3月7日の解除予定だった首都圏一都三県の緊急事態宣言が、3月21日(日)までの2週間再延期が正式に決定した今日3月5日(金)、3月21日(日)に予定している「卒園式」の実施方法について再検討しました。その結果は週明けにお伝えします。それにしても、2週間延期したところで、今日までに言われている政府の政策では、感染者数がこれ以上、減少するようには思えませんでした。こんなときは、私たちは時々「そもそも」に立ち返ってみることで、冷静な判断力を取り戻すことができるかもしれません。
私たちは何かの課題や困難に出会っても、それを乗り越えたり解決できそうだという「できるという見通し」があると安心する傾向にあります。100%やってくるにも関わらず、いつやってくるのかわからず、しかもその後がどうなるのか不明瞭な究極の課題や困難が「死」だとすると、それに至る可能性がある疾病が、人々の不安を掻き立てるのは間違いないところです。
実際のところ、日本人の全ての「死亡原因のトップ3」は、事故などではなく「病気」であって、一位ががん(悪性新生物)28%、2位が心疾患16%、3位が肺炎10%という割合です。それぞれの治療法が進んで、不治の病ではなくなってきました。特に早期に発見できれば治る割合も高くなっています。これらに対する「不安」が軽減してきているとしたら、その最も大きな原因は、やはり「治療」が向上したからではないのでしょうか。他の病気についても、そうだろうと思います。色々な病気に対して人類は「医療の質」を高めることで克服してきました。
「そもそも」医療というのは、3つの要素かると言われています。私が看護師の養成校で「教育学」の講師をしていたとき医療は「予防、診断、治療」からなるとテキストに書かれていました。私たちは病気に対しては、この3つのうち、まず「治療」が進歩することで「治るという見通し」から安心します。それに引き換え、いくら「予防」しても罹患することはあるし、症状が出ても、それがどんな病気なのかという「診断」ができないと、適切な治療に結びつきません。
新型コロナの場合は、ワクチンがない状態で「予防」が三密回避しかなくて対応が難しいし、変異ウイルスを含めて病原体へPCR検査や抗原検査などの「診断」もなかなか進まないし、そして治療薬がないなど「治療」が確立していないこと、この3つとも「見通し」がないから社会不安になっています。医療の3本柱がなく疫学的対応という1本柱で建物を建てようとしているように見えます。
このように「そもそも」で考えると、新型コロナウイルスの医療としての決め手の1つは、やはり治療薬なのでしょう。治療薬がないので、これまで、どうしても予防や診断の話になっててきました。緊急事態宣言で人と人の距離を取ろうという究極の荒っぽい予防策です。治療が難しいので、三密回避だとかワクチン接種だとか予防策の話が多くなり、莫大な費用をかける割に埒が明かない状態です。ついでに言うと、診断方法もこれまで政府ー保健所ー感染研ラインのPCR検査ばかりに偏ってきた気がします。
ところが、ここにきて海外では治療薬「イベルメクチン」が積極的に使われていると言う報道が増えてきました。アメリカでは1日に3万回も処方されています。東京医師会の尾崎治夫会長も厚生省へ早急に特例承認するよう要望しているようです。イベルメクチンは大村智(北里大学特別名誉教授)が北里研のキャンパスで1975年に発見した菌が元になっています。大村さんは、寄生虫感染症に効果がある薬の開発に結びつき(1981年アメリカMSD社と動物用の治療薬を共同開発し、1987年にはヒト用の治療薬をアフリカで無償提供を開始しました)、アフリカなどで35億人もの命を救ってきた実績が評価されて2015年にノーベル医学生理学賞を受賞しました。今でも毎年3億人が使用しています。この薬が新型コロナにも効くことがわかり、世界中で使われ始めているそうです。