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早寝早起き(保育アーカイブ)

睡眠に個人差も大きいし、例外的夜ふかしは大丈夫

2023/12/14

昨日の「園長日記」に、無藤隆先生から貴重な大切なコメントをいただきました。ご紹介します。

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なるほどと思うのですが。もう一つ大事なことは子どもの体質的気質的な個人差がかなりあることと、特定の日が寝不足になっても大丈夫だということではないでしょうか。例えば、4歳5歳になると、昼寝をよくした日は夜なかなか寝ないということを見聞きします。結構寝る子どももいます。寝付きの良い子どももそうでない子どももいます。もう一つは子どものサイクルは基本的には一日完結で、大人と違って、疲れても動けるという余地が少ないということですが。その二つの両立を図りつつ、穏やかに暮らすことが家庭では何より大事だと思います。

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このコメントをいただいて、本当にその通りだと思いまして、昨日の日記の続きとして、いくつか補足します。

一つ目の個人差について。

・当園もそこは大事にしているつもりです。皆さんご存知だと思います。帰宅後と夜の様子を情報交換しながらその子に保育園の午睡が必要かどうか、どの程度必要かどうかは話し合って決めています。簡単には「選択制です」という言い方をしていますが、基本は個別の対応です。大事なのは必要かどうかの個別判断です。午睡があると夜寝られないという場合も当園では午睡をやめたり短くしたりして調整させてもらっています。

・たまに例外的に夜更かししても大丈夫、というのは経験上もそうですよね。たまに遅くなっても、それで生活リズムが一気に崩れるといったことはなく、また元のリズムに戻ります。この睡眠リズムというのは出来上がると、変える方が帰って難しいものです。

・個人差についてですが、ちなみに当園の実態で見ると、3歳でも午睡がいらない子も時々いますし、5歳でも必要な子もいます(今年度はいませんが)。おおよその感触ですが、4月当初で3歳は約7〜9割が寝て、5歳は約9割が起きていて、4歳の1年間でだんだんお昼寝がいらなくなっていく感じでしょうか。

・年長さんになると就学に向けて全員起きています。午睡が必要だった子どもも1月から3ヶ月間は最低午睡なしの生活(休憩をとる場合もあります)に切り替えていきます。年長は大抵は春〜夏から自然と午睡がいらなくなり、起きていることがほとんどです。ただプール遊び、水遊びをする夏は年長でも午睡をとることが多いです。夏は疲れやすい。遠足に行った日の午後は年長さんも一寝入りしたりしますし。

・今でも一律に寝かせている園もあると聞きますが、幼稚園が午睡がなくて大丈夫なのに、保育園が同じ年齢で午睡があるというのは、ずっと前からどこか不自然だと思っていました。確かに朝7時半から登園している子は起床が6時だったりしますし、就労や通勤など生活リズムの違いもあるでしょうが、それでも午睡の在り方は保育園の方が寝かせようとしている感じがしますがどうなんでしょう? その時間しか書類などの事務作業が取れないという事情も大きく影響してきた時代が長ったからでしょうか。

・また寝つき具合も個人差がありますね。寝るまでに5〜10分で寝てしまう場合と、かなり時間がかかる場合とあります。睡眠の専門家によると、寝るまでに5分ぐらいかかるのはよくて、バタンキューで寝てしまうのはよくないそうです(私などはそのくちですが)。10分以上かかる時は、リズムができていないのでしょう。

二つ目の大人と違って、子どもは疲れても動ける余地が少ない。なるほどと思います。大人は寝不足でもばんがって動いたり働いたりしてしまいます。そのつけが大人は週末の休日の朝寝坊でしょうか。そこで足りなかった睡眠を取り戻していうのでしょう。負債を返していることになります。ちなみに普段の睡眠不足の負債を返済はできるのですが、大人も子どもも「寝貯め」はできません。週末たくさん寝たからといって、それは借金の返済であって、貯金ではないので、その分で平日の睡眠時間が少なくてもいい、ということではありませんのでご注意を。

最後に「この二つの両立を図って、穏やかに暮らすことが家庭では何より大事だと思います」という言葉。先生の温かい愛情を感じますね。コメントありがとうございました。

 

夕食・入浴・ほっこりタイム・就寝の流れのポイント(おさらい)

2023/12/13

昨日12日は睡眠講座だったのですが、残念ながら参加者がいませんでした。この講座の内容は「私のいち推し」なので、大切にしているポイントを私なりに以下、まとめてみました。

朝登園してから家に帰るまで8時間から10時間ほど、保育園での生活があるとすると、自宅で夜の睡眠を10時間から11時間とってほしいので、24時間のうち通園時間を除くと、残りの時間はわずか3~4時間ということになります。

睡眠講座の永持先生とそのことがよく話すのですが、スウェーデンやベルギーの育て事情を先生のご友人の方から伺うことがあります。保育園のお迎えが夕方6時だとして8時半までにベッドに入るとすると2時間半ですが、日本では2時間半しかない、と言う受け止め方になりますが、睡眠先進国と言われている国の方の受け止め方は違っていて「2時間もあるのに、どうしてそれまでにできないのか不思議だ、中学生でも9時には寝ている」と言う反応らしのですが、その話を聞いたとき、私はにわかには信じられませんでした。でも、数々の事例を伺っていると、いまでは日本の方が遅れているんだと言う認識に変わりました。

実際のことろ、この2〜3時間で朝食、夕食、お風呂などを「こなしている」方が多いことでしょう。(私の子育ての時もそうでした。子どもを寝かしつける時、私も一緒に9時ごろ寝てあとで一人起きて仕事、なんていうこともよくありました。)

あるいは子どもの睡眠時間が夜は8時間程度になってしまっているかもしれません。あるいは就寝時刻が遅くなり、朝起きるのが辛い状態になっているかもしれません。

確かにそれでは昼間の活動の質は低下してしまい、結局は全体的な成長発達を促進することが難しくなってしまうでしょう。とくに午前中の10時頃が1日の中で、もっとも活発ないい時間帯になる必要があるのに、ぐったり、ダラダラ、人にベタベタしていることが目につきます。保育をしていて、その影響は非常に大きいものがあります。でも日本では社会全体が、この認識が非常に甘い気がしましす。

ここで多くの人が誤解しているな、と私が感じることがあるのですが、その一つは、お昼寝を仮に1~2時間ぐらいしているとすると、その時間を夜の睡眠時間11時間から差し引いてよいだろうと思っている方が多いことです。夜と昼の睡眠の役割は違うので、夜は夜でしっかりと十分な睡眠時間を確保してもらいたいのです。

もう一つ誤解が多いなと思うのは、昼間の運動は戸外だけに限らず、通園の際の歩行や階段の上り下り、園内での生活と遊びに伴う身体的な運動がかなりあるということです。その上で外遊びをできるだけ毎日1時間以上はとっているのですが、睡眠と運動について、食事の栄養と同じぐらい、24時間を通してどんな生活を過ごしているかを振り返ることをお勧めします。

その際、毎日繰り返すことのうち、保育園で専門的な知見を動員していろいろな工夫をしているのですが、家庭での就寝時間のずれ込みだけは、保育園からは手が届きません。これが夜の睡眠不足につながり、昼間の生活意欲や活性度の低下につながっているので、その関連を意識してもらえると嬉しいのです。

これまでの4年間、親御さん達と接してきた中で思うのは、お忙しい毎日のなかで工夫の余地があるかもしれないのはまずは夕食の時間かもしれません。夕食は手の込んだものは避けてパパっと済ませて大丈夫です。一家団欒は大事ですが、毎回献立の工夫に追われるのも、個人差もありますがストレスにならないようにしましょう。折角作ったのに食べてくれない!という気分モードにはまらないようにするのがコツ。栄養面は基本、園の給食に任せてください。

次が光のコントロール。食事から就寝までの時間、室内は白い光ではなくて、間接照明か赤い光に変えます。乳児のころから、食後はテレビやタブレットははつけない、ぐらいの習慣ができるといいのですが。いずれもブルーライトを浴びて、覚醒させてしまうからです。これらの光は依存性があります。視聴しだすとやめるのが一苦労です。

そして入浴のタイミング。日本は湯船につかるので、お風呂に入ると体温がいったん上がり、そして下がるときに睡眠ホルモンであるメラトニンがよく出て眠くなります。帰宅してから先にお風呂に入り、その後食事と言う流れの場合、子どもが寝るタイミングよりも早い段階で、一旦眠くなってウトウトし、また目覚めていないか確かめてみてください。

乳幼児の子育てでストレスがたまるのは、子どもが言うことを聞いてくれないという感覚に陥るときです。子どもが身体的にも興奮して活性化してしまうようなことをさせておいて、またそれをやめさせるというのは大変です。その悪循環になっていないかも見直したいところです。

また子どもは夜寝るときに疲れて寝るのではありません。今日も十分楽しかったなあ、という「満足感」で寝るのです。もう一つは、寝る前の5分~10分の親子でのふれあい「だらだらタイム」(おさるさんが毛づくろいをしているあのイメージ)をぜひ設けてください。眠くなった時は甘えも出ます。子どもは眠くなると、ある意味で、タガが外れて、社会的な人間関係のふれあいの欲求、親からの愛情欲求などを求め、もっとやりたいとせがんだり、ぐずったりしがちです。兄弟がいたりすると、その奪い合いになってしまうので、1人ずつタイミングをずらすか、父と母の分担をするかできると良いのですが。それが満たされると、このほっこりした「安心感」で子どもは寝ます。満足感と安心感。このが子どもを夢の世界へ誘うのです。

食後に「絵本タイム」でもいいのですが、1冊とか2冊とか約束してやるほうがいいでしょう。だらだらと何冊も読んでいると絵本をとりに行ったり活発な活動になってしまい、また覚醒してしまいがちです。絵本はできればベッドではなくリビングで。ベッドに絵本を持ち込むと「眠る」ことと他のことがセットになってしまうので、寝ることはそれだけにして。乳児のころから本当は授乳と睡眠も分けたほうがいいのですが、一般に、日本の保健師さんの指導はそこがルーズです。寝るのとセットにしたいのは「だらだらタイム」「ほっこりタイム」の方です。

そして寝るときは「真っ暗」にします。赤ちゃんも加湿器やエアコンのスイッチランプでさえ、見つめてしまいます。それもマスキングしてかくしましょう。幼児になれは薄暗くても大丈夫かもしれません。子どもが寝入ったらダウンライトをつけてもいいです。

このようなことがこれまで成功した事例から私が大事だなと思っているポイントです。当てはまりそうなところがあったらぜひ有効活用してみてください。

なお、来月1月12日(金)は保育園での夕食会を計画しているのですが、多くの方がご参加の意向です。これを機に帰宅後から睡眠までの時間の使い方をチェックしてみませんか?

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