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絵本(保育アーカイブ)

絵本の語りが夢の世界へ誘う

2023/07/07

今日はうさぎの二人がいかだを浮かべて海水浴に行く話「ピッキーとポッキーのかいすいよく」から始めたのですが、こちらは、途中でいたずらなタコが出てきて、うさぎの二人やもぐらのふうちゃんを放り投げたり、溺れそうになったふうちゃんも助かって、噴水のように水を噴き出したりするので、おかしくて笑いながら楽しんでいました。

2冊目は子どもの「これがいい」というリクエストから「ねずみのよめいり」だったのですが、「これお家にもある」という年長の女の子は「おしまい」と言って終わると、思ったよりお話は「短かった」そうです。この辺りまでは、お話に熱中していたのですが、3冊目ごろになると、だんだん子どもたちも眠くなってしまったようです。

あれ、静かなエンディングだなあと思っていたら、子どもたちはどうも眠くなってしまいました。わらしべ長者の話を聞いているうちに。そういえば、今日は昼間に水遊びをしたりして疲れていたようです。そういうお話しの聞き方(聞いていないけど・・)もまんざら捨てたもんじゃないと思うのは、昔からおじいさんやおばあさんから聞かされてきた素話も、きっと囲炉裏でも囲んでうつらうつらと、意味もよく分からず、ぼんやりと聞いていたこともあっただろうと思うからです。

落語の絵本「じごくのそうべい」ほか

2023/06/30

いやあ、今日も面白かった。恒例となってきた「園長の絵本劇場」。今日の絵本は5歳児から渡された「じごくのそうべい」ほか2冊。いずれも子どものリクエストで決まりました。3歳児からは「ねこガム」4歳児からは「コッコさんのお店」。3歳、5歳、4歳の順にやりました。

ご存じ「じごくのそうべい」は落語が元ネタですから、面白くないわけがない。軽業師のそうべえは、綱渡りに失敗して落下、地獄に落ちてしまいます。火の車で三途の川にたどり着くと、山伏のふっかい、歯ぬき師のしかい、医者のちくあんと一緒に、えんま様に地獄行きを言い渡されたて、さあ大変。昔話風の奇想天外な話の展開に子どもたちは引き込まれていきました。迫力満点の絵は田島征彦。第1回絵本にっぽん賞受賞の絵本です。

私は落語家になったつもりで、テンポ良く「とざい、とうざい。かるわざしのそうべえ、一世一代のかるわざでござあい」と、臨場感あふれる、わかりやすい解説付きで話を進めていきました。

この手の本は、子どもによってハマると、その場面を何度も味わいたくて「また読んで!」となりがちなお話ですね。リクエストした子は、にこにこしながら笑っていました。

ねこガムは、ふうせんガムの風船が猫になって反対に吸い込まれそうになっていく、子どもが思いつきそうな瞬間芸的なナンセンスファンタジーで楽しい。この愉快さを子ども共有するのは、ちょっとした共犯関係ができていくみたいな面白さを感じます。落語にしても、この手の話にしても、絵本は堂々と日常からの逸脱を許してもらえるという意味で、精神衛生上も「ええもんですなあ」・・・。

ドキドキ・冷や汗・絵本で涼をとる

2023/06/23

私が「せいが文庫」の本棚でバーコード入力していると「何しているの?」とよく聞かれます。「スマホでね、保育園にある絵本のリストを作ってるんだよ」というと、「ふ〜ん」とよく分かんないけど、生返事をくれます。やってみる?というと即「うん!」。まったく便利な時代なりました。絵本についているバーコードにスマホを掲げるだけで、蔵書ができるアプリがあるのです。保護者の方にアプリのダウンロードから使い方まで手取り足取り教えてもらいました。現在250冊ほどを、この2週間ほどの間に、セッセと登録。時々、何してるの?という子どもには手伝ってもらいました。

そんな時「これ面白いよ」と「これ好き」とか、教えてくれます。たいてい、そこで「読んで」と頼まれることになるのですが、そうか、この子はこれが好きなんだ、とわかって楽しいのです。というわけで、今日の絵本タイムは「子どもたち推し」の4冊。

まずは『えんそくごいっしょに』。泥棒たちが、それとは知らない刑事たちから、一緒に遊ぼうと誘われて、泥棒たちが冷や汗をかきながら付き合わされるというお話なのですが、あの遊びがまた、刑事が得意な「かくれんぼ」や「鬼ごっこ」という設定が面白いのです。すぐに見つかるし、捕まるのです。ドキドキ感が楽しみ、蒸し暑い夏に冷や汗をかきたい時にオススメ?。

こちらは子どもが「それ、怖いよ」と教えてくれた一冊。

屋上の野菜が毎日のように採れています。新鮮なうちに野菜は食べようね。でないと、野菜たちがこんなになったらかわいそう。カボチャの頭の裏側が黒くなっている場面が出てくるのですが、そういうのを見たことあるかなあ?と思って聞いてみたら、何人かから「腐ってるんだよ、それ」「黒いのはカビ」と知ってましたね。お話のラストは、実際にそうしてみるといいんですよね。食べられなくなっても、土に戻るとまた芽が出てくるということを体験してみる。

(最近はそれができないように品種改良された種が増えているので、その比較をやってみるのも面白い)

3冊目の「どろだんご」は、ビー玉のようにピカピカで固いどろだんごをどうやって作るか、子どもたちの「どろんご魂」に火をつけるために役立つ一冊。この本を薦めてくれた男子も、改めて「そうだったのか」という顔つき。こちらも泥水遊びで冷んやり感も。

最後はご存じ「かぐやひめ」。なんとなく知ってる!という子が多いのですが、5人の求婚を退けていくあたりの冒険譚は子どもは飽きるのですが、月に戻っていくときのお別れの場面は見入っていました。七夕がもうすぐですが、月にまつわるお話ではこちらも欠かせない一つでしょうね。

絵本は読んであげると「知ってる〜」と言っていた子たちが、また改めて手にしてめくっていたりする姿も。面白いですね。

ともだち・親密さ・愛情

2023/06/16

「今日は何読むの?」と午後のおやつが終わると事務室に年中のTMくんがやってきました。「新しい絵本、これまだ読んでないから、これにしようかな。ともだちや」。私がそういうと、彼は待ちきれなさそうにニコッとして2階へ戻って行きました。3〜5歳が一緒なので絵本選びと楽しみ方に工夫がいります。最初に、どの年齢にも理解しやすそうな「くまのコールテンくん」から。デパートという言葉が分かりませんでした。そうか。この絵本、今一緒に働いている20代の保育士が小さい頃大好きだったそうです。この絵本や「どうぞのいす」などが好きだったという人は、保育者に向いている気がします。

内田麟太郎のこのシリーズも、楽しい。今回はお友達がテーマのものを選びました。1時間100円、2時間200円という売り文句が最後はただになるのですが、さてどこまで通じたか?

たまごやき、となっているけれども、おはなしの中では目玉焼きです。というものめだまやきの「黄身」がおしゃべりだからね。最初のけらいが何人も挨拶にくるところは、人形劇かペープサートにしてみよう。そう思いながら端折って劇画風に展開しました。「あ、うん」と私が読むと、子どもたちは真似して、一斉に「あ、うん」というようになって、楽しかった。きっとお家でも、「あ、うん」はやりたがりますよ。

時間になったけど、もう一冊読んであげたかったのがこれ。最後まで食い入るように見入っていました。絵の表情だけで子どもに気持ちが伝わっていく絵本。子どもたちはこんな絵本が大好きです。

むかしばなし・なき声・想像力・仲間

2023/06/10

本当は今年度第1回の「園長の絵本タイム」で読んであげたかった絵本「だいくとおにろく」。昨日第4回でやっと登場です。松居直(ただし)さんが日本の昔話を再話した名作です。絵は「ももたろう」「スーホの白い馬」の赤羽末吉。赤羽は松居に採用されて絵本画家になったが、デビュー作は「雪国を描きたい」とのいう希望から生まれたという「かさじぞう」である。その時50歳。先週の台風の話をしながら、昔は大雨になると川の橋が流されたりしていたんだよ、この話も橋が流れて困っていたら鬼が端をかけてくれた話だよ、と言って読み始めました。

昔話をどう工夫して再話にしたのか。「めだまをよこせ〜」の台詞を大袈裟にやりました。そして森の中で聞こえてきた「子守唄」は、本当の子守唄にして唄ってあげます。そして名前をあてられて、消えてしまうエンディングのあっけなさ。そこの余韻をどう読むか。松居・赤羽コンビによる言葉と絵の共演です。

さとうわきこといえば「ばばばあちゃん」シリーズでしょうけれど、こんな絵本もあります。ピヨピヨとなくひよこが出会う動物となきごえを「ごりかえっこ」。可愛いひよこが、カエルの「ゲロゲロ」やぶたの「ぶうぶう」となくので、そこを、ちゃんと間を持たせて強調して読むと、聴いている子どもたちは、なんとも愉快そうな顔をします。その表情が可愛かった。わんわん、と吠えられて逃げ帰るネコの表情もいい。

「おうちで犬飼っている人?」と聞くと、誰も声が上がらず、その代わり「(お友達の)○◯ちゃんが飼ってる」と教えてくれました。犬じゃないけど、金魚や虫を飼っていると話し出すと大賑わいになり、それがみんなのペットなんだね。園長先生がみんなのうちのペットになったら、ちゃんと世話してくれるかなあ? 3冊目は「もしもぼくがよそのうちのいぬだったら」。いぬの「ぼく」の想像の世界の筋立てが、ちょっと難しいんので、ゆっくりと解説しながら読む。内容的には年長以上むきの絵本だけど、間違えてワニに食べられてしまうとか、伝わると3歳でも部分的に楽しい。

最後は、もっと単純に、3回繰り返しのお話の王道「とんとんとん」。年長のNさんが選んでくれました。ドアの窓越しに頭が少し見える「仕掛け絵本」にもなっているチャイルド社のオリジナル配本絵本。最後にケーキを食べるシーンになると「誰の誕生日?」と聞く子も。たくさんのお友達、大家族のように仲間と食べ物や生活を共にすることの喜び。暮らしの原点がこのようなお話の中にあります。こういうのは何歳でも楽しめる。

しりとり・図解・ユーモア

2023/06/02

グリコ!が流行っているので、しりとりもきっと好きだろうということで、聞いてみたら大好きでした。そこで「しりとりのだいすきなおうさま」。絵を見ながらクイズのように名前を当てていきながら読みました。大ウケです。この手の絵本は、私は紙芝居のように、また子どもたちと問答しながら、楽しみます。

2冊目は、幅広い年齢で楽しめるように、かこさとし作品から「あさですよ よるですよ」。最近、食事の下拵えのお手伝いで「そらまめ」の皮むきをやっていたので、そら豆くんの家族のお話にしてもいい?と聞くと「いいよ〜」と興味津々。細かい描写のひとつずつを丁寧に確かめるように見ていきました。

絵本は文字がなくても楽しめることがよくわかる絵本。かこさとしさんも私と同じ理系ですが、世界を分解してよくわかるように絵本にするという図鑑的な絵本もたくさんあって、立派なサイエンスになってますよね。

最後は、今日でお別れのお友達もいたので「げんきでなあ〜」と楽しく言いたくて、これにしました。

「かなしいはなしです」のユーモラスな感じがわかると、もう年長さんだなあ。ここにも10の姿があるんだけどなあ。面白い話です。

絵本を読んであげながら

2023/05/26

5月26日の園長の絵本ダイムには松岡享子さんと松居直さんのを用意しました。お二人が対談をした古い記事を、この園長の日記で紹介したことがあります。まだお元気なころのお二人。そのお二人がもういないことを思い出しながら、「おふろだいすき」と「だいくとおにろく」を読もうと用意しました。

このような絵本は親子で、あるいは少ない人数で読むほうが、その子の理解や気持ちがわかって楽しい。というのも、その架空の世界のなかに没頭する度合いは、それぞれだから。また、その入り込んでいる感覚をそばで感じ取りたくて。あるいは、その「ああ、どうなってしまうのかなあ」とつぎの展開へ心が奪われていく感覚をより濃く一緒に共有したくて。そして最後は・・・ああ、よかったね、と戻ってくる幸福感。その世界をいっしょに味わったという安心と満足の共有感覚。これがあるから絵本は楽しい。そう思います。

でも、今日実際によんだのは「おふろだいすき」と、どうしてももう一回やってほしいというので前回も読んだ「かえうたかえうたこいのぼり」。もう一冊は「電車がいい」というので「がたんごとん がたんごとん」。「だいくとおにろく」はまた今度ということに。

松岡さんは幸せな絵本の時間をとても大事にされたし、松居さんは、子どもの世界の未知への広がりを切り開いた方。その貢献は実に心からありがたい。そうだ、お二人の特集を近いうちに組もう、せいが文庫で。

園長による絵本タイムを設けてもらう

2023/05/19

今年も園長による絵本の読み聞かせタイムを設けてもらいました。子どもと接する時間を持ちたくて、毎週1回金曜日、夕方の時間に、子どもたちに絵本を読んであげます。絵本は子どもがどんな風に受け止めているのかがわかって楽しい。できるだけいろんな種類の絵本を選んで、想像の世界を広げてあげたい。

今日選んだのは、こどものとも「ケロケロきょうだい」。もうすぐ、水遊びの準備を始めるので、7人のカエルが冬眠から覚めて気持ちのいい池を探すお話から。年中向きぐらいの新作。同じく、どろんこの沼を愛するこぶたのお話アーノルド・ローベルの名作「どろんこぶた」。

こちらは1971年学校法人文化学園からの発行。ローベルのこぶりのお話シリーズは、現代に置いてけぼりを食らった感があって、影が薄くなっているけど、お話というもののバリエーションを感じてほしくて。ちっちゃい面白さ、とでもいうのか、子どもによって時々ここが面白いんだ!の発見がたまにある。どろんこぶたをはじめ、絵本は<居場所探し>のモチーフがけっこうある。

3冊目は、日本の昔話から「きつねのおきゃくさま」。このような、ちょっと意外性のある結末に、子どもは「え!」「どうして?」という表情で見入っていた。こういう絵本は、あまり解説をわたしは入れないことにしています。最後は気分を変えて、明るく石井聖岳(きよたか)「かえうた かえうた こいのぼり」。こういう言葉あそびも子どもたちは大好き。ゲラゲラ笑って、おしま〜い!

「ハリーがちょっと可哀想だった」

2021/07/21

私たちは子どもに対して、他人に優しい子になってほしいと願うことが多いわけですが、どうやったらそうなるのかと考えると、他人の気持ちを想像できることや、他人の立場になって考えることができるようになることだと、心理学では述べています。では、どんな時にそんな気持ちを想像したり、考えたりするかというと、他人のはずの相手が親しみを感じるような存在になった場合です。実生活の中では、家族や友達ということなのですが、人との繋がりが少ない幼児期には、実生活だけで親しい他者を多く保つことは難しいものです。

そこで威力を発揮するものが良質な絵本です。今日の「園長の絵本タイム」では、嬉しい感想が飛び出しました。4歳のAさんが「ハリーがちょっとかわいそうだったなあ」というのです。そうです、「どろんこハリー」が真っ黒になって、家族の誰からもハリーだと気づいてもらえないからです。ハリーは「ねえ、僕だよ、ハリーだよ」と伝えたくて、健気にもいろんな芸をするのですが、家族はおかしな犬だなあ、と行ってしまいます。そこに子どもたちは「ハリーが可哀想だった」と思うのです。

実はどろんこハリーの前に、先に「うみべのハリー」を読んであげたのですが、ハリーが最後に家族と一緒に大きなパラソルに入ることができるまでに、海藻まみれになってハリーと気づかれないどころか「お化けが出たあ」と怖がられたり、カゴで捕まられそうになってしまったりと、可哀想な目に合うのは「どろんこ」と同じです。気の毒な目にあっても最後は家族に暖かく迎えられるというハッピーエンドも同じなのです。このような物語を通して、他者への優しさが育つのだとしたら、絵本の力は大きいと感じざるを得ませんね。

絵本「ようこそ うみ」へ、ようこそ!

2021/07/14

こんな絵本の楽しみ方は、どこにも書いてないと思うのですが、今日やってみました。プロジェクターに絵本を映し出して、子どもたちと会話しながら、絵の細部を拡大して、確かめながら読み進めたのです。そしたら、かなり受けました。

どうしてそんなことをしたのかというと、絵本がそうしてほしいと訴えていたからです。絵本は、文・中川ひろたか、絵・村上康成のゴールデンコンビによる『ようこそうみ』。

大人2人と子ども8人が砂丘のような丘を駆け上ると、そこに海が開けていることに「おーっ」と驚いたり、サンダルを集めて空に放り投げたら、サンダルやビーチボールが雲に引っかかったり、それを取りに雲に乗って遊んだり・・・こんな他愛のない話なのに、子どもたちはゲラゲラ笑って大満足!ナンセンスなおかしみって、とにかく子どもの心をくすぐってやまないのでした。

 

 

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