保育園や新しい生活に「慣れていく時期」にあたる子どもたちは、遊びや友達や先生との関係の中に、新しい遊びや新しい人間関係をつくっています。それら空間や物や人という環境は、その子どもの内面から感じ取る世界そのものです。一人ひとりにとって、ふさわしい空間、やってみたい遊び、一緒にいたいお友達、そうした違いがそれぞれにあって、それぞれの居心地のいい場所やモノや相手を見つけていきます。
それはまるで、絵本「どろんここぶた」のこぶたが、大好きなどろんこの中に、ずぶずぶと沈んでいくのと同じです。昨日水曜日は、園長の私が絵本を読んであげる時間があったのですが、「何にしようかな?」と探していると、先週読んであげた「どろんここぶた、がいい」という声があがりました。へえ、そうなんだ、と思いながら、3冊読んであげた中に入れました。このお話は、お家の中を掃除機で綺麗に掃除して「ああ、気持ちがいい」と喜んでいる大人のおばさんにしてみると、庭の豚小屋が汚くて見てられず、どろんこもなくし、こぶたくんもお風呂にまで入れて、着飾ってあげてパーティーにまで連れていくのですが、途中から機嫌が悪くなったこぶたは、綺麗な衣装も破り捨てて、家を飛び出し、どろんこを探しに出かけてしまう、というものです。
このお話に、子どもたちが惹きつけられるというのは、とっても示唆的なのですが、自分の居場所を探しているこの時期の子どもたちにとっては、こぶたのとった行動は、自分の気持ちとどこかで通じるものがあるからでしょう。3階の運動ゾーンで読んであげていたら、4月に入園したばかりの子が、いつの間にかちゃっかり私の膝の上に座って、このお話に聞き入っていたので、ずっとそのままにしてあげました。私の膝のも、どろんこだったのですね。