どの子も満3歳になっていく1年間。それがにこにこ組(2歳児クラス)です。それにしても、今年のこのクラス、只者ではないぞ、とワクワク感に溢れています。今日の保護者会でみていただいた最近の動画で、トランポリンの遊び方のルールを子どもたちで決めているではないですか?これはすごい。このようなことができるのは、発達心理学の教科書では、3歳児クラスで紹介されていることが多からです。
これはきっと、ぐんぐん組の時の過ごし方がよかったからでしょう。どのようによかったのかというと、子どもとの関わりの中で生まれる内的体験から、いろいろな思考(考える力)が育まれていることが大きいです。それまでの体験から、新しい場面へ応用しています。自分で考えて行動するプロセスがはっきりと育っています。しかも、相手がいて、自分との考えも調整しないといけないのです。自分は「こうしたい」という自己認識と、お友達は「きっと、こうんなだろうな」という想像的認識とをすり合わせて考える、ということがちゃんとできている。これって、そう簡単なことではないのです。
社会性の育ちと一言で言っても、ちっちの頃、ぐんぐんの頃と、内的体験の積み重ねがあって初めて育ってきている力なので、ただ「仲良くしよう」と言ってもできるものでありません。しっかりと根がはり、幹が育ち、まだ小さいながらも葉っぱを広げ始めてきた子どもたちです。これからが楽しみなクラスになりました。
保護者会では、ぐんぐんからの持ち上がりの先生と、にこにこ組の経験があるベテラン先生の二人から、この1年間がどんな生活になるのかを詳しく説明してもらいました。ぐんぐんの頃から身につき始めている「基本的な生活習慣の自立」も満3歳を目安にしながら、確立していきます。わいわい組(3歳児クラス)では、保育士配置も20対1になるほど、自分でできることも増えます。それだけ、この1年の成長は大きいものになるでしょう。
心の発達の特徴として、満3歳を過ぎて顕著になってくるのは、やりたいことが不適応行動にならないように、「こっちならやっていいよ」という適応行動が選択できるように、環境を構成することです。例えば、机の上に登って飛び降りるということをやる子がいたら、机には乗らないで、トランポリンでやろうね、というようなことです。ところが、やってはいけないけどやりたい、でもやっていいものが見つからない、という状況も起こり得ます。これは今食べちゃダメだから後でね、ということがあったとして、我慢できずに食べてしまったとします。
すると、にこにこぐらいまでは「食べちゃった、えへへ」で許されるのですが、同じようにそれ食べたいけどルールを守っているお友達に見つかったら詰られる、とか先生に見つかったら怒られる、という関係の中に置かれると、「隠れてやる」「食べてないよと嘘をつく」ということが起きてしまうかもしれません。ここで関わり方のポイントがあるのですが、本人が見つかたらやばい、と認識しているということは、ルールはわかっていて守れない自分への罪悪感も育っているということです。
「ああ、悪かったな」と素直に謝れることができる子どもに育てたいのなら、「そんなにやりたかったの」と、一旦、そのどうしても我慢できなかった気持ちを共感してあげてください。すると大抵は、素直に「うん」と認め、そこから「じゃあ。今度は◯◯してみる」という「自分から」という心の動きが生じるはずなのです。それが本来の「自発性」です。行動ではなく心の動きとしての、内面での、目には見えない心の動き、自分から一歩踏み出す心の動きです。これが態度=心の姿勢を形成していくのです。本当の意味で心のこもった「ごめんね」ができるような子どもに育つためのスタート地点です。
まだ友達との関わりの中で、手や口が出てしまうこともありますが、それは自制心と実行機能が育つことで解消されていくので、もうしばらく注意して見守っていきたいと思いますのでよろしくお願いします。また身体的な活動の幅も広がります。室内だけではなく、戸外遊びも増えていきます。立ち乗りバギーも使って、いろんなところへ遊びへ行けることでしょう。たまにはバスに乗って木場公園などにも散策に行きましょう。自然との触れ合いも増やしたいですね。