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園長の日記

ちっち組の「ぴよピヨ家族」

2021/12/18

お楽しみ会の動画、ご覧になられたでしょうか。初日の再生回数はちっち77回、ぐんぐん61回、にこにこ62回、わいわい47回、らんらん58回、すいすい35回、わいらんすい合奏・合奏53回でした。多くの方にご覧いただけたようで、嬉しいです。みまさんの反応がどうだったのかわかりませんが、楽しくみていただけたのなら嬉しいです。

園生活というのは、いうまでもなく「集団」の世界です。家庭の生活とは大きく異なります。園生活には、いろいろな人がいるということは、一人の子どもにとって、複数の人と人の関係があるということになります。家庭ならパパ、ママ、きょうだい、祖父母・・3人から多くて5、6人でしょう。子どもとつなぐ線をひけば1本、2本・・6本、という線の数になります。

ところが保育園では、その数が乳児でも20〜30本、幼児では60本を超えることになります。知っている人がそれくらいはいます。まずこのことを想像してみてください。毎日、常時ではないにしても、人的環境でこれだけの人たちとの関わりが生じているのです。さらに、家庭にはない空間やもの、室内に限らず外遊びもあるので、その体験たるや、家庭の代わりに保育園があるというものでは、全くありません。家庭で保育ができないから、その代わりに預ける、というイメージでいると、子どもの体験の違いを見損なってしまうかもしれません。

このイメージを持ってもらった上で、お楽しみ会の出し物の10数分間をご覧になると、そこに見出される「人との関係の線」がいかに複雑に絡み合っているか、考えてみてください。例えばちっち組の「ぴよピヨ家族」。

そのイントロダクションは「いっぱい笑って、いっぱい泣いて、いっぱい食べて、いっぱい眠って いっぱい遊び、いろいろな経験をしながら毎日を全力で過ごしてきました。子どもたちのかわいらしく、一人ひとりが異なる表現で楽しむ姿をぜひご覧ください」です。本当に「いっぱい」の生活経験が詰まっていて、それが10分の動画の中に溢れていました。

冒頭の1分だけでも、それまでの生活の積み重ねが見えてきます。たまごの殻から6人のかわいい「ひよこさんたちが生まれましたよ〜」という先生の声が聞こえると、歩ける子は頭に被ったお面の殻を先生の持っているカゴに入れにやってきます。それをみて、僕も・・というように椅子に座っっている子も、頭の殻を外そうとする様子を見せてくれます。子どもたちは、先生の声、お友達の様子、目の前に広がる空間、そうした人や空間との間の中を、いきいきと生きています。

毎日歌っている、聴き慣れている朝の歌も、先生の歌に合わせて体を揺すり、手拍子を取りながら、頭や体を前にペコリと倒してのご挨拶も楽しそう。「じゃあ、名前、呼んでもいい?Kちゃん」というと「うん」と返事して「は〜い」。こんな言葉のやりとりが楽しくて、椅子から立ち上がって、トココトと飛び出してくる子どもたち。子どもは心と体が未分化なまま、世界を自分のものにしているとみることもできる場面ですね。

さらに、お友達のその応答の様子を、我が事のようにみながら、一緒に手をあげたり、拍手をしたりして、先生とのご返事のやり取りを共有することが楽しい、という姿が見られます。いかに普段から仲がいいか、自他未分化の子どもらしい特性も、子ども同士のつながりの心地よさも、こんなところからも感じることができます。お友達の名前が呼ばれるたびに、そこに視線を寄せるて、本人がどう反応するのかも、しっかり見ています。返事しないように見えても、それに先生が「◯◯くん、いたね」と返しているやり取りを、じっと見つめている子もいて、こんな観察によって、先生と◯◯くんの関係のありようを学んでいるようです。このような関係の複雑な重なり合いの中で、自分をつくっていくのですね。

この子たちが好きな絵本は、また関係を楽しむテーマのものです。だるまさんが、いちごさんとあいさつの「ぺこっ」としたり、バナナさんとのお尻を合わせて「ぽにん」としたり、めろんさんと抱き合って「ぎゅっ」としたり、そして縦に重なり合って窮屈な状態から「ぱっ」と解放されて、「やったー」と嬉しくなります。絵本の世界でありながら、自分がやっているかのように一体化しています。「ぎゅっ」というところは、自分でも腕を組んでぎゅっとしていますね。

「お休みはゼロ人です」という数の概念も体験しています。こんな複数の「関係の束」を拾い出していくと、これはもう書ききれませんが、こんな瞬間の連続の中で、子どもたちが刻々と意味ある体験を積み重ねていることがわかります。個人の育ちというものが、いろいろな関係の中で育まれていて、その関係そのものが変わっていくことが集団の育ちにもなっていくことを、次回はぐんぐん以降と比べてみたいと思います。

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