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園長の日記

戦争を回避する戦略へ

2023/08/12

私は長崎で生まれ育ったので小学校は8月9日は登校日でした。ウランと併せてプルトニウムのことも調べたことがあります。毎年8月15日が近くなると第二次世界大戦のことが話題になります。アフリカのウラン鉱をドイツも入手していたことを知ったアメリカがマンハッタン計画を急ぐことになるわけですが、その裏舞台の一面、ウランの採掘会社が残した膨大な記録に基づくドキュメンタリーを興味深くみました。78年経っても、まだ知られていなかったことが出てきます。

こういうのを見ると、戦争は台風が発生する仕組みに似ていると思います。発生しやすい条件があるのです。一旦発生してしまったら、その台風の目に向かって、あらゆるものが吸い込まれていきます。ウランの採掘会社のアメリカへの売り込みも「まさか原爆に」となるとは思っていなかったようです。とにかく、始まらないようにしなければなりません。

人類の進化の過程のどこかで、協力してやっていくことを覚えたのに、こうも「戦争」がやまないのは矛盾にみえます。主要因はやはり人間性よりも「仕組み」や「環境」のほうでしょうか。たとえばナチスの宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッベルスについて、その秘書は「彼は普通の人だった」と言う証言をしています(映画もありますが)。戦争の構造や特性があり、再現させない方法があるはずなのです。

また失敗の科学からみると戦争が起きるととを「失敗」とは捉えてないように見えます。戦争を起こさないことを成功とするなら、その成立要因を少なくしていくこと、無効化していくための戦略とPDCAが弱いかもしれません。資源も経済的な格差も要因です。EUはその反省から生まれたのですが、日本はせめて東アジアに信頼されるエリアを作り出す役割があっただろうに、とジャック・アタリは悔やんでいます。

現実は抑止論を軸としたもの。攻めてくるやつがいる限り守る必要がある。力が均衡するから抑制されるという意外と単純な構造です。でも相手のいることですから、一国の話では無理です。これを相手の利害動機を相互に第3項へ止揚させる仕組みができないだろうか。それは壮大な国益の無駄だと悟る仕組みが。国連の力を構造的にもっと強化するべきなのでしょうが、それも至難の業でしょう。そこに繋がる具体的な戦略がもっと提案されてもいいだろうけれど。

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