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園長の日記

保育園の役割

2023/01/17

朝の玄関周辺は、その日の調子がよく伝わってくる面白い空間です。一目散に駆け込んでくる子、お父さんに段ボールを持って来させている子、サッカーボールを抱いたままの格好でお父さんに抱っこされてきた子。いろんな表情を見せてくれるのが保育園の朝です。

朝は7時半から9時半までの、2時間の幅があるのが保育園らしさでしょうか。出勤する時間に合わせて、生活のリズムにあった登園、そしてお迎えの時刻になっています。東京都の場合は、たいてい最低11時間開いているのは、勤務時間、通勤時間の多様化に合わせるように、という強い決まりがあるからです。その11時間を超えるところからが延長保育になります。まあ、こんな長時間保育を平気で続けているのは、先進諸国でも減っているはずですが。

それはともかく、忙しいのが働く保護者の皆さんの朝の時間。「お願いだから、早くして。もう行かないと」「お約束したでしょ、今日はやるって」こんな会話が聞こえてきます。ある種の微笑ましい保育園の朝の光景です。9時半ぐらいから、登園が一通り終わると、私は園内をぐるぐると回って、子どもたちの顔色を見て回ります。遊びに夢中で、こちらを見向きもしない子たちがほとんどです。なかには私とひとしきりおしゃべりをする子もいます。あるいは不安げな子がいたら、近寄っていくと、私の膝の上で抱かれてしばらくくつろぎ、自然と離れてくこともあります。

さて昨日16日の月曜日。コロナで延期になり2月下旬からくる実習生の2人に、オリエンテーションでこんな話をしました。実習はできるだけ同じクラスに連続して入って、子どもの生活や学びのつながりをよく見てほしい。興味や関心から何がどうつながって発展していそうか。そのつながりの中で、こんなことが体験できたら、もっとこうなるんじゃないか、そんなひらめきが指導案の種になるんだよ、と。

また子どもにとってのお友達が安心できる拠り所になっていることが多いことも気づけるといいね、と。ほら、あそこにいる子たち。遊びに夢中で、こちらを見向きもしない子たちがほとんどでしょ。そこで何が起きているのか、よく見てみてください。その子ども同士の関係の中で育っているもの、学び合っているものを、遊びの中から見出せるといいよね。

そして子どもの保育だけではなく、保護者支援もあるから、朝夕の受け入れや連絡のやり取りをどうやっているか、保護者の子育てをどう支えるかも大事だよね、と。・・・・といった話です。

いろんな家族が寄り集まって一つの社会を作っている保育園。子どもだけが家族と保育園という両方の場を行き来して体験して育ちます。大人は片方しか知らないのですが、実は保育者の方が、保育園だけしか知らないのに、そこの体験だけで育ちや学びを捉えようとすることは限界があります。だからこその生活の連続性の把握が大切になります。お互いに、家と園の様子を伝え合う、理解し合うということです。

そう考えれば、就学前施設でも、あるいは就学先の学校でも、就学の前後の縦のつながりだけではなく、家族単位の横のつながりや家庭と園・学校の横のつながりが、架け橋の縦のつながりと併せて大事で、そのつながりが相互に重なり合っていくように、保育園時代の親御さん同士の関係を紡いでいくことも、保育士の仕事だなぁ、と思うのでした。

 

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