ合う姿を見ていると、怪我をしない限りは、どんどん気持ちをぶつけあったほうがいいんだろうなぁと、思えてきます。子ども同士の関係は、大自然に包まれて初めて育まれていくのかもしれません。
「さっき捕まえたのは紋白蝶だね、これは紋黄蝶って、書いてあるね。同じ仲間だけど、羽の色が黄色いのが紋黄蝶で今日捕まえたのは紋白蝶だね。」
■身についていたルール
水筒を置いているブルーシートの周りに鳩が寄ってきたときも、ずいぶんと長い間、鳩との鬼ごっこが続いていました。
鳩がサイクリング道路側へ逃げても、子どもたちは、そちらまで追いかけて行く事はありません。原っぱの中にとどまると言うルールを、きちんと守ることができていました。安心して見守ることができます。公園は何組も保育園の子どもたちが来ていて、目印としての緑の帽子が役立ちました。
走り回ってくたびれると、木陰に置かれた木枠の台に座ったり、立ち上がってアイドルのように体を揺らして歌う真似っこをする子もいました。
■園庭にいた感じを思い出す
最初にここに来た時、外に出てしまう子はいないかと、監視するかのように子どもの数を何度も数えていた緊張感に比べたら、今日は長閑です。園庭にいる時の安心感を思い出しました。こうなってきて初めて、子どもの傍らで一緒に生活している感じがしてきます。今回は、自然と「ですます調」で書いていることに気づきました。これが、ハラハラすることがなかった証拠かもしれません。
■帰路の車中も和やかに
いっぱい体を動かした後で、下町の玉子焼き屋さんや、たい焼き屋さんの前に赤信号で止まると、お店の人が手を振ってくれます。なんだ、妙に嬉しいですね。

研修会の講義を終えて

2019/06/02

6月1日
■保育士向けキャリアアップ研修会
幼児教育の意義と保育内容について、昨日1日、島根県江津市の先生たちに話してきました。午前中2時間、午後3時間でしたが、始める前は長いなぁと思った5時間も、実際にやってみると足りなくなってしまいました。新しくなった保育所保育指針の改定内容を、本当によく納得するには、その前提となっている考え方や枠組みも理解しておく必要があるからです。
■日常感覚でとらえる言葉に一度は置き換える
例えば、「心情・意欲・態度を育て、学びに向かう力、人間性等」という目標概念が新しくできたのですが、これをきちんと説明しきるだけでも、1時間ぐらいかかるからです。これを作った「学識経験者」たちは、日本の学校教育(幼児教育から後期中等教育まで )全体に、辻褄が合うように一貫性のある体系化を試みました。なるほど、だからそうなったのか、と受け止めるためには、ある程度の時間が必要です。しかも、どうしてそのようになっているのかを、私たちの日常的な感覚に結びつけて納得してもらうためには、わかりやすい例えや、具体的な実践事例を通して、頭の中につながりを作っていく必要がありました。
■日本語を英語や対立語でとらえる
今週1週間のニュースダイジェストを見ていたら、新しい元号の令和を、トランプ大統領は演説の中でビューティフル・ハーモニーと、使っていました。これは外務省が公式に令和をそう訳したからでしたね。
よく知っている日本語の言葉であっても、それを英語にしてみたり、反対の意味や対となる言葉を並べてみると、新しい語感や意味を感じるときがあります。昨日の講義のなかでも、いくつかありました。少し、紹介します。
■道徳の英語は・・
例えば、教育には「道徳」と言う言葉がよく出てきます。英語で言えばセンス・オブ・モラリティーです。「あー、倫理感の事なんだなぁ」と一度、シンプルな意味から組み立て直した方が、自分の言葉で考えやすくなります。
「自立」と言う言葉も教育や子育ての中で大切な概念ですが、英語で言えばインデペンデント、反対言葉は「依存」ディペンデントです。
日本語では同じジリツという発音になる「自律」の方は、セルフコントロール(自己コントロール)あるいは、オートノミーですから、いちど英語にしてみると「自立」とはかなり距離のある概念だということがわかってきます。反対は「他律」で英語はペテロノミーとなります。
■自分からやるか、言われてやるか
自分で自分のことができることと、やってもらったり言われてできる事は、結果は同じように見えても育ちの視点から見れば、大きな差があることに気づきます。自律で、できるようになっていくのか、それとも他律でできるようになっていくのか。主体的に生きるためには、自律的に自立することが先なんですが、その育ちの過程では、いま自立している大人の人も、例外なく依存と他律の時期が幼児期にはあったことになります。
■「ひきこもり」の反対は自発性
精神的な自立、社会的な自立、経済的な自立、それらを混同してしまって、一言で「ひきこもり」と言ってしまう日本語の粗雑さに、もっと敏感でありたいと思うニュースが溢れてしまいました。
ひきこもりの英語は、ソーシャル・ウィズドローです。withdrawalの反対語は発達心理学的に考えれば、自発性や自主性です。これも就学前の幼児期に獲得する発達課題といえます。社会的事件には常に当事者たちの教育成果が何割か含まれています。それを相関関係があったかなかったかまで、要因分析する事は難しいのですが、人の一般的な心の発達原理を再確認することはできます。
■私たちの判断の元となる言葉も再吟味
的確な判断に至るには、それを私たちが無意識に使っている概念(言葉)について、自ら吟味しながら考え直すことも必要です。それは日本保育学会に参加したときの日記にも書きました。
昨日は、このような概念整理をしながら、一つ一つ、幼児教育の目的、目標、ねらい及び内容について、その根拠となっている法令まで遡り、そして子どもを理解するために、新しく導入された枠組み(乳児の3つの視点、幼児の10の姿)と、従来からある教育の5領域の関係や繋がりを、再確認しました。決して楽しいとは言えないテーマですが、私たち保育士が日本で働くからには、避けて通ることができないものです。
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