個人の発達から、関係の発達に焦点を変えてみると、面白いことが見えてきます。お楽しみ会の動画ができて、いよいよ今週末に「公開」されます。今日16日(木)は、午後から千代田区の「就学前プログラム策定検討会」の第二回が開かれたのですが、その中でも子どもの「関係の発達」について、提案してみたいと強く思いました。というのは、区内にはいろいろな就学前の施設があって、その中での育ちを保障していくためには、子どもが関わる環境について考えることが不可欠だからです。
どの子どもも「自分らしく」生きていくためには、その子にとってふさわしい環境になっていることが、どうしても必要です。区内にいろいろな施設があるのですが、策定委員会は、保育の内容に関して、保育や小学校との連携、特別な援助、子育て支援、自己評価など幅広く議論することになりました。多様は施設は、どの子どもも「自分らしく」生活していくために、準備されるべきなのですが、施設の多くは保護者のニーズに応えてできたものであり、子どものための環境になっているかどうかは、改めて精査していく必要がありそうです。
昨日15日には、同じく千代田区教育委員会が主催した研修会があって、園医の星野恭子先生(瀬川記念小児神経学クリニック)が、小中学校のいじめ問題に関して話をされました。発達神経症の特性は、いじめられやすかったり、いじめと取られてしまったりする傾向があります。その特性からくる問題を参加した学校関係者に投げかけました。私はここでも「関係の発達」問題があると思いました。その子どもの特性ではなくて、人間関係の権力関係からもいじめは発生するからです。
その子どもが生きやすくなる環境というのは、人と人の関係が安定するような関係でもあります。その関係を変えないで、発見を早くとか、させない、されない意識を育てるとか、子ども虐待の対策が児童相談所の発見能力に課題があるかのように議論がずれているのと同じように、どうしていじめや、虐待や、不登校が起きるのか、発生の構造を解き明かさない対策がいかに多いことか。人間の問題はほとんどが関係=人的環境のあり方でもあるのに、です。
劇遊びが面白いのは、一人ではできない遊びだからです。しかもやってみたら、面白くて「また、やってみたい!」という感想が飛びててくるようなものになっています。ここでみられる子どもたちが楽しく過ごしている人間関係の質と、いじめが起きてしまうような人間関係の質と、ぜひ比較してもらいたいものです。ここに「関係の発達」という問題があるのです。