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園長の日記

初めての指導検査で考える「リスク」

2021/10/26

開園して2年半。初めて千代田区の指導検査を受けました。本来、初年度にあるものと思っていたのですが、千代田区は4年に1回だそうです。今回の指導検査の重点的な観点は、最近の社会情勢を反映したものでした。一つは散歩先に子どもを置き去りにしてしまうような事案がないかという確認です。今年の夏、バスの中に残して閉じ込めてしまって子どもが亡くなった痛ましい事件が福岡でありました。必要なタイミングでの園児の点呼や人数確認がなされていれば防ぐことができることなのですが、当園も戸外活動が多いので、改めて留意する必要があります。また園児や保護者の個人情報をさらに保護することへの配慮も強調されました。

大きな火災があると防炎加工の布を、午睡中の突然死があると睡眠チェック体制を、 デラウエアの皮での窒息死があるとぶどうの提供禁止を、個人情報の漏洩事案があると文書掲載の禁止を、集団食中毒が起きると生野菜提供の禁止を、求められます。

コロナ禍のように、あるいは東日本大震災や気候変動のように、求められなくても「誰もが受け入れられないリスク」だと判断されるものには、その対応への着手をためらうことはありません。

ところが、家庭ではぶどうを食べることは「受け入れられるリスク」であっても、保育園では「受け入れられないリスク」となります。この判断のギャップを埋めるためには、どんな価値を優先するのかを、考えないといけません。

たとえば小さいリスクでも、集団になるとリスクは大きくなります。足し算だけではなく、場合によっては掛け算になるリスクもあります。予防接種がいい例かもしれません。仮に1万分の1の副反応のリスクだとしたら、そのリスクを家庭だけなら「受け入れず」接種しない、という判断もありでしょう、しかし集団生活の中では、その副反応のリスクを「受け入れ」て、他者へ移してしまう「リスク」と比較して、接種して欲しいと、保育園では考えます。

さらに、保育園の場合は、小さい子どもたちの「命」を預かっているので、できる限りノーリスクに近づけるという努力が必要になります。指導検査で求めるものは、それに近いと感じます。ただし、それで失うメリットの大きさも常に考えながら、ですが。

今日の指導検査の結果は1ヶ月後となりますが、本日の助言を踏まえて改善を進めるつもりです。たとえば「園だより」で、毎月載せているお誕生日をお祝いする担任からのコメントのページは、印刷媒体では、なくすことにします。ただしパスワードのあるホームページでは、これまで通り掲載します。また、保育園の保育中のケガは、全て災害共済給付を用いることになりました。

いろいろな変更がありますので、その都度、お知らせしますので、よろしくお願いします。

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