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2023年 12月

意外と難しい「音」をきくこと

2023/12/19

今日のお手伝い保育では「音」についての体験を試みてみました。3人の年長さん(すいすい組)を相手に、糸電話でお友達の声や、吊るした糸を伝わるスプーンの振動音、水を入れたワイングラスの共鳴音などを聞きました。

私の実験の意図は、子どもに「音」そのものを経験することは、どれくらいできるだろうか?と考えているからです。

私たち大人も幼児も、ふだん聞いている声や音は何にしても、そこに意味やメロディや象徴するものを「聞いて」いることが多いでしょう。音そのもの、ということがどういうことになるのか、そこも私もよくわからないとこが多いのですが、いずれにしても、できるだけ「音」そのものに注意を向けてみることができないだろうか?と思っているのです。

たとえば人の声は意味を聞いてしまいます。でも喉の声帯が振動し口腔や鼻腔で共鳴しているのですが、その「音」そのものは聞いていないのではないでしょうか。

(そこで、まず三人には私の喉を触ってもらい、ガギグゲゴと声を出してみるときに、のどがどう動いているかを感じてもらいました。そのあと自分の喉にも手を当ててもらい、おなじようにガギグゲゴを言ってもらいました。そのあと、ひそひそ話で話してもらうと、声帯が震えないことを感じてもらいました。あまりわからなかったので、次回はそこは工夫が必要でした)

例えば、遊びの中でよく登場する糸電話ですが、近くで二人がやっているのを見ると、糸はだらりとしていて、紙コップを耳に当てたまま喋っていたり、口に当てて「聞こえた!」と喜んでいたりと、まあ、実際には糸を伝わってきた振動を聞いているようには見えないことがよくあります。

もしかすると、糸電話の格好をした「電話ごっこ」をしているだけだったり、そもそもケータイで話す姿もあまりみなくなり(イヤホン越し)、ましてや聞く部位と話す部位がそれとわかる「受話器」は、もう見かけないので、糸電話が「聞く」と「話す」を同じコップを交互に使い分けること自体の意味がわかっていない可能性があります。ですので、年長さんでも意外とその面白さを知らないことが多いのです。

そこで、写真のように、こんなに離れてやってみました。しかも「ヒソヒソ話」で。確かにコップから声が聴こえた!という体験になったようです。3人とも面白い!といっていましたが、多分それまでの面白さとは違ったはず。

ワイングラスに水を注いて、指を少し濡らして、グラスの縁をゆっくりこすって動かすと、キーンという共鳴音がし出します。とても大きい音になるのですが、指をほどよい強さで押し付けながらこする力の加減がちょっと難しいのですが、「あ、鳴った」というときの感触を覚えていくと、鳴らすことができるようになります。3人とも鳴らすことができました。

それからやってみたのは、食具のスプーンを糸で吊るして、先端を輪にして指にひっかけ、その指を耳の穴につっこみます。そしてスプーン(フォークでもなんでも金属がいい)をたたいてみます。ぜひやってみてください。とてもいい音がします。お寺の鐘のようにゴーン、といつまでも鳴っています。

そして最後に、部屋のなかに面白い音がないかを探しをしてみました。今回は棒で叩く子が多かったのですが、いつも登っているネットを揺らしてみたり、階段の手すりを手で、こすってみたり、少し広がりも出てきました。偶然、楽器ゾーンにあったトライアングルも、スプーンを鳴らしたように触らないで吊るした方が良い音がする、と言うことに気づいたようです。

音探しから新しい楽器との出会いになったならいいのですが、どうだったでしょうね。

 

 

 

キャンディーの包み紙の工学

2023/12/08

こっちのキャンディーと、こっちのキャンディー、引っ張ると開くのは、どっちだと思う?

口で説明するだけでは難しいので、子どもたちにやってみせました。

制作ゾーンにおままごと用の、食べ物がたくさん作ってあって、その中に大量のキャンデイがあったからです。

ひねってある包み紙を引っ張ると、クルリと回って開来ます。

でも、もう一方の方はいくら引っ張っても開きません。

さあ、どうしてでしょう? というわけです。

これはエンジニアリングですよね。工学の話。

子どもたちはキャンディの包み紙を、大抵は右手で右回りに捻り、もう片方も同様にしてしまうので、開きません。開くようにするにはキャンディーの捻り方を反対にしないといけません。正確にはキャンディーを横向きに置いたとすると、輪切りにする面を基準に「面対象」(鏡に映ったよう)にすると開くのです。

あれ?と気づいた年長の女の子は、それを手にして何度も引っ張ってみましたが、何が違うのかわからず、捻り方の向きの違いには気づくことができませんでした。

ブンブン独楽も同じことなんですがね。

スローモーションで、何度も見れば気づくかもしれません。これもまた別の機会にやってみます。でも子どもの関心がそこに向かないときは自分から「どうなっているのか」その仕組みをよく見ようと思わないのです。無理もありません、どっちも中身が「取れたよ」という感じですから。笑

金魚の水替えの隠れた理科実験

2023/12/05

大人が普段やっていることを子どもはやりがたります。子供だけではできないので、その「お手伝い」という形でその一部を担ってもらうのです。今日は事務所にやってきた年長3人と一緒に、金魚の水替えと玄関に飾るリースづくりを手伝ってもらいました。子どもたちは、このような活動がとても好きです。どのような仕組みで成り立っているのかがわかり、自分で部分的にできるようになっていくことが嬉しいようです。

金魚の水を換えるとき、ホースを使って高い位置にある水槽の水を一旦、バケツに移します。棚の上にある水槽と床に置いてあるバケツは落差があるので、ホースで繋ぐと下に流れます。しかし子どもたちも「水が高いところから低いところへ流れる」ことは知っていても、あることが起きると、水が流れなくなります。「あれ、出なくなった」というので、どうしてかな?と考える時間をとります。

水槽とバケツを繋ぐホースは「逆U字の、山形」にどうしてもなります。ホースの中を流れる水は、高いところから低いところへ一直線に流れるのではなく、途中で一度、上り坂を越えなければならないのです。しかし、水槽の水面からホースの口が離れ、空気がホースに入り込むと、水の流れが途切れて、バケツへ水が出なくなるのです。その理屈が子どもにはわかりません。その現象をクリアするために、それ専用のホースには途中にポンプがついていて、バグバグすると一方へ空気を押し出す仕掛けになっています。灯油を石油ストーブへ注ぐための給油ホースと同じです。そこを子どもが「どうしてだろう?」と考えてみたくなるようにするには、透明なホースを使って、水の動きが見えるようにしたらいいのですが、今日はそこまでできませんでした。こんなことの中に小さな理科実験が隠れているのですが。

水槽のガラス表面が暗くなるのは、内側に「藻」が発生しているからです。その「藻」は別に悪いことはしないのですが、金魚が見えなくなってしまうので、定期的に洗っています。タニシを入れて食べさせるという方法もあるのですが、小さいタニシだと金魚が食べてしまうので、大きなタニシを手に入れるといいのですが。知り合いの田んぼには、オオタニシがたくさんいるのですが、その卵はピンクと紫が混じった毒々しい蛍光色をしていて、天敵に対して、いかにも「食べてもまずいぞ、毒があるぞ」と言うふうな意味を発信しています。

そんなことを思い浮かべながら水槽の水替えを手伝ってもらうのですが、水道の水にはカルキ(塩素)が入っていることを説明して、きれいな水槽に入った水道の水にカルキ抜きの液体を注ぎ、子どもにかき回してもらいます。そして最初に水槽からバケツに移していた元の水を戻します。水替えは3分の1ぐらいずつ取り替えます。一度に全部変えることはしません。透明な綺麗な水槽に戻りました。

この3匹の金魚たちは、子どもたちが朝夕、餌をあげていて、すでに4年ぐらい生きています。絵本「きんぎょがにげた」に出てくるパーツのモビールを吊るしています。

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