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2020年 10月

わくわくユリイカ!(STEM保育)うく?しずむ?

2020/10/30

明日31日のハロウィーンを前に、かぼちゃを使った科学実験をわいらんすい(3〜5歳)の子どもたちと楽しみました。題して「うく?しずむ?」です。

使った材料は、実験をした順番に並べると(写真)バナナ、にんじん、きゅうり、まつぼっくり(乾燥したもの、濡れたもの)、かき、たまねぎ、かぼちゃのおもちゃ、ピーマン、みかん、さつまいも、トマト ミニトマト、りんご、卵、かぼちゃです。

1つずつ「うくかな?しずむかな?」と尋ねながら、水槽にそっと入れていきます。やっていて楽しかったのは、その理由についての子どもの発想です。

一番最初に取り上げたバナナですが、3本がつながったままだったのですが、うきました。すると「しむず」に手をあげていた年長のJくんが「(うくのは)きっと曲がっているからだよ」というのです。「お、面白い考えが出たぞ」と思い、みんなに「今、聞いた。Jくんはとても面白いことを言ったよ。曲がっているから浮いだんだ、って」。

できるだけ、起きている現象についての理由について、子どもの「考え=仮説」を大事にしながら進めました。曲がっていないバナナがなかったので、仕方がないので、形のにている人参やきゅうりをやってみることにしました。

表にしながら、「浮いた!」「沈んだ!」を楽しんだのですが、大人も意外だったのがトマトは浮いて、ミニトマトは沈んだ時でした。

最後にかぼちゃをやったんですが、流石にそのずっしりとした大きさからか、「しずむ」に手をあげた子どもたちが多かったのですが、実際は浮きました。最後に、私がちょっと捻った問題を出してみました。「じゃあ、浮いたかぼちゃに、沈んださつまいもを乗せたらどうなるだろう」をやってみたのです。ガムテープでくくりつけて、そ〜っと浮かべると、水の中で「クルリ」とひっくり返りました。

その様子をみて喜んでいた子どもたちでしたが、その中から、わいわい組のHくんが、自分ならもっと上手にやれる、ひっくり返らないように浮かべることができる、というのでやってもらいました。静かにそっと水面に浮かべようとしていました。彼はやり方によっては、ひっくり返らずに、かぼちゃの上にさつまいもが乗るだろう、という仮説を持っているのです。

実験が終わった後、ちょうど千代田区から部長さんと課長さんが視察に来られたのですが、実験をしたことを説明してい時、すいすいのAくんが、かぼちゃ+さつまいもがひっくり返って浮いたことについて、「さつまいもが沈んだでしょ、だから重い方が下にクルって、なったんだよ」という考えを披露してくれました。同行していた区の教育部長が驚いていました。

 

ちなみにAくんは「どうやったらひっくり返らないように、さつまいもを載せることができるか、他の浮いたものを使ってできないか」を探求しています。

伝承遊び「あやとり」

2020/10/27

10月から始まった「伝承遊び」のうち、3歳児クラスのわいわい組の子どもたちから「やってえ〜」とか「見てて〜」と声をかけられると、あやとりの「ほうき」だったり「東京タワー」だったり。かなりのブームになっています。あやとりは手指を1つずつ動かすので、指のいい運動になります。

https://asoppa.com/asopparecipe/4189208 ホームページ「あそっぱ」より

それまでに「トントントントンひげじいさん」とか「グーチョキパーで何作ろう」とか、いろんな手遊びを楽しんできた子どもたち。その子たちが今度は中指だけを動かしたり、親指と薬指で摘むように糸を引いたりといった「指技」ができるようになってきたのです。私たち保育者は、こうした指先を使った遊びを「微細運動」と言ったりします。その反対は全身を使った運動で「粗大運動」と呼んだりしますが、微細と粗大を対比させる分類は、それこそ粗雑な分類のように思えます。

あやとりは、このように「運動」でありながら、つながった一本の「ひも」が色々な形を作ることができる幾何学遊びと捉えることもできます。また友達と交互に糸を指で取り合い、色々な立体図形を作り続ける造形遊びにもなっています。わいわい組のKくんは「ほうき」の最後の方で、左手の人差し指と中指と薬指の3本の指を紐の間に差し込んで、紐を手の甲の方へ裏返すようにするのですが、そこがどうしてもできなくて、地団駄を踏んでいます。

同じわいわい組のSくんが、そのやり方を根気強く教えてあげていました。こんなに「やりたい」「できるようになりたい」という強い気持ちがあれば「人生何とかなるよ」と心で太鼓判を押してあげました。たかがあやとり、されどあやとり。決して侮れない伝承遊びです。

月見で「見ているもの」「感じるもの」

2020/10/26

「お月様はお顔みたいだね」とその子は言いました。やっぱり、こんな感想を持つ子が可愛いと思ってしまいます。科学の視点でお月様を見るよりも、私たちはファンタジーに包まれたままでいたい。お月様にはウサギがお餅をついているねと、そんな絵本の世界のままにしておきたいと思う自分がいます。

数分もすると、望遠鏡の○の中から月は見えなくなります。大人はその事実を理解するために「地球が自転している」ことを思う浮かべます。子どもは月が東から南へ昇っていく(移動している)ことに、どのように気づくのでしょうか。月の形が変わっているのは、大抵の子どもは気づいているのですが、時と共に東から西へ夜空も動いていることを、子どもはどのように知るのでしょう?

紛れもなく見えているものは、かなり遠くの風景です。地球から月までの距離は38万キロもあります。時速200キロの新幹線だったら80日もかかります。秒速30万キロの光なら1秒とちょっとです。つまり、目に見えるお月様は1秒前の姿を見ているのですが、そんな遠くの景色を地球上で見ることができるでしょうか? 地上でいくら遠くを見ても、地球は丸いので、その先は見えません。私たちは、こんなに遠くのものを見ることは「月」ぐらいしかないのです。そのことに私たちはあまり気付いてもいません。

見ているその光は太陽光の反射なので、太陽まで遡ると8分以上前に発せられた光が私たちの目に届いていることになります。月は地球との引力で引っ張られながら、1秒間に1キロの猛スピードで地球を回っています。こんなに早く動いているものを眺めていることにも、気付いていません。そんなに早く動いているのに、それでも地球を一周するのに一月もかかるのですから、その宇宙フィールドのなんと大きいことでしょう。

大人になると、こんな話に「ユリイカ!」を感じるのですが、3歳や5歳の子どもが望遠鏡の中のお月様を見ることで何を思うのだろうと、そっちの方に興味があって、どんな感想を漏らすんだろうと、そばでピントを合わせてあげていました。科学的に何かを知ることが、いつだって何よりも大事だと主張するつもりはありません。私たちは生理的な感覚(五感)をさえ超えて、第六感や第七感を夢見る想像力も失いたくもないからです。

望遠鏡で月を眺めながら、何を見るかは自由でありながら、その自由であることの難しさもありますねと、月が物語っているようでもありました。

STEM保育は「ユリイカ」〜いい季節を逃さずに〜

2020/10/25

◆10月も最終週へ

親子運動遊びの会が終わりましたが、体を動かし、外遊びをするにはとってもいい季節です。散歩に行ったり、バスで浜町公園へ行ったり、戸外活動を楽しむ予定です。

◆10月から科学遊び(STEM保育)も

第1回は「やじろべー」で「あ、立った!」の瞬間を楽しんでいます。

支点の軸が長いと立たないで傾きます。

軸を短くすると真っ直ぐに立ちます。

子どもたちはその過程を体験しながら、やじろべえを作りました。これは「支点が重心よりも上になるとひっくり返る」ことを直感的に体験してもらうためでもあります。

第2回は「浮いたり沈んだり」です。いろんな果物や野菜を浮かべたり沈めたりして「へえ!どうしてなんだろう」という体験を用意しています。

どうしてだろう?から「そうか、わかった!」というユリイカ 体験をいっぱい計画しています。

◆僕らのユリイカ

ギリシャ時代の哲人アルキメデスは、お風呂に入っていて浮力を発見したときに「わかった!」と叫んだ、という逸話が残っています。ギリシャ語で「エウレカ」というそうですが、日本語では「ユリイカ」の表記の方が馴染みがあるのではないでしょうか。雑誌にも「ユリイカ」がありますし、稲垣足穂の「僕の“ユリーカ”」も、NMB48の「僕らのユリイカ」も、同じです。

そこで、千代田せいがでは、STEM保育の活動の愛称を「わくわくユリイカ」と名付けました。子どもたちが「ユリイカしよう」「今日ユリイカやったよ」とか言っていたら、ああ、科学遊びをやったんだな、と思ってください。ねらいは、子どもたち一人ひとりに、自分なりの「発見」「気づき」があったかどうかを大切にします。

◆明日からお月見をしましょう

明日からは天気が続く予報です。夕方にはちょうど半月のお月様が顔を出してくれています。9月にできなかった天体望遠鏡での観察、今週こそは見えるといいですね。

懐かしくも新鮮な伝承遊びスタート

2020/10/12

「わあ、懐かしい」。お迎えのときに、何人かのお母さんが言いました。どんぐりでヤジロベーを作っていたときです。懐かしいという感想をいただいて、やってよかったなあと嬉しくなりました。

幼少の頃の遊びを思い出すと、そのときの情景も一緒に蘇るものですが、先週から始まったわいらんすい(3〜5歳)での「伝承遊び」は、子どもたちには、新鮮な新しい遊びです。朝の会でJくんが「伝承ってなあに?」と言っていました。先週はどんぐりでコマを作って遊んでいます。今週からは、毎日5〜6人ぐらい、ヤジロベーを作っています。そして夕方からは駒台も出して「こま回し」も始まりました。

ヤジロベーを作っていると、子どもが面白い!と思うツボと出合えます。それはちょうどバランスよく「たつ」という瞬間です。3つのどんぐりと竹ひごで作るのですが、支える支点の位置は、重心よりも上にしないと安定しません。また上から見て3つのどんぐりが一直線に並ばないと、軸が傾きます。これらの条件を満たさないとバランスしません。子どもたちは、そんなことを話しながら作りました。

平均台を渡るときに手を広げる方が渡りやすいこと、積木は揺らすと倒れるのに、ヤジロベーは揺らしても倒れないこと。そんなことを気づく子がいるかもしれません。また、あまり意識しすぎる必要もないのですが、回転する物体は倒れないジャイロ効果や、支点、重心などの意味をあとで学ぶとき、こうした遊びを感覚的に体験していると、理解しやすいということもあるでしょう。

藤森統括園長はこのあたりのことを意図して保育しましょうと、このほど「STEM保育」の団体を立ち上げました。この保育方針を、園生活の中にも取り入れていきたいと思います。

 

3日目の保育参観〜子どものやりたいことを形にしながら

2020/10/08

 

子どもは「やりたいこと」が細部まで決まっているわけではありません。最も多い「やりたい」の中身は、昨日までの遊びの続きです。あれが面白かったから、今日もそれをやりたい!という思いです。さらに、その思いを強くするのは、やっている間にさらに新しい面白いことがあって、もっとそれをやりたいという気持ちになるようになるときです。これを「遊びの展開」と言います。あるいは一般的に「遊びが豊かになる」という言い方で表現する人が多いかもしれません。

例えば、先週末にわいわい(3歳)らんらん(4歳)が木場公園でどんぐりを拾ってきました。どんぐり拾いはそれだけで楽しい遊びだったわけですが、そのどんぐりが、今は「こま遊び」につながっています。今後は動物マスコットやヤジロベー、アクセサリー(ネックレスやブローチなど)の材料になるかもしれません。また、どんぐりが発芽して「どんぐりの木」の苗になるかもしれません。

ちっちぐんぐんの部屋にどんぐりのモビールを飾っていたら、子どもたちが自然発生的に「♫ どんぐりころころ〜」の合唱が始まりました。ちょっとびっくりしました。こんなにはっきりとした声で歌えるようになったんだな、と。しかも「ああ、どんぐりだ〜、嬉しいなあ〜」という気持ちが伝わってきました。

まだ赤ちゃんのMちゃんに先生が「どんぐりころころ〜」と歌ってあげると、ちゃんと一緒に歌います。以下の( )のところは、声にはならないのですが、最後の一音のところだけは、しっかり声がでていました。こんな具合です。

♫(どんぐりころころ、どんぶり)「こ〜」、

♫(小池にはまって、さあ、たい)「へん!」

♫(ドジョウが出てきて、こんにち)「は〜」、

♫(ぼっちゃん、いっしょに、遊びま)「しょ〜」

ちゃんと「頭の中では歌っているんだなあ〜」ということがよくわかります。

先生たちに「Mちゃん、お歌が上手だね」と褒められていました。

 

保育参観の定点観測だけからは見えにくいのが「保育のプロセス」ですが、このように遊びの展開の中に、子どもの育ちが見えてくることがあります。

ちっち(0歳)やぐんぐん(1歳)は、毎日いろいろな季節の歌を歌っているのですが、大好きな歌があると「また歌って!」「もっと歌って!」と先生にせがみます。ぐんぐんの先生によると、Rくんは今日、泣きながらリクエストしていた歌があったそうです。それは彼が大好きな「はたらくクルマ」です。きっと歌が大好きな子どもたちに育つことでしょう。

今日の午前中の、わいわい(3歳)3人との運動遊びでも、自然とどんぐりが登場しました。子どもたちが「リス」になりたいというので、木の枝に大きな木の葉(マット)を置いてあげると、それが「リスのお家」になりました。そして、寒い冬の備えのために、お手玉がどんぐりや木の実になって、それをせっせと集め始めました。登ったり降りたり、大忙しのリスの子どもたちでした。(もちろん、併せて、すごい運動量でした)

稲作が始まる前まで、1万年以上続いた縄文時代は主要な栄養源だったどんぐり。こんなに長く、ずっと日本人のそばにあるどんぐり。まだまだ、深堀してみたい素材でもあるどんぐりですが、せめてその入り口に出会わせておいてあげたいと思います。

 

♪出た出た・・いもが・・

2020/10/02

すいすいの子どもたちの「芋掘り」の格闘ぶりを手伝っていると「こうやっていろんなことを学んでいるんだなあ」、「遠くまでバスでやってきて良かったなあ」と思いました。

まず芋が地面の下に、どんな風に埋まっているのか想像できていません。到着すると茎や葉っぱは切られて「さあ、どうぞ!」と農家の方が準備してくださっているので、子どもたちは「ん?このへん?」という感じです。まずは、そこからイメージを持ってもらうところから、芋掘りのスタート。

一人二株ずつ掘るように、「○○ちゃんは、これ、とこれね」と、掘る場所の前に座ってもらいます。このサツマイモ畑には、今日は10団体が車で来ていたのですが、団体や家族に掘ってもらうために作っているので、掘りやすくしてあります。予めも盛り土をした小山の中で大きくなっているのです。

土から赤いサツマイモの肌が見えると「あった〜!」と勢いが増して、どんどん掘り始めます。それでも芋の周りの土が固いところは、幼児の指では掘り返すことができず、「助けて〜」「取れな〜い」と先生を呼びます。

ほとんどのサツマイモはラグビーボールのような形をしているので、大抵は半分以上姿を見せると、あとは細くなっているので、子どもでも引くと抜けることが多いのですが、凸凹の長〜い形のがあったり、曲がっていたりすると、てこずっていました。

「見てみて!これちびちゃん!小さいよ、こんなに!」と、大きさを比べている子や、「大きい」とか「重い」とかを何度も口にしています。前日の雨が少し土に湿り気を与えて、土は比較的掘りやすい状態でした。

それでも5分、10分と頑張っていると「取れた!」「できた!」と嬉しそうに掲げて見せてくれます。地面の下に食べられるものがあることを知った人類が、偶然ではなく、意図して育て始めた栽培の知恵。その収穫の喜びの一端を体験できたようです。

わざわざ、広い農地まで足を運んで芋掘り遠足をするのは、作物を育てるという人々が生きていく上で欠かせない「食べ物を栽培して育てる」という文化的実践の「入り口に立ってみる」という経験になってくれたら、というのもあります。

また、すべても食べ物は、スーパーにいけば魔法のように手に入るのでないことを、あとで「勉強」して知ったとき、あの芋を掘った時の土の硬さ、芋の重さ、大きさなどの感覚的な体験がよみがえったり、知識として学ぶことに実感をともなった理解の支えになったりしてくれたら、という願いもあります。

中秋の名月は、満月ですから太陽とちょうど180度反対の方向にあります。西に日が沈んだ頃、月はやっと東に顔を出します。月は東に日は西に、です。今日の満月は屋上からも、昨日のようには見えませんでした。ビルの谷間からの観察はお迎えの時間にはかないませんでした。次のチャンスは運動会の前の頃になります。

中秋の名月はいかに?

2020/10/01

今日10月1日(木)から、新たな気持ちで後期保育のスタートです。

気分転換を図るために、玄関幕を付けました。「江戸っぽいですね」「相撲部屋ができたみたい」「何かのお店みたいです」などの感想をいただきました。私が気に入った子どもの表現は「網から旗になったね」でした。よく見ていますよね。

午前中から雨模様の、すっきりしない1日。室内で過ごしましたが、運動はバッチリでした。

にこにこはトランポリンを楽しみ、わらすは運動ゾーンでダンスに取り入れている動きを楽しんでいました。

夕刻になると雲も晴れて、中秋の名月がビルの谷間から顔を見せてくれたのは6時40頃。屋上に登ってお月見をしました。

3組の親子に望遠鏡で月面を眺めてもらいました。今週は初めての観察会の成立です。月の出の時刻はだんだん遅くなります。

 

 

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