大谷選手が週間MVPに!というニュースを聞いて、保育に関係することで2つのことを思い出しました。一つは自尊感情に関することです。日本の青少年は国際比較調査で他の国にくらべて自己肯定感が低いとよく言われてきのです。それについてNHK白熱教室で有名になったマイケル・サンデル教授が、こんなことを言っているのです。
「よく『日本人は自己肯定感が低い」と指摘する意見がありますが、それは日本人には『自分の成功は自分自身の力ではなく、周りの人々の支えがあったおかげだ』とという認識があるからです。そして、成功者であっても常に謙虚な気持ちを忘れることはありません。こうした考えから、彼の能力が数年で衰えるとは考えられず、ますます活躍できると確信しています」
この中の「彼」とは、大谷翔平のことです。
この説明をきいて、そういう見方をしたことがなかったなあ、なるほど、と思ったのです。確かに高校野球でもプロスポーツの選手でも、監督やスタッフやファンやチームメートへの感謝を口にすることが多いですよね。このことと力の発揮が関係するとしたら、共主体(co-agency)の見方に通じるんじゃないだろうか、と思ったのです。
そしてもう一つ思い出すのは、あるスポーツ番組で大谷選手がインタビューに答えて、なぜそんなにホームランを打てるのかという質問に「バントでボールに当てる感覚でバットを振っている」といったような説明をしていたのです。これはアフォーダンスの感覚を説明していることになっているんじゃないかと思ったのです。「ボールが止まってみえる」とか「サッカーボールぐらい大きく見える」といった話も聞きますが、この知覚と行為の結びつきを説明することばには、このように感じている主観の世界が垣間見える気がします。