「他の霊長類が滅んでしまったのに、人類がここまで生きのびられた理由を探っていくと、その本来持っている力を信じて、それを取り戻すようなことをしなくてはならないんです」
◆保育とは本来は「チーム保育」
7日と8日の2日間、研修会の司会をしていました。保育環境研究ギビングツリー(代表・藤森平司)が主催する「職域別見守る保育セミナー」です。北は宮城県から南は宮崎県まで約80名の保育者たちが日本橋に集いました、「保育者」といっても、保育士は10名ぐらいで、一番多いのは「栄養士」で30名、ついで「調理師」が10名、「看護師」18名、その他、園長や事務職の方々でした。保育園には保育士以外に、こうした専門職がいます。それらの専門職が協力して保育は成り立っています。つまり保育とは、本来「チーム保育」なのです。病院のチーム医療と似ていますね。医師だけではなく、看護師や栄養士や医療技師などの専門職が連携して、患者さんの病気を治す。それと同じように保育士がもっぱら子どもと直接、接することが多いとはいえ、看護師も栄養士も事務長も私も一緒になっての保育を作り上げています。
◆目指す保育像を一致させること
専門職が集まって同じ保育理念の実現を図ろうとすること。そのために最新の専門知識を学び、保育に活かす。それがこのセミナーの目的です。もっぱら保育士や幼稚園教諭を対象とする「保育環境セミナー」(年3回)とは別に、職域別にグループ討議をする、このセミナーは年1回開かれています。毎年私が司会をしています。
毎回、特別ゲストの講演があるのですが、今回は自然野菜、有機野菜を使う創作イタリア料理店「カーポラヴォーロ」を経営するオーナーシェフ鳥海将彦さんをお招きして、料理を通して「自然の持つ本来の力」を考えました。人間も本来は自然の進化の賜物です。素晴らしい力を持っているのに、誤った食べ方や生活が、病気にさせたり不健康になったりする要因になっています。子どもも私たち大人も、もともと持っている力を見失わずに、それを取り戻していくような生活を作り出していくという意味で、目指している保育像と同じ理念を学ぶことができました。
◆添加物、種、食物アレルギー
私たちが普段食べている食品には、よくわからないものがたくさん入っています、食品添加物がずらりと表示されている食品がいっぱいあります。鳥海さんの店の料理は、そうした食材をできるだけ使わないで、農家の方と直接会って、いいと思ったものだけを使った野菜料理が人気です。
日本人に多い食物アレルギーの原因の一つが、品種改良を重ねすぎた食品にあるかもしれないという研究があるそうです。原種に近い小麦粉の料理ならアレルギー反応がなかったという事例が報告されているそうです。そうしたことを考えると、同じ小麦であっても、たんぱく質の種類が異なることで、人体反応が変わることは想像できます。数年前に廃止になった種子法の影響で、もともとの種子が日本からなくなってしまう危険性の話や、私たちの食生活の仕方次第で、もっと健康で安全な生活を作り出すことができることも学びました。
子どもはまだ、その誤った影響を受けていません。できるだけ、その弊害を遠ざけてあげること、そしてその本来持っている力を信じて、それを取り戻すようなことをしていこう、それが今回の保育理念の再確認でした。