昨日12日は睡眠講座だったのですが、残念ながら参加者がいませんでした。この講座の内容は「私のいち推し」なので、大切にしているポイントを私なりに以下、まとめてみました。
朝登園してから家に帰るまで8時間から10時間ほど、保育園での生活があるとすると、自宅で夜の睡眠を10時間から11時間とってほしいので、24時間のうち通園時間を除くと、残りの時間はわずか3~4時間ということになります。
睡眠講座の永持先生とそのことがよく話すのですが、スウェーデンやベルギーの育て事情を先生のご友人の方から伺うことがあります。保育園のお迎えが夕方6時だとして8時半までにベッドに入るとすると2時間半ですが、日本では2時間半しかない、と言う受け止め方になりますが、睡眠先進国と言われている国の方の受け止め方は違っていて「2時間もあるのに、どうしてそれまでにできないのか不思議だ、中学生でも9時には寝ている」と言う反応らしのですが、その話を聞いたとき、私はにわかには信じられませんでした。でも、数々の事例を伺っていると、いまでは日本の方が遅れているんだと言う認識に変わりました。
実際のことろ、この2〜3時間で朝食、夕食、お風呂などを「こなしている」方が多いことでしょう。(私の子育ての時もそうでした。子どもを寝かしつける時、私も一緒に9時ごろ寝てあとで一人起きて仕事、なんていうこともよくありました。)
あるいは子どもの睡眠時間が夜は8時間程度になってしまっているかもしれません。あるいは就寝時刻が遅くなり、朝起きるのが辛い状態になっているかもしれません。
確かにそれでは昼間の活動の質は低下してしまい、結局は全体的な成長発達を促進することが難しくなってしまうでしょう。とくに午前中の10時頃が1日の中で、もっとも活発ないい時間帯になる必要があるのに、ぐったり、ダラダラ、人にベタベタしていることが目につきます。保育をしていて、その影響は非常に大きいものがあります。でも日本では社会全体が、この認識が非常に甘い気がしましす。
ここで多くの人が誤解しているな、と私が感じることがあるのですが、その一つは、お昼寝を仮に1~2時間ぐらいしているとすると、その時間を夜の睡眠時間11時間から差し引いてよいだろうと思っている方が多いことです。夜と昼の睡眠の役割は違うので、夜は夜でしっかりと十分な睡眠時間を確保してもらいたいのです。
もう一つ誤解が多いなと思うのは、昼間の運動は戸外だけに限らず、通園の際の歩行や階段の上り下り、園内での生活と遊びに伴う身体的な運動がかなりあるということです。その上で外遊びをできるだけ毎日1時間以上はとっているのですが、睡眠と運動について、食事の栄養と同じぐらい、24時間を通してどんな生活を過ごしているかを振り返ることをお勧めします。
その際、毎日繰り返すことのうち、保育園で専門的な知見を動員していろいろな工夫をしているのですが、家庭での就寝時間のずれ込みだけは、保育園からは手が届きません。これが夜の睡眠不足につながり、昼間の生活意欲や活性度の低下につながっているので、その関連を意識してもらえると嬉しいのです。
これまでの4年間、親御さん達と接してきた中で思うのは、お忙しい毎日のなかで工夫の余地があるかもしれないのはまずは夕食の時間かもしれません。夕食は手の込んだものは避けてパパっと済ませて大丈夫です。一家団欒は大事ですが、毎回献立の工夫に追われるのも、個人差もありますがストレスにならないようにしましょう。折角作ったのに食べてくれない!という気分モードにはまらないようにするのがコツ。栄養面は基本、園の給食に任せてください。
次が光のコントロール。食事から就寝までの時間、室内は白い光ではなくて、間接照明か赤い光に変えます。乳児のころから、食後はテレビやタブレットははつけない、ぐらいの習慣ができるといいのですが。いずれもブルーライトを浴びて、覚醒させてしまうからです。これらの光は依存性があります。視聴しだすとやめるのが一苦労です。
そして入浴のタイミング。日本は湯船につかるので、お風呂に入ると体温がいったん上がり、そして下がるときに睡眠ホルモンであるメラトニンがよく出て眠くなります。帰宅してから先にお風呂に入り、その後食事と言う流れの場合、子どもが寝るタイミングよりも早い段階で、一旦眠くなってウトウトし、また目覚めていないか確かめてみてください。
乳幼児の子育てでストレスがたまるのは、子どもが言うことを聞いてくれないという感覚に陥るときです。子どもが身体的にも興奮して活性化してしまうようなことをさせておいて、またそれをやめさせるというのは大変です。その悪循環になっていないかも見直したいところです。
また子どもは夜寝るときに疲れて寝るのではありません。今日も十分楽しかったなあ、という「満足感」で寝るのです。もう一つは、寝る前の5分~10分の親子でのふれあい「だらだらタイム」(おさるさんが毛づくろいをしているあのイメージ)をぜひ設けてください。眠くなった時は甘えも出ます。子どもは眠くなると、ある意味で、タガが外れて、社会的な人間関係のふれあいの欲求、親からの愛情欲求などを求め、もっとやりたいとせがんだり、ぐずったりしがちです。兄弟がいたりすると、その奪い合いになってしまうので、1人ずつタイミングをずらすか、父と母の分担をするかできると良いのですが。それが満たされると、このほっこりした「安心感」で子どもは寝ます。満足感と安心感。このが子どもを夢の世界へ誘うのです。
食後に「絵本タイム」でもいいのですが、1冊とか2冊とか約束してやるほうがいいでしょう。だらだらと何冊も読んでいると絵本をとりに行ったり活発な活動になってしまい、また覚醒してしまいがちです。絵本はできればベッドではなくリビングで。ベッドに絵本を持ち込むと「眠る」ことと他のことがセットになってしまうので、寝ることはそれだけにして。乳児のころから本当は授乳と睡眠も分けたほうがいいのですが、一般に、日本の保健師さんの指導はそこがルーズです。寝るのとセットにしたいのは「だらだらタイム」「ほっこりタイム」の方です。
そして寝るときは「真っ暗」にします。赤ちゃんも加湿器やエアコンのスイッチランプでさえ、見つめてしまいます。それもマスキングしてかくしましょう。幼児になれは薄暗くても大丈夫かもしれません。子どもが寝入ったらダウンライトをつけてもいいです。
このようなことがこれまで成功した事例から私が大事だなと思っているポイントです。当てはまりそうなところがあったらぜひ有効活用してみてください。
なお、来月1月12日(金)は保育園での夕食会を計画しているのですが、多くの方がご参加の意向です。これを機に帰宅後から睡眠までの時間の使い方をチェックしてみませんか?