2021年の7月の締めくくりは年長さん(すいすい組)のお泊まり会でした。世の中はコロナ禍の中の東京オリンピック2020の中間地点。日本の大活躍に喜んでいる方がたくさんいて、その一方で、感染力の強いデルタ株が感染爆発を引き起こし、政府が緊急事態宣言の対象を広げたり期間を伸ばす決定をしなければならない状況になっています。
そんな中で、たった一つの保育園の行事とはいえ、子どもたちが準備をして、期待に胸を膨らませ、わくわくして待っていた活動をなんとか実現させたいので、換気などの感染対策を怠らないようにしてお泊まり会をやりました。
世の中の不安定な状況を、子どもたちには1ミリだって感じさせたくないので、いつもと変わらない楽しい生活をいっぱい詰め込んだものになりました。「さあ、これからお泊まり会だね。いつもと何が違うのか、にゃん」。11ぴきのねこの「どらねこ大将」と一緒に、始まりの会はスタート。アイス作りがあることや、夕食は自分たちで話し合って決めたメニューであることなど、目をキラキラと輝かせながら説明してくれました。
ベランダでの色水遊びは、ペットボトルや製氷皿、スポイドなどを使って微妙な「色の変化」を試していました。外は曇り時々雨というあいにくの天気でしたが、水着にその後のアイス作りででは、みかん、パイナップル、もも、ぶどうなど好きな果物を選んだオリジナル。園の冷蔵庫でカチカチに凍らせて夕食の時に食べます。その後、ビーズでの制作遊び。いろんな形や色合い、デザインにこだわりを見せてくれます。
おやつの時間の後は、お手紙探し。小林先生が大好きな絵本『きょうはなんのひ?』(作:瀬田貞二・絵:林明子)が、ベースになっています。瀬田・林の絵本といえば『はじめのおつかい』や『おふろだいすき』などでお馴染みですよね。『きょうはなんのひ?』は、小学生の「まみこ」ちゃんが、お父さんとお母さんの結婚記念日にプレゼントを用意して小学校へでかけます。お母さんにそれを探してもらうために、指示やヒントが書かれた何枚もの手紙が家中に隠されています。それを次々と探し当てていくお話です。
ところが、その「まみこちゃん」から、すいすいさんたちにも「手紙」が届いたのです。なんと書かれた手紙でしょう。3つのグループに分かれて「まみこちゃんからの手紙」探しが大興奮のうちに始まりました。「あ、あった!」と見つけると、そこになんと書いてあるのかを3人で読みときます。手紙の中のある文字を組み合わせると、暗号文になっていて、その言葉は・・・?という謎解きになっています。見事に解読してしまう辺りは、さすが年長さんだと感心します。
さて、シャワーを浴びて汗を流し、さっぱりしたところで、夕食です。全部、子どもたちのリクエストメニューです。
まず主食は3種類。るうろうはん、ロールパン、ラーメン。主菜は3種類で、焼きぎょうさ、焼きシュウマイ、唐揚げ。副菜はフライドポテト。スープは中華味で2種類(卵スープと野菜スープ)。デザートは桃、さくらんぼ、メロン。そして飲み物は先日、子どもたちで作った梅エキスによる梅ジュース。いつものダイニングが、まるでバーミヤンになったみたいでした。
配膳カウンターに並んだ、これらの「ご馳走」。3回分ぐらいある、特別メニューです。面白かったのは「調理の先生にお礼を言わないとね」と先生が促すと、子どもたちが本当に嬉しそうな表情で「ありがとうございます」と。本当に心がこもった言葉でした。
食べている時にもそれは表れていて、ニヤニヤしながら「おいしい」と呟いているので、どうしたのかなと見てみたら、お皿に餃子を2個、残していたのです。
好きなものを最後に残しておくという姿に、私も子どもの頃、お弁当に卵焼きを最後まで残していたなあ、と思い出し、子ども心というものを思い起こしたのでした。その後、アイスを食べて、豪華なレストランのようなディナーは終了。
食べ終わったのが7時前でしたが、ふわあ〜、とあくびをしながら「ねむ〜い」という子もいて、じゃあ、早く寝ることにしようと話しながら、屋上で手持ち花火を楽しみました。一人ずつに先生が付いて手持ち花火ができました。「楽し〜い」と言う声が聞こえてきました。
みんなが好きな絵本「おとまりのひ」を読んで笑い転げてから「おやすみなさい」へ。ごろごろ、むにゃむしながら、ぐっすりと夢の中へ入っていきました。
翌朝は、6時から6時半ごろに起きて7時から屋上でラジオ体操。
ぱっちりと目覚めて朝ごはん。白ごはんにふりかけ、目玉焼きかスクランブルエッグ、肉団子、お味噌汁、ぶどう。昨晩あんなに食べたのに、みんな朝から食欲旺盛でした。
そして、室内遊びをしながら対面式へ。親御さんには2階に集まっていただき、活動の様子をビデオ編集した動画を見ていただき、3階での終わりの会の様子をZ00M でライブ中継しました。
一年365日の中の、たった1日のお泊まりでしかありませんが、子どもたちにとっては、きっといつまでも記憶に残る思い出の日になったのではないかと思います。
私たちの人生は、振り返ることができることがその人の人生になるのだとしたら、楽しい思い出がその人の人生の一コマになるのかもしれません。
そして繰り返し思い出されて語られるエピソードは、繰り返される経験と同じ力を持つでしょう。いえ、それ以上かもしれません。友達と一緒で楽しかった、という思い出になったらいいなと思っています。