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園長の日記

朝から「わくわく」「ドキドキ」で始まる1日に

2021/11/17

朝、本当にワクワクして1日が始まるのと、なんとなく受け身で始まる1日とでは、生き方が全く変わってくるんじゃないか。それは大人も子どもも一緒だと直感したら、なんとなく始まる1日は、何ともったいないものでしょう。朝一人ずつに大きな風船を膨らませてあげて渡して、運動遊びをしました。風船を渡すと、上に投げて落ちてくる風船を上手に受け止めるだけでも、普段あまりやらない運動になっていました。ネットに風船をいっぱいのせて、ネットを揺らして落ちてくる風船を受け止める遊びをしました。

時々、風船の取り合いになって喧嘩も始まるのですが、その時、本気で何かを訴え合う欲求のぶつかり合いは、そこで得るものに間違いはないと思えました。そうそう、もっと本気でぶつかり合っていいよ、と。朝からこんなに気分が発散するとその後の活動も落ち着きます。今日の午前中は年長さんの「お手伝い保育」でしたが、事務室グループは「秋拾い」に出かけました。ワクワクしながら柳原通りを歩いて、ボタン屋さんまで行って挨拶して、柳原神社に寄って帰ってきました。たったそれまでなのですが、その途中に落ちていた落ち葉を拾ったり、変わった形の石を見つけたりしながら戻ってきました。途中で、駐車場の料金を確かめている方に「何をしているんですか」とインタビューもしました。

好きな色の画用紙を子どもが2枚ずつ選び、6枚を継ぎ合わせていたのですが、その並べ方も「交互」にしていて「こっちがいいよね」だそうです。そして葉っぱを木工ボンドで貼り付けました。見ていると、花とか蝶とか、鳥などを葉っぱで形作りっていました。同じ色の葉っぱを並べ、それに枝を繋ぎ合わせていました。玄関に立派な装飾ができました。

何気ない活動なのですが、横断歩道の渡り方も上手になったり、桜の木の見分け方を覚えたり、木についている葉の色と落ち葉の色の違いに気付いたり、消火栓の意味が分かったり、ちょっと地域探検を楽しみました。

業平小の運動会で青木さんがダンス指導

2021/10/30

東京スカイツリーのすぐそば、墨田区立業平小学校で10月30日に開かれた運動会を見てきました。6年生の3クラスとさくら学級86人による出し物が、ダンサーの青木尚哉さんが指導したダンスだったからです。

演目は「虹色の風を起こせ」。内容は一人で歩くこと、数人が並んで歩くこと、漢字一文字のイメージを数人のグループで表現すること、そして、千代田せいがでもやった「マネキン」などのワークで構成されていました。運動会は校庭で行われたのですが、真っ青な秋空に揺れていたのは6年生が作った傘の作品でした。

ある枠があっても、その中の動き方を自由に作り出すと言う創造性に主眼が置かれていることがわかります。例えば6人が横1列に並んで歩くワークでは、スタートとゴールは並んでいるのですが、途中では誰かが速く走ったり、止まったり、ゆっくり歩いたり、ランダムに動く模様ができます。それをお互いに見ないでゴールを一致させるというものでした。タイミングやスピードを自分たちで考える面白さがあります。

作品のパンフレットによると「まずは動きのアイディアをできるだけ出し合って、そこからより見せたい動きや、場所の使い方、他のグループとのつなぎ方も考え、工夫を重ねてきました」。これを授業で作り上げるまでに、7月に1回、9月に2回、そして10月に8回のワークショップを重ねてきたそうです。

学校とアーティストの橋渡し役を担っているのは、NPO「芸術家と子どもたち」で、「パフォーマンスキッズ・トーキョー」(PKT)という活動を平成20年度から展開しています。その代表の堤康彦さんによると、ダンスや演劇音楽などプロのアーティストを学校や児童福祉施設等に10日間派遣しワークショップを行い、子どもたちが主役のオリジナルの舞台作品をつくります。令和2年度までに都内小、中、特別支援学校156校、文化施設65カ所、児童養護施設33カ所などで実施、約9400人の子どもたちがアーティストとの素敵な出会いを体験しています。千代田区では昌平小学校がダンスで浅井信好さんとのコラボレーションしています。

小さいうちに、芸術家やアーティストと出会う体験は深いところで興味や関心を刺激します。乳幼児の体験の中にアートとサイエンスを、増やしていきたいものです。

 

第3回 親子運動遊びの会

2021/10/24

第3回親子運動遊びの会を開くことができて、本当にホッとしています。後片付けを終えて園に戻り、12時半から1時間ほど反省会を開きました。全員で感想を話し合いました。コロナ禍にあっても、なんとか開催できて、子どもたちも楽しそうだったので、よかったという感想がベースなのですが、私たちからの目線だけではなく、ぜひ、保護者のみなさんからも感想をお寄せいただけると嬉しいです。

今年も青木尚哉さん率いるダンスグループZero(ゼロ)のダンサー、芝田和(しばた・いずみ)さんと宮崎知佳(みやざき・ちか)さんと一緒に自由に体を動かして楽しむことできました。反省会で出た言葉を、以下、カッコ「 」付きで繋いでいくと、「時間は短かったのですが、いろんな要素がぎゅっと詰まった時間」でした。

特に最後に青木さんのダンスをライブで見てもらったことで、「ちよだせいがの保育が、何を大事にして、何を目指しているのかに共感してもらえたんじゃないか」としたら、私としてもこんなに嬉しいことはありません。決まった振り付けを覚えるのではなく、内面の動き、イメージを外に表すことの素敵さです。

反省会でミュージシャンでもある坪井保育士が「プロのアーティストがやっていることと同じ創造的な活動になっている」と説明してくれました。それを目指しているのは間違いありませんが、そうなっていたら、これまた嬉しい。「昨年の姿を思うと、こんなに積極的に楽しそうに参加してくれて、すごい成長だなあと思った」という姿がいくつも挙がりました。保護者の皆さんはどうお感じでしょうか。

幼児(わいらんすい)の第二部の方では、保護者の皆さんと先生とで、大人が輪になって「鬼さん、鬼さん何するの」をやってもらいました。その姿を子どもたちがみるというプログラムを入れたのですが、「大人が体験してもらうことで、子どもの世界を想像してもらいたいし」「親子が一緒に生きる世界が重なって、同じ感覚を共有できる」「小学校にも、そういうのはある」などの感想がありました。どうだったでしょうか。

青木さんは「これするの、のところで、何もしないで、じっとしておく、もアリです」といっています。

私は何かの目的のために頑張って、その頑張りが褒められるという評価の仕方は、小学校以降でいいと考えています。知識や技能のコンテンツがいっぱい待っています。発達課題としても目標に向かって何か学ぶ「勤勉さ」は獲得してほしい。でも、そのとき「劣等感」を持たせないようにしたい。

だからこそ、就学前の乳幼児期には、その部分は半分でいい。残りは条件のつかない自信をいっぱい育ててあげたい。多くのコンテンツを自分から獲得に行ける意欲の根っこを太くしてきたい。エンジンを大きくしておきたい。

そのままでいいという無条件の愛と承認が、この時期の子どもたちの必要条件です。その温かい人間関係の土壌から、自分で目覚め、立ち上がり、歩んでいく力が育ちます。多少早くコンテンツを詰め込んでも、そんなものは1年も立たないうちに追いつかれます。

体を思い通りに動かすことの自由。脳の発達の柔らかいうちに、その創造力の元の元、をいっぱい動かしておきたい。大人が「鬼さん〜」をやってみて、その難しさ、自分の頭の硬さ、発想の貧弱さを感じませんか? 私は最初恥ずかしさを感じ、やってみると難しさを感じ、何度かやっているうちに面白くなって、その心の変化を実感しました。子どもはそこが解放されると、中から湧き上がってくるようになります。

わになって遊ぶわらべうたを、たくさんやったほうがいいなぁと、気づいた瞬間でした。

子どものその素晴らしさは、自分の体だけではなく、考え方、感じ方、試し方、生き方も自分なりの自由な精神性の開発につながっていくでしょう。その道筋はさまざまでいい。その子らしさの世界は広く、深いものです。

創造性と美を感じたダンス

2021/10/04

再現するものが模倣表象なのか、それとも創造表象なのか。

その境目が満4歳前後にありそうなことが、今日のダンス遊びで見えてきました。

模倣表象というのは、見たり聞いたりと、体験したことを、目の前に再現する模倣です。見立て遊び、ごっこ遊びなど多くの模倣遊びがこれです。昨年のお楽しみ会で見ていただいた劇遊びも、これに含まれます。歌を歌うことも再現ですし、何かを学んで身につけることも、実は「真似ぶ」を語源とする「学ぶ」ことと言えますから、発達や成長というのは、生き物としての力が環境から、いろいろなものを心身に取り入れていることになります。

一方、創造表象というのは私の造語ですが、ダンスのインプロビゼーション(即興表現)のように、「こんなのどうだろう」というように、自分で感じたものや、頭に浮かんだ身体イメージを、身体を通じて自分なりの形で表現するようなプロセスが色濃いものです。実は、こちらの「創造」の方も、その中身を分析してしまえば、模倣として取り入れた要素を、自分なりに編集し直しているに過ぎません。創造というと無から何かが生まれるように考えるかもしれませんが、それは間違いです。元々は、真似して学び身につけたものを、組み合わせ直しているに過ぎません。

ちっち、ぐんぐん、にこにこの子どもたちは、模倣遊びとしてのダンスを楽しんでいました。グーパー体操や動物など、イメージしやいものかどうかで、体が動かしやすいかどうかになっていました。ところがらんらん(4歳)やすいすい(5歳)になると、自分なりに「ポーズ」を取ったり、創造的な動きを作り出すような動きも楽しそうです。自分で好きなようにする自在感を持って、自分らしい「自己表現」を楽しめるようになってきました。

さらに今日、面白かったのは、このダンス遊びと、他の運動遊びの違いがはっきりした場面がありました。それは「美」への感覚が動いているということです。わらすがソロダンスステップをやるときに、今日初めて参加してくださった宮崎知佳さん(バレーダンサー)の、見本として行ったスキップが美しくて、子どもたちも気持ちがグッと前を向いたことがはっきりわかりました。

足の上げ方が高い、高い(笑)。やっぱり、アーティストの本物に接することは大事ですね。

今日は青木さんと芝田さんが行うポイントワークも「すご〜い」という感想が出るほどに綺麗にキマっていて、みんな、ぐ〜っと引き込まれていました。綺麗なんです。その感覚は子どもたちに、確実に伝わっていました。それがわかるのも幼児になってからだろうと感じました。これを見た後の子どもたちの「マネキンとデザイナー」は、本気度が違っていたのでした。

 

活況だった屋台のお店やさん

2021/08/18

「いらっしゃ〜い、いらっしゃ〜い」。屋台のお店から売り子の声が聞こえてきます。「園長先生も買ってって〜」と呼び止められて、「わあ、おいそうなアイスに綿菓子、ドーナッツもカラフルで綺麗だなあ」と返事。ちょうど入園先を選んでいる見学者の案内をしていたのですが、2階の屋台マーケットは、活況を呈していました。

お祭りにつきものの屋台ですが、コロナ禍でまともにお祭りを経験してない子どもたち。でも4歳のらんらん、5歳のすいすいの子どもたちは、お祭りの夜店で「買ったことある〜」と教えてくれる子もいて、屋台のイメージを持っているようです。この2年間、ブランクを感じさせない子たちで、私はホッとして、嬉しくなりました。

昨日と今日の2日間、子どもたちが作り上げた屋台マーケットですが、すでに「お持ち帰り」でご覧になった方はご存知だと思いますが、どれもよくできていて、物をよくみているなあと感心です。焼きそばの上に乗っているのは、キャベツとにんじん、赤い紅生姜のトッピング。わたあめの袋は、「せいがぼうや」のお見本を真似て描いた子どもたちの絵です。たこやきの緑色は青のり、パックにはかわいいタコの絵もついています。

世の中はVR(仮想現実)やAR(拡張現実)が流行っていますが、子どもたちにとってはアナログな模倣が創造力の源泉です。実際の生々しい体験が大切で、その生々しさが何事も基準になっているからこそ、何かの模倣、何かの仮想、何かの拡張ということもわかることになります。最初から仮想や拡張だけの体験は、実に危なっかしい。

五感をフルにつかった実体験の面白さがあって初めて、それを再現したい!という強い欲求が生まれます。幸いなことに「食べる」ことだけは、代わりのもというわけにはいかないので、食べ物屋さんがメインの屋台になっているのは、わかる気がします。子どもたちにとっての食体験は、やっぱりインパクトが大きいのですね。

妄想公園(8月20日まで) ARでぜひどうぞ!

2021/08/16

7月19日にこの蘭でお知らせした「妄想公園」イベントが8月20日で終了します。会場は「アーツ千代田3331」です。主催者の方からメッセージをいただきました。以下紹介します。ARを試しましたが、びっくり仰天。室内を魚が泳いでくれます、楽しいですよ。ぜひお試しあれ。

20210727 フライヤー「妄想公園」

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外出困難なこの時期だからこそ、お家で楽しめるように、公式サイトから会場と同じARやクラフト、ぬり絵をダウンロードすることができます。是非以下のURLもご紹介いただけたら幸いでございます。
https://mosokoen.weebly.com/

魚のARは特に人気がありますので、先生も是非園内でお試しください。どうぞよろしくお願いいたします。

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子どもたちにとっての納涼会

2021/08/13

コロナ禍で軒並み中止になってしまった夏の風物詩の数々。大人にとっては懐かしいと感じるお祭りの屋台や盆踊り。

そうであっても、未曾有の感染爆発真っ只中にあるからこそ、彼岸から現世を心配されているご先祖さまをお迎えするのがお盆の礼儀というもの。地域でそれらを準備して、実施していく大人をみながら、子どもは育っていくのです。その光景を無きものにしてしまうことが、現代の残酷さでもあります。

子どもたちは「納涼会プロジェクト」をはじめました。というとなんだか凄そうですが(笑)、要するに「お店屋さんごっこ」です。

納涼会はやることにしました。それに向けて7月上旬から、幼児組の子どもたちは、お祭りの屋台に並ぶ「美味しいもの」を作ろうと話し合っていました。

室内にちょうちんを飾った今日13日(金)。制作ゾーンを覗くと、お寿司を握っていました。

まぐろやしゃけ、玉子焼きなどができていました。屋台でお寿司はあまり見かけませんが、それはまあ、いいとして・・

これまでにも作ってきた様子を主任が玄関に張り出してくれました。焼きそば、たこ焼き、ドーナツなど、どれもおいそう・・・ぜひご覧ください。

子どもがペープサートで七夕のお話

2021/07/07

織姫と彦星の七夕のお話もまた、現実にはない世界ですが、虚構と現実の境目のない子どもたちにとっては、どれをとっても心動かされる物語です。今日はその話を、年長組すいすいの子どもが紙人形劇で演じました。ペーパー・パペット・シアターを短縮した和製英語で「ペープサート」と呼ばれるようになったのは1970年代以降の話。日本は戦前に紙芝居が誕生する前まで、俳優が演じる劇を人形が代わりに行う人形劇が主流だった時代が長いので、新しく見えるペープサートは、名前が新しいだけで、やっていることはずいぶん古い歴史があります。

表と裏の絵柄を変えることで、軸を指でくるりと回して、変化をもたらすことができます。人形の一種ですから、手使い人形や指人形、操り人形などと同じように、複数の登場人物の動きと合わせてセリフを語り、物語るのですが、大人がやっているのをみて、それをまた子どもがやりたい!という意欲から、子どもが演じて子どもに見せるということが模倣、再現欲求をかなえた表現活動ということになります。

このような遊びには、演じるという意味で、セリフがあるので、絵本や紙芝居を子どもが読み聞かせるのとの違いは、そのあたりの俳優らしさ、独立したセリフを人形に言わせるという、声のある見立て遊びにもなっているのです。多様な言葉の体験にもなっています。

 

 

 

東京ビエンナーレ2020/2021 もうすぐ開催

2021/07/06

東京から世界へ〜国際芸術祭が7月10日(土)から始まります。2年に一度の芸術祭ですがコロナで1年延期になったイベントです。テーマは「見なれぬ景色へ」。江戸時代、柳原通りは服のリサイクル通りでした。

美術家の西尾美也(にしお・よしなり)さんは、戦前から反物を扱っていた海老原商店をイベント会場に選び、ここで「着がえる」ということをテーマとした展示やワークショップを開きます。開催は9月5日(日)まで。

20210706 東京ビエンナーレ2020:2021

 

差し出された手に赤い色が点々と

2021/07/01

子どもが何かを気づいて、ちょうどそばにいた私にに「ほら、みて」って、差し出された手。「あ〜あ」と聞こえた、その時の声。ぐんぐんのKちゃんは何を私と共有したかったのでしょう。それはサインペンでお絵描きをした直後のことでした。「手についちゃったから、どうしよう?」のように見えるのですが、ちょっと違っていたような気がしたのです。

「お絵描き」といっても、まだ月齢21か月の赤ちゃんと呼んでもおかしくない子ですから、サインペン自体もどう持てばいいのかも試行錯誤といった感じです。「描く」ということも、なんとなくこうかな?と思いながら、いろんなことを試しています。紙の上に描くという前提もないので、テーブルやビニールクロスの上に、ペンを叩くように動かしたり、ペンと圧力の加減も知りません。紙の上に線らしきものが残ること、いろんな色があること、いろんなことが初めてかもしれません。

いつの間にか、赤い色だけが手についているところを見ると、赤が好きなだったのかな?と想像したりします。そして、それが手についたことも、面白い発見だったのではないでしょうか。だから「ほら、みて」というように、私に伝えたかったのかもしれません。すると、描かれた紙を持って「ほら、みて」と差し出されたら、ほとんどの大人は、きっと「あら、お絵描きしたのね。上手ねえ」なんて返事していたことでしょう。それが紙ではなく、たまたま手だったら、その手だって「あら、手にお絵描きできたのねえ」なんて返事してあげてもいいのかもしれませんね。私たちは、子どもの気づきや感動していることを、こうやって受け止めそこねていることがあるのかもしれません。

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大人の思い込みを一旦外して、子どもの心の動きを想像してあげるためには、私たちの柔軟な発想が必要なようです。またそれは、見守る保育であり、保育者が行う養護(ケア)の働きだったり、子どもがモノをケアすることだったり、子どものアートの営みと同じであることを思い起こすことが大事だったのでした。

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