昨日16日(月)に東京理科大学で開かれた3回乳幼児STEM保育研修会(主催・乳幼児STEM保育研究会)がありました。この研修会は、今回で3回目だったのですが、STEMという切り口から入ったとしても、実際の保育は要領や領域環境などの中で言われてきたことと変わりはなく、他の分野と同じように日常の中にあるものから、どのようにそれを見つけるか、取り出すか、あるいは実際に環境を用意するかということだと思います。
この数年、幼児教育と科学の関係を考えることが増えました。そこで読み返しているものに『理科大好き!の子どもを育てる 心理学・脳科学者からの提言』(無藤隆編者・北大路書房 2008年)があります。幼児期から中高生までの理科の在り方についての本で、出版されて15年ほど経ちますが、内容の性格からしても、普遍的なこと、原則的なことので、今でもとても参考になります。特に第1章の12の原則は、ことあるごとに読み返しています。その中に乳幼児にも通じるものがあるのです。
その12を書き出すと、次のようになります。
・身体的動きの原型から発する・自然への気づきは恣意的なものではない・驚異の念を保持する・好きなことから注意を育てる・日常的世界の見方をかえる・ものを作り出し、組み立てる・抽象への移行を支える心的モデルを作る・科学的探索の技能を教える・知識を組み替えていく・熟達のモデルに出会う・学びを尊重する文化を育てる・適時に学び、早期に展望し、遅く理解する
この本のことを思い出したのは、そこに書いてあることとで、研修会の実践を振り返ると理解がつながって、個人的にはとても有意義な気づきを得ることができました。
それは、誤解を恐れずに端的にいうと、次のような感じです。
・子どもの楽しい、面白いというところから始まって、既に持っている本人の既有知識が身体的働きを通じて新しい気づきを得ながら、それがセンスオブワンダーを保持していきながら、さらにもっとどうなっているんだろうという、世界への探究に向かっていく動きが生まれていくこと。
・そこには、わかった!やへえ、そうなんだ!などが起きていて、じゃあ、ちょっとこうしてみたらどうなるかな、という工夫や試行錯誤が、それは言い方を変えると環境との関わり方や意味を取り入れていくプロセスが生じていて、そのプロセスの中には、新たに関心から注意がそこに向かうので、つまり環境からの<呼びかけ>が新たに<聞こえてくる>ようなことなので、さらにそこへ入り込もうとする<思いつき>や<ひらめき>が生まれている。
・その思いつきやひらめきは、最初の楽しい、や面白いという感じがあればこそ、そこには遊び心が躍動している感じが大事。リラックスしていて、なんでもやっていいんだという開放された心理状態になっている方がいい。何か期待されていたり、正解が求められているという変なプレッシャーなない方がいい。自分と対象との関係の間に、面白さや楽しさがあるから、その営みの循環が起きていることで、さらに先に進んでいくことができる。
こんな感じです。ステムの実践は面白いですね。