MENU CLOSE
TEL

2023年 2月

環境の違い(ゆらぎ)から生じる発達の差

2023/02/28

(園だより3月号 巻頭言より)

みかんの木を玄関用意することにしました。開園してまる4年間、毎年のようにアゲハが飛んできてみかんの葉っぱに卵を産んでくれるからです。ただ、そのみかんの木の葉っぱが丸裸になってしまい、みかんの木そのものが枯れてしまいそうなので、新しく植えることにしたのです。

ところで、なぜアゲハがみかんの木を見つけることができるのでしょうか。そんなことを考え出すと、なんでも不思議に思えてくるものです。ある種の蛾の仲間は、止まった場所によってその体を葉の色や花の色に変えてしまいます。保育園でもそれを観察してことがあります。摂取する葉のタンニンの微妙な量の差でそうなるそうです。昆虫がこんな「能力」を持っているように見えるのは、昆虫のその「個体」に全てが備わっているというよりも、植物を含めた周りの環境との関係からその「能力」が発現された、と見ることもできます。

これと似たようはことが人間にもたくさんあります。種類は違いますが、大人の顔を真似する新生児模倣とか、周りの子どもの喜びや恐れなどの感情が感染することとか、相手に同情したり公平感を求めたりすることも、子どもの周りに愛情豊かな人がいることや、心を通わせてきた子ども同士の関係があるからこそ、その場に現れた「能力」なのかもしれません。そうした人的な環境がなければ、そうした表情や、感情や行動は生じないでしょう。そうした具体例が、保育園生活を描いている日々のブログの中に、担任が丁寧に拾い上げて詳しく描写しています。

それらの子どもの姿が、一過性のものに終わらずに、しっかりと一人ひとりの育ちとなっていくために、毎日の地味な繰り返しこそが大事なのでしょう。ことさら大人の気を引くプロジェクトやら活動やら豪華な施設や設備が必要だとは思えません。あまり気にもされないような、それでも子ども本人にとっては、新鮮な刺激を受け、その中から興味をくすぐられ、対象に積極的にかかわろうとして、その世界との関係を深めていこうとしています。

保育園は私たち発達科学の知見を重視します。小さいうちに、子ども同士のかかわりの中での経験の差が、その後の発達の差となってしまうものがあるかもしれないという意識を持って保育をしています。その大まかなイメージとして、ウォディントンが提唱したキャナリゼーション(運河化)を思い出すと、ちょっとドキッとします。彼は、発生を運河の坂道を転げ落ちる球になぞらえました。京都大学の明和政子さんも『ヒトの発達の謎を解くー胎児期から人類の未来まで』(ちくま新書)の中で、この図を使って説明していました。

様々な遺伝子によって下からひっぱられた道は決して平らではなく、山あり谷ありです。安定した場所なら多少の外的擾乱やゲノムの変化が加わっても経路は乱れません。しかし分水嶺に達した時は、わずかな揺らぎが大きく進路を変えます。例えば遺伝子が3%変わったからといって表現型が常に3%変わるわけではありません。しかしゼロの時もあれば50%の時もあるわけです。

その分水嶺にあたるものが、何なのか? その時期に大切にしたいもの、特に敏感期や臨界期というものを、私たちは学びながら保育に生かしていきたいと考えています。

保育の何に「物語」が必要なのか?

2023/02/26

(写真はぐんぐん組=1歳児クラスの子=満2歳の子が、幼児のごっこゾーンを訪問したときの自由遊び)

人は何かの意味を食べて生きているんだな、と思うことが確かにあります。人と話していて「おち」を期待して「で、どうしたの?」と聞きたくなることってありますよね。それは現代人がウケ狙いの会話に慣れすぎているかもしれません。面白い話をする人ってみんな好きだし、ジョークやユーモアは人間関係の必須アイテムになっていますから。みんなエンタメが大好きですから。

人類はエンタメ好きだとしたら、生存に直結もする男女の話や食べ物の話になるのは当たり前で、その中に伝えなくちゃ!と意味があるものは、物語にしたほうが覚えやすくて伝わりやすいのでしょう。昔々〜こうだったんだよと。ホメーロスだってそうやったんだろうということでしょう。物語は記憶方法、伝達方法でもあるでしょうね。

昨日の成長展は子どもの育ちのプロセスを展示したかったのですが、子どもの育ちにそこに大きなストーリーを見出したかったわけではないのですが、エピソードはたくさん詰まってます。そこに小さな物語を見出すことは可能です。植物や動物の成長に、それぞれ物語を見出す語りはあまり聞きません。台風によく耐えたな、この稲は、のようなことはあり得ますが。そう考えると、人間の育ちには物語性が色濃く着色しやすいのは、表象の中を生きているからなのでしょうか。

明日から実習生がくるのですが、コロナで遅れて挽回のタイミング。実習日誌はエピソードを重視するようになって、そこを考察させる様式に変わってきています。保育に<物語の落とし穴>があるのかないのか知りませんが、わかりにいい話は要注意。学生が気にある場面がパターン化しているのも、どう保育を考えているのかこちらが気になります。

それよりも、面白いのは「そういうことだったんだ」という気づき。あるいは子ども同士が見せてくれる姿から見えてくるもの。伝わってくるもの。その動き。それを読み取ったり、その成り行きを想像したりすることが楽しい。そこにこちらも「じゃあ、こうしてみるかな」という、将棋のような指し手の暗黙の会話に似たようなものがあります。今の子どもの姿とその先行きの想像との間にあるもの。先生たちの書くブログを読んでいると、そのあたりを「どうなるかな」と期待して動いていることがわかります。

子どもの育ちのプロセスや軌跡を物語ることはあっても、何かショートストーリーになってもいいのですが、それは読み手にお任せしたい。アルバムに相当する記録は作るけど、その意味の連鎖の解読は、それぞれに関わっている主体に任せたい。それを話して聞かせてもらうほうが楽しい。本人も後でそれを見てどう思うか。それを束ねれば物語と読んでもいいけれども。あえてそうは呼びたくない。後になって、その時代の風潮のようなものだったことに漂白されなたくないから。

成長展 子どもの育ちを作品にする工夫

2023/02/25

今日25日、第4回成長展(令和4年度)を開催しました。保育園の中を展示会場にして、1年間の「子どもの育ち」を展示したものです。育ちを展示するって?どういうこと?・・きっとそう思われると思います。でも、今日見ていただいた方には、その意味がおわかりいただけたのではないでしょうか。

子どもが描いたり作ったりしたものを「作品」として展示するのはよくあると思いますが、当園の展示は、子どもが描いたり作ったり遊んだりした結果や過程の変化を展示するのです。

成長のアルバムは、0歳児クラスだけですが、写真を使ったドキュメンテーションになっています。

展示の見せ方は教育の五領域です。健康、人間関係、環境、言葉、表現の五領域です。1年間の中であらかじめ同じ活動を数回実施して、その変化をたどります。するとその変化の中に育ちが見えてくるのです。

例えば「言葉」では、シルエット表現という手法を使います。人間、家、自動車、犬などの影絵(シルエット)を白画用紙の上で動かしてお話をしてもらいます。

例えば3歳児(わいわい組)のある子どもは、7月は犬や家の向きがバラバラで「(右下のは)ぼくたちのおうちで(右上のは)ワンちゃんのおうち。これはわんちゃんで、これもわんちゃんで、これはばすで、ぼくとぱぱとままがかえってきた」という話。

それが3回目の11月になるとシルエットは天地がはっきりして地面らしきものが意識されているのか横に並び「みんなでぼうけんにいって、おうちにかえって またおそとにいって わんちゃんたちがついてきて それでおおさかにいった」と変化します。1歳児クラスから年長まで年齢ごとにその変化は大きく、言葉遣いの発達もよくわかります。

このような一人ずつの変化を、同じテーマで並べると、今度は個性が際立ちます。一人ずつのその子らしさが一眼でわかるようになるのです。

名前を伏せてクイズにしてあるので、親御さんは、うちの子はどれかしら?と探して当てていくのですが、単語や言葉遣い、言いそうな話題などから、たいてい当ててしまいます。「わんちゃんとか言わないで犬(笑)きっとこれだ!」というように。このお父さんは一回で正解でした。

シルエットの他に、「自由画」も名前を当ててもらうクイズにします。何を描くかで、その子らしさが現れます。

そのほか、人物画とぬりえも年に3回4か月ごとに描いて、その変化を展示します。人物画はその子どもの家族やお友達、先生との関係が現れます。私も「えんちょうライオン」と呼ばれているので、その名前で登場しています。

ぬりえは、「まる・さんかく・しかく」に対する塗り方、りんごとバナナへの色づかい、子ども二人(男の子と女の子らしいイラストは、今後変える予定)への描き方の違いが現れます。1年間の中での変化というよりも、5年間の変化をみると、それぞれの変化を辿ることができます。

この領域「表現」のように描かれたもの、領域「言葉」のように語ったりしたものの他に、領域「環境」では、好きな遊びや好きなおもちゃ、好きな公園などをクイズにしました。

また「人間関係」では友達の広がりを、親御さんに同じクラスの子どもの名前を当ててもらうことで知ってもらいました。

その他、健康は身長、体重、手形、足形を当ててもらいます。身長は1年間で何センチ伸びたか。体重は何キロ大きくなったか、を当ててもらうのです。

重さをペットボトルを持って実感してもらいました。「2キロってこんなにあるんだ!」

子どものトータルな育ちは、先生からのメッセージとして描いています。これも誰のことか、当ててもらうクイズです。

ちなみに、毎月の誕生日会は、子どもがとくに好きな料理にしました。

その誕生日会メニューや、季節の行事食も、その時の様子を写真にまとめたものを展示しました。

また、昨年の秋から給食の調味料(砂糖・塩・味噌・醤油・こんぶ・鰹節など)は全て自然栽培か良質なオーガニックに替えました。その実物を展示しました。

給食で出したメニューの中で、人気のレシピも提供しています。

ぜひご利用ください。

子どもに最も大切な「睡眠」をプレゼントをしよう

2023/02/24

最近、急激に変わった環境(夜も電気がついて明るく、テレビやスマホで、寝る直前まで光を浴び続けている生活など)に、私たちの睡眠サイクルの異変を含む生活リズムに変調をきたし、子どもたちの心身に大きな影響を与えているようです。オキシトシン、セレトニン、メラトニンなどホルモンの産生バランスも崩れて、午前中に元気よく遊びに入れない状態になりやすくなります。遊び込めないですぐに空きてしまう、理由もなく機嫌が悪い、ちょっとしたことでイライラしてしまう、午前中にぼーっとしてやる気が出ない、夜ふかしになってしまう。そうした傾向は、生まれた後の経験の結果かもしれません。そうした傾向は、毎日の生活習慣を変えることで、軽減される結果が明らかになっていることなので、私たちはそこを警戒しています。

そんな話はどこかで聞いたことはある、でも現実はそうも行かないから、あまり大したことはないだろう、という大人の意識が、子どもたちの心身に悪影響を与えているかもしれません。「その危機感の希薄さがとても気になります」というのが、当園の園医さん「瀬川小児神経学クリニック」の院長、星野恭子先生です。

http://www.hayaoki.jp/index.cfm

星野先生は「子どもの早起きをすすめる会」の代表でもあります。日本人の睡眠の質の悪さは有名だそうで、国際比較でもそうなっているようなのですが、それが子どもの生活リズムにも影響しているといいます。これは結構、由々しき事態かもしれないのです。小児神経学の世界では、睡眠と発達(障がい)の関係を詳しく調べています。しかしいくら政府(文部科学省)が「早寝早起き朝ごはん」運動を通じて、睡眠の質の大切さを訴え続けていても、夜遅くまでの塾通いや子どもの睡眠不足が大幅に改善されているようには見えません。それよりも、寝る時間を削ってでも勉強したほうがいいという考えが強くて、多くの大人は子どもが夜10時以降も起きている状態が脳に良くないことに、あまりピンと来ていないように、私には見えます。

保育園にいるときに、その誤った考え方を修正しませんか。早寝早起きをしたほうが、統計的には学力もいいという相関があるようです。睡眠の質は、学校の勉強や自分の探究心、粘り強さなどに影響するのですから、そうだろうと思います。自覚的に学びに向かう意欲や、内発的なエネルギーが出やすい状態になるのですから、その意欲的なコンディションづくりと習慣を小さいうちに作ってあげましょう。

今の私たちの脳や身体は、何百万年ものあいだ、変化する環境に結果的に適応したものが生き残った結果です。長い時間をかけて変化してきた私たち人類の心身。10万年ぐらいの長さでも、寒い地域から暑い地域まで地球環境の違いに応じて、その自然環境に応じた皮膚がこれほど変化したのですから、チンパンジーとの共通先祖から約800万年の長い時間をかけて変異して環境に適応した私たちの特徴は、それだけの根深いものなのでしょう。確かに大きく生活環境が変わっても、私たちの身体は、その影響を大きく受けるものと、さほど受けないものがあるでしょう。

しかし、大きく影響を受けた結果の一つが、睡眠サイクルだと精神科医の専門家たちがいいます。夜も電気で明るいという生活は、つい最近のことなので、脳や身体はそれに慣れていないようです。テレビやスマホやタブレットから出ている人工的な光は、それまで人間が経験したことのないもので、長時間の利用や寝る直前までの視聴が、光への依存と覚醒を促し、睡眠サイクルを歪めています。日没と共に「夜は真っ暗」だった何百万年もの時間。その悠久の時間をかけて進化してきた(環境の適応してきた)私たちの身体と脳。それが急激に変わった生活環境の影響で、身体が異変のアラームを発しているというのです。

その危機感から、当園は開園した令和元年秋から、「睡眠講座」を開いてきました。今日は今年度20回目のズーム講座で、お二人のご家族が参加してくださいました。そして「瀬川小児神経学クリニック」にお勤めの睡眠衛生指導担当の永持伸子先生から「ぐっすりねんねのコツ」をたくさんお伝えしました。

「睡眠は借金や負債は溜まるのに、貯金(寝貯め)はできない!」「オキシトシンが出やすい、ダラダラした時間を5分でもいいから寝る前にもとう」「子どもは疲れて寝るのではなく安心と満足から寝る」「昼寝を含めて11時間になればいいというのは大きな間違い」「昼寝をするから夜寝ないということはない。昼寝をしても夜は寝る、役割が違うからです」「8時半には布団に入って朝7時にはカーテンを開けよう」「帰宅から就寝までの逆算マネジメントを」「晩御飯を凝りすぎない。軽く済ませて大丈夫」など。

子どもが9時までに寝てくれる生活づくりは実現可能です。保育園の保護者の多くの方が、それを手にしています。大人は子どもが寝た後に自分の時間を持てます。これも大きなことです。夕方6時までにお迎えができれば2時間あれば、十分に睡眠にまで誘うことができます。それはヨーロッパの睡眠先進国がやっていることです。日本だけができない理由はないのです。それを信じてやってみましょう。子どもは健康になり、貴重な午前中のゴールデンタイムが毎日、充実する1日を子どもにプレゼントしましょう。怪我も少なくなり、充実した時間になります。自分からいろんなことができるようにイキイキとした活動的な振る舞いに変わっていきます。親が乳幼児期の子どもにやってあげることの中で、これほど大事なことはないと、私は思っています。

これからのスクールとは

2023/02/23

次のちっち組(0歳児クラス)のクラスブログは、すべての人に読んでもらいたいと思います。この姿の中に、人の学びの原型があるような気がしてなりません。ここは保育園ですから、乳児もいて、その子たちに年中さん(4歳児クラス)のらんらん組の子どももたちが、絵本や図鑑や紙芝居をよんであげているのです。保育園やこども園ならではの「幼児教育」だと思います。幼稚園ではできないことなのですが、この形が学校へ広がるといいのに、と思います。これから小学校を作るときは、就学園施設はこども園にしてほしいものです。

・・以下は、ちっち組の2月22日のグログ(個人名はイニシャルに変更)わらす組とは3.4.5歳児クラス。

最近、わらす組の子どもたちが遊びにくるたび、絵本や図鑑を読んでもらう姿が多いちっちさんです。
「読む〜?」と誘ってもらったり、『読んで』と持っていったりして、すっかり慣れた様子で、お兄さんやお姉さんの膝の上に よっこいしょ、と腰をおろします。


指を指したり、「こぉーわっ?(“これは?”と言っているように聞こえます)」と聞いたりするたび、「はしごしょうぼうしゃ」とか「すいなんきゅうじょしゃ」とか、お兄さんお姉さんが読んでくれます。

乗り物が大好きで、乗り物図鑑を眺めることが多いSくんやYくん。そして、今、発音を真似たり何かを伝えようとしてみたり、言葉を楽しみながら獲得している真っ最中。見たものを、言葉と結びつけながら眺めるその時間が楽しいようで、いつも長いこと夢中になって、わらすの子どもたちと一緒に図鑑を眺めています。

 

わらす組(3〜5歳児クラス)の子どもたちも、その子が好きな本をよく知っていて、選んできてくれます。

図鑑が人気です。

 

↓らんらん組(4歳児クラス)のHちゃんが、ちっちぐんぐん(0〜1歳児)の子どもたちに紙芝居を読んでくれた日もありました。ときどきカタカナが出てくると「これ何て読むの?」と尋ねながら、一生懸命読んでくれていました。

・・・・・・・ブログはここまで。

これとは、直接関係がないのですが、これからの学校は、個々の学びにふさわしい方法でライブラリー、ラボラトリー、ミュージアムなどと手軽にアクセスでき(あるいは融合し)、学校の役割はその子どもの「学びのコントロール」の指導にも比重をおきながら、先生自身の学びが同時に起きていくようなものをイメージしていきたい。

大学を除けば(いや大学もだろうけど)、残念ながら、最先端のコンテンツは地域や会社(特に大企業か?)などの民間に集中していく流れは避けられない(国家を飲み込みそうな勢いだ)ので、それを公教育の一環として認めて多様化させ、それをコントロール?しながら、そこに集ういろんな人がそれぞれのイシューに取り組んでいる問題解決過程に参画しているプロセスをスクール化したい。学んだ学力をそこでツール化する場。子どもが学校に登校する意義は、身体性を伴う集団の中でのコラボレーション、コミュニケーションあるいはディスコースを活性化させた中での、真のリテラシーと自分づくりと世界づくり(市民性や進路開拓)あたりを目指す。

 

誕生会「♪橋を渡ろう〜がらがらどん」

2023/02/22

多くの子どもが笑顔と活気に満ち溢れ、もっとやりたいと興奮して列をなしている。大人なら大好きなアーティストの公演に押しかけたり、一昔前の新製品売り出しで列を作っている光景に似ているかもしれない。

今日は誕生会で先生が出し物をしたのですが、子どもからのリクエストで「三びきのやぎのがらがらどん」でした。そのやぎをやりたくて殺到しているのです。

この興奮した面白さは、人気のお話のよさでもあり、先生たちの演出によるものでしょう。トロルは鬼のような格好をして、ヤギもわざと大袈裟に立ち回り、こっぱみじんになっていくトロルの負けっぷり(かつらも飛んでいく)が、おおきなやぎのがらがらどんの圧倒的な強さを強調していました。

そして、がらがらどんのギターの伴奏に合わせて、子どもたちが我も我もと、やぎになって橋を渡っていきます。34歳ぐらいの子たちは、たぶん無我夢中に似た心理状態で、その世界に熱中しています。何度も橋を渡っていますが、覚えた歌を自然と歌い出します。6歳の年長さんたちは、先生の熱演を熱演として理解して面白がっていて、その接し方、鑑賞の仕方に育ちの差も感じます。

そして最も私が注目したのは、そうした世界にほとんど興味を示さずに、別の遊びに集中している子どもがそばにいることです。その子たちであることが、また自然なのです。もともと、何かを一緒にさせようとする働きかけがが少ないので、大人があえて「それでいいよ」と肯定のサインを出さずともそうしているわけですが、その場や時間の過ごし方に大きな差があってもいい状態が、なおさら心地よい自由さを感じます。

面白いと思うものは、多様なのです。

 

千代田小学校を訪問して

2023/02/21

昨日20日(月)のことですが、一人だけ入学する予定の千代田小学校へ年長五人が見学にいきました。教室と廊下の境目の壁がない、オープン教室。私たちの姿を見つけてT Hくんが「あ!」という顔をしています。驚きの後は、嬉しそう。いろんな話をしてくれました。

授業の邪魔にならないように2時間目のおわるちょっと前ごろから、中休みの時間にかけて、お邪魔しました。

この小学校は昨年卒園した1年生が5人もいて、お互いに再会を喜びました。当園は3階の広い部屋で、3〜5歳児クラスが一緒に過ごすことが多いので、最低2年間は「同じ釜の飯を食う」「寝食を共に共にする」間柄になります。そして1年間の空白を置いて、今日のように再会すると、1年前まではちょっと上の「お友だち」感覚だったのが、立派なお兄さん、お姉さんになっている姿に接して、どう感じたのかでしょうか。

 

私たちはよく「知っている子がいてホッとする」とか「知っている卒園児がいる方が安心する」などと言って、その方が「よかったね」と語ることが多いのですが、そう簡単に一般化していいとは思っていません。保育園での過ごし方がどうだったのかによって、また、その子たちの関係の質によって、再会の意味も変わってくるはずだからです。嫌な思い出を思い出すことだってありうるからです。

「これ◯◯ちゃんのだ」。廊下に張り出された「作品」に書かれた「ひらがなの名前」を見つけて教えてくれます。二日後に「6年生を送る会」があるそうで、3時間目はその練習が始まりました。

みんなが集まって体操座りになって、先生の話を聞いています。その様子をじっと見つめていた子どもたち。校庭では体操服に着替えた6年生が体操をしていました。そろそろ帰ろう、と声をかけても「もっとみたい」と興味があるようです。

このように小学校生活に触れさせてもらうことは、肯定的な意味が大きいと感じます。会ってみると、ひと回り大きくなった卒園児の成長を、その振る舞いや言葉遣いから実感します。それは訪問した子たちも感じたはずです。保育園時代とは違う関係の可能性を感じたのではないかと思います。子どもの持っている、可塑性というか、柔軟性をこんなところにも感じました。

AliA かくれんぼ

2023/02/20

今朝、年長のSさんが登園してくるなり「ねえ、これなんのか、教えて」と言って、歌い出す。

♪いっせ〜ので なり〜いた スカートのアイス〜

ん?なんの歌だろう?

ちょうどFちゃんのパパが登園してきたので、Sさんにもう一度歌ってもらうが、パパも「ああ、わかんないなあ」と、3歳の子どものFさんに聞くが知らなそう。Sさん「しんのすけが出るんだよ」アニメの主題歌か?

そこで、すぐに「♪いっせいの」で検索すると、すぐにわかった。AliAの「かくれんぼ」。

official Music Videoは「3731万回視聴 4年前」とある。当園が開園する直前のリリースか。歌詞はこうだった。

♪いっせいので なりひびいた スタートの合図〜

子どもたちには、これがかっこいいんだ。最初がいきなりサビという構成で、最後も子どもが歌っている。

動画を見ながらバンドのメンバーが踊って演奏しているのを見て

「みんな一生懸命だよ」

という。

(そうか、そんな風に見てるのか・・・!!)

「そうだよね、一生懸命だね」。
「ねえ、じゃあ、Sちゃんなら、どのパートやてみたい? ギター?ドラム?バイオリン?」

「バイオリンならできるかも」

じゃあ、やってみようか。

こうやって2分ぐらい、スマホの動画を見てから、Sさんは3階へ登っていった。

(いろんな意味づけは省略。とにかくこれでいいでしょ)

大事な3つのことって、繋がってませんか?

2023/02/19

今週を振り返ると、精神的に忙しく感じる背景がぼんやりと見えてきました。鹿児島に行って気づいたことも含まれます。この気づきは、かなり重要な気がします。そして、コロナ禍の始まりの頃から、ずっと続いています。かなり大きな警鐘の音(アラーム音)なのですが、あまり気づかれていない気がします。テーマで挙げると、はっきりするでしょうか。

子どもの人権のこと、大人の人権のこと、技術革新を含む人工的な環境がそれを蝕んでいること、これが大きな問題群を形成しています。

次にその人権を護るために正確な情報が必要なのにマスコミにはあまり期待できないことが強まってきていると感じること。したがって信頼できる情報源をSNS(世界的にはソーシャルメディアという。SNSは日本だけの言葉)で探し、つながる時代になっていること。

第3に、そのリテラシーを公的な場所(学校など)が教える仕組みを持てないでいること。単に持ち込ませないとか、大人に任せるということでは、時代に取り残されそうな気配であること。

それぞれの具体的な事例を目の当たりにした1週間だったのですが、どうも感覚が麻痺している時代に生きているように感じます。それどころじゃないと思うけど、ということに、結構、熱心に時間とお金をかけているように見えてしまうので、冷静になって観察し続けることにします。

入園説明会ひらく

2023/02/18

入園が決まった方へ説明会を開きました。リモートでご自宅から参加いただきました。時間は1時間。そばに子どもがいる時は、会議や催しは大抵はこの60分が限界です。子どもは5分や10分が大人の「一仕事」ぐらいに相当します。精神も身体も「熱しやすくて冷めやすい」と心得て・・・。

◆さて、1時間の説明会ですがその内容は園の紹介、重要事項の説明、園生活のポイントの3点。園の紹介は見学の時に見ていただくことができなかったことを中心に、園の保育方針や方法についてパワーポイント(HP「お知らせ」からPDFをダウンロードできるようにしておきました)の写真で説明させてもらいました。重要事項の説明は、ホームページからダウンロードできる「園のしおり」を使って、保育園生活のポイントをお伝えしました。子どもが午前中の園生活の波に乗れるように、早めの登園を心がけていただくことや、感染症のこと、連絡方法など、慣れ保育の秘訣など、いろいろありましたね。

◆食育のこと、保健のことは、個人面談で栄養士や看護師から詳しくお伝えします。

◆また見学をされたい方は、遠慮なくおっしゃってください。園長が案内します。

◆3月1日から10日ごろまで個人面談を予定しています。すでに個別の日程を決めさせてもらっています。入園までにあと1ヶ月半ありますが、職場への復帰の生活リズムと園生活のリズムをこの時期に調整していきましょう。2月24日(金)午前10時から、睡眠講座をズームで開きます。ぜひ、ご参加ください。

◆睡眠講座は年間の予定が3月に決まり、ホームページの第3カテゴリ「子どものいる家庭へ」の中の「Mam’s Salon」から参加できます。今回は「園からのニュース」にも直接、URLを載せましたので、ご参加ください。

◆二時募集は先日2月14日(火)に締め切られ、発表は28日(火)の予定です。

 

top