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園長の日記

台風10号の通過地域は最大の警戒を

2020/09/04

都会の真ん中の小さなビルの屋上やベランダで、子どもたちがプールやタライに入って涼をとる夏の水遊びも今日9月4日(金)でおしまいです。明日はこの夏3回目のプール開放を楽しんで、お開きとなります。

屋上までの階段を登っていくと、だんだん温かい空気が上の方に溜まっていることがわかります。屋上の扉を開くと、温かい空気は屋外へ抜け、1階や2階の方から冷たい空気が流れ込んできます。階段を伝わって上昇気流が発生して、階段が煙突の役割を果たします。火事の時に炎が階段を伝わって延焼する話を思い浮かべるかもしれません。

でも今は台風10号です。あんなに台風の目が大きいということは、気圧の低い中心に向かってものすごいスピードで空気が吸い込まれているからで、中心に近づくに連れて円は小さくなるのでスピードは速くなります。その分だけ遠心力も大きくなって、2つの力がバランスをとって、中心部分は風がなくなります。フィギュアスケートで羽生結弦が手足を折りたたむとスピンの速さが増すのと同じですが、身体の軸は動きません。

それにしても風速80メートル毎秒というのは、「い〜ち」と数えている1秒の間に80メートルも空気が移動するのですから、大型バスも転倒します。それだけの風が中央に吹き込んでいるのは、あの渦の中心に向かうほど、竜巻のように上昇気流になっているからで、保育園の階段のように巨大な煙突が出来ていることになります。最初の上昇気流は、赤道付近の海水が30度以上もあって、40度以上の熱風が上昇していく時にできました。西から東へ自転している地球の大気は、大気が北へ移動するときには左巻きの渦を作り始めます。

上昇していった空気は上空で拡散してしまいます。1万メートルぐらいの高さまでいくと、雲も発生できません。台風のさらに上の上空をジェットエンジンの飛行機なら飛び越えることができます。そのあたりの気圧は200hPa(ヘクトパスカル)もありません。地球規模で眺めると、薄い皮膜のような大気層の中での出来事なのです。地球を茹で卵に例えるなら、殻の厚さぐらいの中でのドラマです。

それでも、地球の表面で暮らしている私たちの周りは、大気の層が1気圧の力で押し付けています。1センチメートル四方の面積に水なら10メールの高さの重さがあります。もしこれがなかったら、私たちは生きることができません。釣り上げられた深海魚と同じく、体液や血液に溶け込んでいる酸素などが気体になって高山病にようになってしまいます。

今度の台風10号は中心気圧が915hPa(ヘクトパスカル)だと言います。一気圧は大体1000hPaですから、約1割も低いのですが、飛行機の中は800hPa(ヘクトパスカル)ぐらいなので、もし台風の目の中に入っても、低い気圧で困ることはないかもしれません。

しかし、あんなに大きな規模で大気が動き出すと、10 %の気圧の差であってもとんでもない威力になります。台風が通過する地域では、最大限の警戒が必要になりました。私の故郷は長崎なのでとても心配です。大自然に比べてこんなに小さな人間が、地球を温暖化に導いたのだとしたら、人類の行動を自らコントロールできるような自律が必要になりました。

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