毎月野菜の味を探究している「味覚の冒険」ですが、今月は、12月らしく趣向をちょっと変えてローストチキンをやってもらいました。なんとも香ばしいにおいがダイニングに広がり、まるでぐりとぐらの絵本の世界のように、その香りに誘われて集まってきます。
1羽丸ごと焼いていくので、始まる1時間ぐらい前から準備が始まりました。いつものように午前中は2歳児クラス。夕方は幼児クラスを対象に2回やりました。
野菜とちがって「とり」となると、調理の途中を観察することがどうなるのか、ちょっと気になるところでしたが、上手くいきました。美味しい、おかわり!という声ばかりでした。
この活動をここで紹介するときに、毎回思うのですが、文字と写真では味のおいしさをお伝えできないということ。ただ、じっと見つめている表情や、それを美味しいと食べている子どもたちの様子、見学に来られている民生児童委員の方々の率直な感想を介して、想像していただきましょう。
午後の振り返りでは、鳥が出てきた時は「いつもと違う目つきだった」と、子どもにも強い印象があったのようです。
子どもたちの目の前で切り分けていったのですが、手羽先や胸肉、ささみ、ものなどの部位も説明していたので、そういう意味での「リアルさ」も、子どもなりにあったはずです。そのさじ加減は大事なところだったので、「あまり突っ込みすぎないように」配慮していました。
大人でも、生きている時の様子を思い浮かべてしまうと、食欲に影響します。その心配です。そこはさらりと流してもらいました。またシェフの江口さんによると「何度もやってきた経験から、そこは絶対に外さない自信がありました」と話していました。
つまり「そら先生」と子どもたちとの間にできている信頼関係が、その心配を消し去っていったようです。この信頼関係というのは、8月9月10月11月と過去4回の積み重ねから、子どもに「いつものように美味しいだろう」という予感を抱いているということです。確かにとびきり美味しかったから、もっと食べたいという声になっていたのでしょう。
今回は、子どもの味の探究という意味では、普段とは違う視点からの考察になりました。考えがいのあるテーマです。