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見守る保育(保育アーカイブ)

笑顔の納涼会でした

2021/08/21

今日の納涼会は、お囃子のBGMが流れる保育園の中で、1階で記念写真、2階でスイカ割り、3階でヨーヨー釣りとピンボールゲームを楽しんでもらいました。

2階に展示した「御神輿」には、ご家庭で作っていただいた「手作りの風鈴」を飾ったのですが、その前で家族写真を取る方も。階段で外に出ていただき、1階の外通路では「焼きそば」屋さんの雰囲気を味わってもらいました。

スイカに棒が当たると「やった、当たったねえ」と喝采を浴び、ヒビが入ると「やったあ、割れたねえ」と歓声が上がるので、やっている本人の方がよっぽどすごいことをやったみたいな気持ちになる子もいたりしたかもしれません。

見ていると、ほとんどの子がヨーヨー釣りも初体験だったみたいで、「釣れたね」「やったね」とみんなに「おめでとう」と言われて、しかももらえちゃうので、得した気分も味わえたんじゃないでしょうか。

ピンボールゲームは3回のうち1回でも「当り!」に転がると「いいことがあるよ」という、天任せの超簡単ルールですが、大抵は「当たり!」になるので、もれなく景品の「しゃぼん玉セット」をゲットしてにっこりでしたね。こちらもなんだか「当たったあ」「もらえたあ」と喜んでくれたみたいです。小さい子はまだよくわからなかったり、見られている中でやるのが恥ずかしかったり。いろんな笑顔が見られた納涼会でした。

可愛らしい浴衣姿も華やかで、せっかく用意した浴衣も「着る機会がなかったから嬉しい」という方や「久しぶりに着たら丈が短くなっていて」なんて方も。他愛のない行事と言ってしまえば、それまでですが、それでも子どもにしてみるとキラキラ、ウキウキの時間になってくれたんじゃないかと思います。天気も味方をしてくれて、最後まで心配した雨も降りませんでした。

残念ながら今日参加出来なかったご家庭の方には、残念がっているお子さんもいらっしゃるかもしれません。体調不良や日程が合わなかったり、仕事の都合がつかないことなどで、参加したい行事に参加できないということは、長い保育園生活の中で、どなたにもありうることです。保育園には他にも楽しいいろんな行事があります。今日の納涼会と同じものは無理だとしても、参加したのと似たような別の機会を色々と考えますので、残念がっているお子さんにはそのようにお伝えください。

お店屋さんごっこはアナログな拡張現実

2021/08/19

お店屋さんごっこ、といっても昔のような市場でやられていたような「売り買い」を、このあたりでみかけることは滅多にないような気がします。三井記念病院の先にイトーヨーカドーがありますが、そのちょうど向かいに八百屋さんがあって、そこでは「今日は〇〇がお得だよ」などと、威勢のいい声を聞いたことがあります。

ある調査で子どもの「お手伝い」の内容が時代でどんなに変化したのかを調査したものがあって、それによると昔よくあった「おつかい」が、今はほとんどなくなっているという結果が載っていました。それはそうかもしれません。交通事故や誘拐事件などの事故に遭わないかと心配ですし、今は宅配という便利な方法も増えました。さらにこの、コロナ禍で人と会って言葉を交わして何かを買う、という行為そのものを避けるような便利さがさらに進行しています。レジで「レジ袋入りますか」と「〇〇円です」しか話さないアルバイト店員のコンビニでさえ、さらに自動支払い機の導入で、全く無言で買い物が成立するようになってきました。

≪・・お客さんたちは受付でチケットにハンコを押してもらい、どれを買おうかとお店の商品をじーっと見て・・・恥ずかしそうに「これください」。本格的なお店屋さんごっこに、お互いちょっと照れながらのやりとりがありました。≫

昨日までの納涼会プレイベント「屋台のお店屋さんごっこ」では、そんな会話の様子が報告されています。

人と話すという基本的なスキルを身につけるには、人と話す機会を設けることですが、赤ちゃんが言葉を獲得する(学ぶ、ではありません)ためには、他者に何かを伝えたい、という心情がなければそうなりません。自分の思いや考えを他人に伝えようとするには、伝えたい相手と伝えたい気持ちがないと言葉は動き出さないのです。その状況は生まれた直後から、親と子の関係を起点としがら発達していくのですが、核家族だけでは、その相手が不足します。保育園のような集団のある場所で、さらに年齢の異なる色々な子どもや大人との交流が起きる生活は、家庭にも地域にも、全くなくなっているのです。

地域で人と人が出会い、会話をかわし、気持ちを交流するような公的空間、井戸端会議や立ち話を含めて、人が何かをやりとりするアナログな機会を、私たちは子どもの生活から奪っているんだという事実を知っておくべきです。それを補うかのように、保育園の生活は色々な人間関係の体験の場になっています。「いらっしゃいませ」「これください」「〇〇円です」・・ごっこ遊びの世界は、こうやって現実では体験できにくいことさえできる機会だと考えると、このアナログな拡張現実(AR)こそ、大事な経験のような気がしてなりません。

今日の夕方、妄想公園に行ってきました。デジタルデバイスを使って、目の前の空間を魚の群れが泳いだり、電車が走ったりします。それはそれで大変面白い体験だったのですが、子どもへの与えたかは微妙だなぁと思いました。その話はまたしますが、アナログな「お店屋さんごっこ」こそ、子どもにとっては必要な拡張現実だと思います。その前に実際の体験がもっと必要なのですが。そこで、子どもが大好きな模倣遊びのことを、デジタルのARに代わって、アナログのAを頭につけて、AARこそ大事と言っておきたくなります。

活況だった屋台のお店やさん

2021/08/18

「いらっしゃ〜い、いらっしゃ〜い」。屋台のお店から売り子の声が聞こえてきます。「園長先生も買ってって〜」と呼び止められて、「わあ、おいそうなアイスに綿菓子、ドーナッツもカラフルで綺麗だなあ」と返事。ちょうど入園先を選んでいる見学者の案内をしていたのですが、2階の屋台マーケットは、活況を呈していました。

お祭りにつきものの屋台ですが、コロナ禍でまともにお祭りを経験してない子どもたち。でも4歳のらんらん、5歳のすいすいの子どもたちは、お祭りの夜店で「買ったことある〜」と教えてくれる子もいて、屋台のイメージを持っているようです。この2年間、ブランクを感じさせない子たちで、私はホッとして、嬉しくなりました。

昨日と今日の2日間、子どもたちが作り上げた屋台マーケットですが、すでに「お持ち帰り」でご覧になった方はご存知だと思いますが、どれもよくできていて、物をよくみているなあと感心です。焼きそばの上に乗っているのは、キャベツとにんじん、赤い紅生姜のトッピング。わたあめの袋は、「せいがぼうや」のお見本を真似て描いた子どもたちの絵です。たこやきの緑色は青のり、パックにはかわいいタコの絵もついています。

世の中はVR(仮想現実)やAR(拡張現実)が流行っていますが、子どもたちにとってはアナログな模倣が創造力の源泉です。実際の生々しい体験が大切で、その生々しさが何事も基準になっているからこそ、何かの模倣、何かの仮想、何かの拡張ということもわかることになります。最初から仮想や拡張だけの体験は、実に危なっかしい。

五感をフルにつかった実体験の面白さがあって初めて、それを再現したい!という強い欲求が生まれます。幸いなことに「食べる」ことだけは、代わりのもというわけにはいかないので、食べ物屋さんがメインの屋台になっているのは、わかる気がします。子どもたちにとっての食体験は、やっぱりインパクトが大きいのですね。

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