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見守る保育(保育アーカイブ)

心の世界が広がるという意味

2019/07/30

人の心が発達するというのは、心の通いあいが豊かになること、そして関わりの中でそれぞれの「世界」を広げているんだなぁと、実感します。身長、体重、身体機能など体の成長も大事ですが、外からは見えにくい「心」の健康や発達は、その子が住んでいる精神的な世界、社会的な世界そのものですから、その「世界」が豊かになることは、素晴らしいことです。
◆気持ちのキャッチボール

毎日の「世界の広がり」は、気づけないほど、ちょっとずつです。そのちょっとずつの変化を、園のクラスブログが紹介しています。とても面白いです。

例えば7月27日の「キャッチボール」。13ヶ月のRちゃんが5ヶ月Mちゃんの頭を「いい子いい子」とやさしくなでてあげると、されたMちゃんが、きっと嬉しかったのでしょう、いい子いい子してくれたRちゃんの右手を触っていたそうです。
5ヶ月のMちゃんはこう思ったのではないでしょうか。「なでなでしてくれて、気持ちいいよ」と。だから「そう、この手だよ、気持ちよくしてくれたのは」とでも伝えたいかのようです。
Rちゃんの方も、自分の手を触り返されるのですから、自分で働きかけた相手からの反応にまた、何かの関興を覚えたに違いないのです。
◆情感のこもったやりとり
まだ、明確な感情の分化はこれからという時期に、このような情感の発生と交流が起きていることが、ものすごく意義深いことなのです。どうしてかというと5ヶ月の赤ちゃんがとった反応は誰かに教えてもらったことではありません。心地好さを生じさせた「手」に自分の手を伸ばすこと(リーチングすること)は、手をうごかしている「相手」の意図を感じ、それを確かめているのかようです。不思議な事ですが、そうして「相手」との関わりの中で自分を作り上げていく、まさに二者関係の中の自分作り、そのプロセスを私たちは目の前で目撃しているのです。
◆言葉を獲得した指差しの意味
7月27日の「友だちたくさん」では、14ヶ月のYちゃんが、写真絵本のお友達の顔を見て、本物のお友達を指差します。
はっきりと三項関係が成立していて、自分とお友達の間に表象としての写真が介在していて、その関係(二つは同じ)を指し示していることになります。その表象に「Rくん」という発語が伴ったときが言葉の獲得ではありません。すでにYちゃんは表象としての「Rくん」をしっかりとイメージしており、内面世界では言葉を獲得しているのです。言葉は表象の一つだからです。この関係世界の広がりが、人間らしい社会性の基盤を象っているのです。

【巻頭言】皆さんからの言葉を受けとめながら

2019/07/29

私にとても大切な宝物ができました。

皆さんから頂いたアンケートの「言葉」です。毎日忙しく働いていらっしゃるにも関わらず、園からのアンケートに心を込めてご返事をくださり、本当に感謝です。一枚一枚にお子さんへの愛情を感じながら、そこに込めて頂いた思いをこぼさず受け止めようと、熟読しました。また職員全員で回覧して読み込みました。

実はうちの法人はあまりアンケートを取りません。なぜかというと「家族でアンケートなんか取らないでしょ」ということです。満足度調査などのアンケートを取ることは、人間関係を消費社会の役割を演じる関係に位置づけてしまう力が働きます。サービスを提供する人とそれを享受する人という関係です。しかし保育コミュニティの形成は、その次元を超えていく必要があるのです。本当に伝えたいことや大切にしていることは、一緒に生活していると、いい意味で以心伝心、いいも悪いもわかり合うことになるからです。夏目漱石ではありませんが、言いたいことも言っても角が立たない、情に流されることもない、でもそういう信頼関係というか、家族のようなありようが、現代社会には必要なのです。お互いに性格やタイプがわかり合うまでは、コミュニケーションを潤滑にするためにも、メッセージ性の強いアンケートを取らせていただきました。そうはいっても改善すべきことは改善するPDCAはしっかり回します。

とても嬉しい言葉をたくさんいただきましたが、その中で、こんな一文と出会いました。

「担任の先生はもちろんですが、全ての先生が子どものことをよく把握して下さって安心しております。お友達を含めて大きな一つの家族のようだと感じております。保育園生活が始まってから子どもの目覚ましい成長を目の当たりにし、先生方と共に子育てしていけることが、私自身の仕事を続けていくモチベーションになっております」

現代社会は核家族や三歳児神話にみられるように、人類史上、過去にやったことのない子育てスタイルに追い込まれています。生物学的な親だけが子育てを担うということは、一度も経験したことがありません。いわば壮大な子育て実験が行われていて、その中で保育園がそれぞれの家庭の「第二の家族」「大きなお家」の役割を期待されています。それは託児という商業的サービスの延長にあるものではなく、人と人が信頼し合うことの延長にあります。

そのためのアンケートです。心を通わせる手段としてのアンケート。ですから、私どもへ伝えたい、こうであってほしい、でも直接的に言うとトゲが立つしという配慮を感じる文面もありました。ありがたく、また心して行間を受け止めさせていただきました。

私ども保育園に与えられた資源(予算と人材)の中で、できる限りのことに挑戦しますので今後も楽しい園生活の創造にお力をお貸しくださいますようお願いします。(園だより8月号より)

ちっちゃな指が伝えてくれる気持ち

2019/07/12

子どもといると人生が豊かになります。どの子からも、それぞれ「何が大事か」ということを感じさせてくれるからです。面白いことに、今日はいろんな「指」で、それを伝えてくれました。

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Hちゃんは、蛹になろうとしている動かないアオムシのアタマを、そっと優しく撫でようとする人差し指で。
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Rくんは、絵本の「パンダ銭湯」から帰るとき右耳の後ろだけパンダワックスを塗り忘れたパパに「ここ」って教えてくれる人差し指で。
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Yちゃんは、水筒の蓋は「こうやって開くの」とボタンの押し方を教えてくれる親指で。
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Hくんは、昼食を食べた後で一緒に行こうと3階への方に向ける人差し指で。
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Rちゃんは、「そっち」じゃなくて「こっち」と読んでほしい絵本を開き、お尻大使がここに「いた!」と確かめる人差し指で。
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Kくんは、水のなかにゆっくりと落ちていくお魚の餌を「雪」といって教えてくれる人差し指で。
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Kくんは、指を開いたらそこにダンゴムシをつまんでいた親指と人差し指で。
・・・こんなにたくさんの「大事なこと」が、子どもたちの指にはくっついていました。ちっちゃな指の、ちっちゃなキラキラした気持ちです。

日本赤ちゃん学会に参加する

2019/07/07

 
今日7日に学んだこと。共感と同感は違うこと。子どもは「共感」する力を持って生まれてくること。 子どもたちが出会っている世界の素晴らしさを一緒に本当に実感をもらって「共感」出来ているか。子どもがなんだろう?どうしてだろう?と興味を持っていることに、一緒になって探ろうとするような生活をしたい。その子どもたちが持つ共感する力を壊さないためにも、過剰な指示や教え込みは控える方がよいこと。過剰に適応させると共感することができなくなること。反対に大人の方が子どもに「共感」してもらっていることにも一杯起きていること。こんなことについて、エピソードを通じて考えることができた一日でした。場所は広尾で開かれた「日本赤ちゃん学会」でした。
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