新型コロナウイルスの問題は、温暖化の問題と同じように、飛行機などによる人の移動によって人為的に起きている文明的な危機です。つまり、いずれも地球環境に人類が大きな影響を与えるようになったことから起きているものです。地質学では、現代は新生代(6500万年前〜)第4紀(250万年前)完新世(約1万年前〜)に当たるのですが、多くの科学者が第二次世界大戦以降を「人新世」(アントロポシーネ)と名付けています。核時代の幕開けが、人類が地球を滅ぼす力を備えたからです。しかし、核以外の温暖化や病原菌の地球規模の拡散も、そのリスクの一つに加えなければならなくなりました。
昨日の専門家会議の提言を受けて政府は春分の日の20日(金)、突発的な大規模流行(オーバーシュート)が起きないように、引き続き感染防止の3条件の徹底を求めました。しかし、その一方で、悪影響が大きい、人が集まる経済活動と、休校は終わるものの、すでに(あるいはこれから)春休みに入った学校の再開については、感染の広がりの実情に合わせて、それぞれの地域で各自治体、教育委員会、企業、団体の判断に任せられました。つまり東京や千代田区は当分の間は、今の状態が続きます。
感染経路(感染源)がわからない患者(リンクが追えない感染者)の増加が課題になっているそうなので、明らかに第5次感染のフェースに移っており、移動の多い東京や大阪などの大都市で見られるそうです。ただ人口が違いすぎることと、検査体制の違いも考える必要があります。
全体像を想像するとどうなるでしょうか。検査にたどり着いた人の約8割が症状が無いか軽いので、隔離か自宅待機を余儀なくされますが、ほぼ治療も受けないで回復しているそうです。検査数に対して陽性の割合はとても少ないので、欧州のように蔓延はしていません。
ただ、今後数年かけてどういう状態になっていくかというと、仮に数年後に全ての人が検査をしたらかなりの人が元気で「陽性で、すでに免疫を獲得しているだろう」という認識が専門家から出始めています。しかも、季節性インフルエンザのように、そのような状態に移行していくというのが現実的な見通しのようです。治療薬とワクチンがない段階では、言いにくい議論ですから、なおさら早い開発が望まれるところです。
このように考えると、「COVIDー19」と名づけらた「今回の新型コロナウイルスによる感染」の教訓は、SARSの時と同じです。コビッドが秋頃に世界的に終息しても、これだけ蔓延してしまったら、このウイルスはそれ以降も進化して頻発するでしょう。
さらに、MARSもSARSも新型コロナウイルスだったように、新たなコロナウイルスが登場するのは必然ですから、そのために医療体制(家庭用検査キットの無料支給などを含めて)を整えるべきでしょう。SARSの時から、あまり変えなかったことは「喉元過ぎれば」の日本の悪い国民性なのでしょうか。日本には「人新世」に相応しい危機管理のガバナンスが欲しいです。