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2020年 1月

ホモ・ファーベルとしての子ども

2020/01/17

◆天体の法則と人間の法則

私のカレンダーには、月の満ち欠けの図が載っていて、「今日のお月様は下弦に入ったな」とか、25日が新月か、などがわかります。すると、今時分にはあの辺りに月があって、太陽からの光をこっちから受けて半分輝いているんだな、といったことを思い浮かべることができます。今、見ているわけではないけれど、きっとそこで輝いている、と確信できて、確かめれば実際にそうなっています。

ところが、子どもの心は「きっとこうかな」と想像してみて、「当たった!」という結果になることもあれば、「あれ、そうなんだ!」と意外なことになることもあって、それが面白いものです。子どもを理解するというのは、映像に映っているものがその子の姿ではなく、その姿の中にある心の動きを捉えなければ、人を理解したことにはなりません。月がどこにあるかを理解することと、子どもを理解することとは、雲泥の差があります。

◆食パンを私に「どうぞ」4回

規則正しい「天体の動き」と、子どもが見せてれる子どもの「心の動き」の違いを語りたくなったのは、今日、第三者評価のために、ある保育園を一日、訪問調査をしていたからです。その園の1歳児クラスのままごとゾーンに座って、そこの女性の園長先生と話をしていたら、ある男の子が、おもちゃの食パンを持ってきて私に差し出すので、「ありがとう。いただきます」と言って、もぐもぐ、わあ〜美味しい!とやったら、それなら、と今度は、ハンバーガーを持ってきたので、「あ、おいそうなハンバーガーだね、でもお皿が欲しいな」と言ってみたら、そそくさとお皿を持ってきて乗せてくれたので「ありがとう、もぐもぐ、アッチーチー!」と大げさにやってあげたら、もう、その子は喜んで、次から次へと食べ物を持ってくるので、丸いテーブルの上は食べ物がいっぱい並んで「まるでパーティみたいだね・・云々」と色々喋ったり、食べたり、お代わりしたり、注文したり・・・そのうち、別の4人のお友達も集まってきて・・と遊びは発展していきました。最初に食パンを出してくれた子は、都合4回も私に食パンを食べさせてくれました。この子はきっと朝はパンに違いない・・・

◆子どもと過ごしてみて想像できるようになること

もし、この状態のまま、その子どもたちだけがいなくなったとしても、そこに居合わせた私は、テーブルの上の食べ物や食器の数々を見て、そこで遊んでいた子どもたちの姿を思い浮かべることができます。今日、初めて出会ったあの子どもたちが、嬉々として遊んでいる光景をありありと思い浮かべることができます。あの子らと言葉と身体で、心を通わせてきたからです。

保育園での子どもの生活を知ることは、実際に子どもと過ごしてみると、分かることがいっぱいあります。一度一緒に過ごしてみると、子どもの姿が見えなくても、その子の心の痕跡をたどることは難しくありません。保育者はまるで考古学者のように、その痕跡から「きっとこうだったのかな」と想像することもできます。それも楽しいのです。

◆映像に残らないものを「見る」ことの大切さ

同じような意味で、写真や動画に子どもは写っていなくても、分かることがあります。例えば、わいらんすいのブログで紹介されている写真、いらなくなったコピー用紙らしきもので作った銃のようなもの、丸めて一方が尖った細長い、錐柱のようなものが残っています。そこには子どもの姿はないのですが、子どもの心が動いた証拠が歴然とあります。

考古学者は、中央アジアから出土した鉄器が、摂氏1200度の高熱で溶融しないとできない純度だとわかったことから、そこに高度な文明があったことを明らかにしていきます。それと同じように、銃の形、円錐の形、テープの切り方、LaQの形から、そこに至る子どもの「造形思考」の発達を読み取ることができます。これは幼児でないとできないこと、子ども同士の遊びがなければ、それを作る動機がないだろうこと、日頃から丸めたり折ったりセロテープの技術に慣れていることがわかります。日頃から何をして遊んでいるかを知っているから、読み取れるコンテキスト(文脈)というものがあるのです。

◆子どもが味わっているモノづくりの楽しさ

冒頭の写真のように両手が伸びた怪獣のようなものの造形力は大したもので、相当の時間をこの小さな造形パズルと粘土造形の遊びを経ているだろうこと・・・想像できます。この集中力や根気を大人が真似できるかどうか。相当なものです。このように子どもが再現しているものは、子どもが目の前に写っていなくても、あるいはたとえ映っていたとしても、「見ようとしなければ見えないもの」に属します。

また、子どもが作っているこれらの形は、具体的な何か(銃や鉄砲やラッパや怪獣・・)を「再現」しているだけではありません。ある明確な形をイメージして作り始めただけではなく、作りつつある形が別のイメージや感覚と結びつき、あるいは別の着想を引き出し、「なんでもないもの」から、「なんでもあるもの」へ発展しているプロセスが見られます。そこには不明瞭なものが輪郭を持ち始め、明瞭な境目(文節)を持って立ち現れるモノに、子ども自身が予期せぬ仕方で出会っているのかもしれません。

◆ホモ・ファーベルの私たち

もしそうなら、子どもは面白くてやめられないでしょう。創造すること自体を体験しているのですから、こんなに面白いことはありません。文化の文節を作り上げることは、言葉に限らず、絵や音楽でもアーティキュレーション(明瞭さ)という言葉で大切にされているものです。これができるのもホモ・サピエンスの特性です。私たちはホモ・ファーベル(ものを作る人、アンリ・ベルクソン)という異名も持っているのわけですから、不思議なことではありませんね。

(余談ですが、もし幼児に早期教育をさせたいと思っている方がいらしたら、これが本物の早期教育だと理解していただきたいのです。小学校教育の先取りをしても意味がありません。今の時期にしか伸びない適時性を踏まえた体験が大切です。あくまでも「例えていうと」ですが、こういう遊びをちゃんとやっておくことが「ハーバード大学」での学びに結びつきます。地頭が育ちます。)

このような創造することの真っ只中を思う存分に過ごせる時間があると、子どもはとても幸せです。それをたっぷりと吸収して栄養にしておくことが、この時期の子どもたちに必要なものです。

 

 

1月25日の「鬼ごっこ遊び」参加票を配布

2020/01/16

 

休日もお友達と遊びたい!そんな子どもたちの願いに応えたいということもあり、土曜日の1月25日の午前中に、鬼ごっこ大会を和泉小学校の体育館で開きます。

(秋の「運動会」=「親子運動遊びの会」で楽しんだ「鬼ごっこ」を継承、発展させるための、2回目の「鬼ごっこ大会」になります)

園児は誰でも親子で参加できますので、気軽に遊びに来てください。ただ「保育」ではありませんので、保護者同伴になります。

鬼ごっこ協会のインストラクター養成指導者の羽崎さん(運動会で来ていただいた方)が今回も来てくださいます。

いろんな鬼ごっこで遊びますので、ぜひ参加してみてください。広いところがあれば、どこでも子ども達だけで遊べるようになっていくことが目的です。

また、回を重ねるごとに、子ども達が安全に遊べるように見守ってくださる大人の方や、鬼ごっこのプレイリーダーが育ってくださることを目指しています。

20200125 鬼ごっこのある町ちよだ(ポスタ2)

乳幼児期は実際に「体を動かす」ことが楽しい!と実感することが極めて大事です。体をあまり動かさないスポーツ(eスポーツなど)やゲームを否定するものではありませんが、人間は自分の生身が健康であることが幸せの基礎になりますので、それを育てる大切な時期は、せめてその両立を目指しましょう。まずは、実際に体を動かすことを楽しみましょう。

 

1月16日 昼食

2020/01/16

ご飯

豚肉のスタミナ炒め

きゅうりのダイナミック漬け

豆腐の味噌汁

麦茶

あ!!!これだよ!!!

2020/01/16

最近、クラスで写真のような作品を作る姿が一部で流行っています。いいんです。やっぱりこうゆうのって好きだよね。とは思いつつも、あそび始まると俗にいう戦いごっこが始まり、それを豊かにするための制作であるので悪くはないけど、「ん~ちょっと・・・」と思ってしまうことがあります。戦いごっこは悪い活動ではありませんが、ごっこの内容が重要です。この部分の (ごっこの中で悪役が演じられない子どもの心の発達)話は興味がある方は声かけてください。

「ん~どうしようかな」と思ったときに、「あ~これなんだよね」と教えてくれた子がいました。この写真です。

 

人生は贈り物。でも、子どもが身に付けているとこんな風に略してしまいました。

「あなたが生きていることがプレゼント」「あなたの存在そのものが奇跡」「命に感謝」「生まれてきてくれてありがとう」「愛おしい君」

 

そんな言葉が溢れ出てきました。

 

「そうだね。子どもたちを心から信じてみよう」←これだよ!!!ってことです。朝のモヤモヤがすっきり晴れた一日の始まりでした。

イヤイヤが始まったら具体的にどうするか

2020/01/15

◆悪循環にならないように・・

図らずも、長いテーマになってしまった第一反抗期(いわゆるイヤイヤ期)ですが、いろいろな説明があったとしても、いざ、目の前で子どもに「イヤ〜」を連発されると、また泣きじゃくられたりすると、親として冷静ではいられないものです。下手に反応できない!どうしたらいいの?と困ってしまいます。まだ家の中ならともかく、外出先だと周りの目も気になるし。こんな悩みを抱えながら、結構長い期間を耐え忍ぶ、というもの辛いものがありますね。

私が知っているケースだと、そうしたイヤイヤ期のメカニズムを全く知らないでそれに直面すると、子どもが悪者になってしまったり、子育ての方針を巡って夫婦間に亀裂が走ったりしてしまうこともあります。あるいは、つい子どもに我慢できなくなって、手が出たり、頭ごなしに子どもを叱ってしまったり、ということもあって、その後でお母さんが自分を責めてしまうという悪循環に陥ることだってあります。

そうしたことにならないように、生まれてまだ2年も経っていない子どもが、果敢にも第一回目の「自分づくり」を始めようとして、周りからの働きかけを一旦全部「違う !」と遮断して、「自分で・・」と始めようとしているんだと思ってあげるのと、そうでないのとでは、大人の心持ちも随分と違ってくるのではないでしょうか。子どもの気持ちを受け止める、ということが、なるほど大切だなと思えると同時に、返ってそれが「難しい」と感じるという、矛盾した気持ちになるものです。あるいは返って理想と現実のギャップが大きく感じてしまうかもしれませんね。

◆いざ、イヤイヤ開始!では、どうしますか

さて、そうした心構えができたと仮定して、いざ始まった時はどうしたらいいのか考えてみましょう。初回のコーヒータイムのとき、こうした事例を話し合いたかったお母さんもいらっしゃいましたよね。これこそ、これには正解がなくて、子どもの個人差も大きいですし、これまで説明してきた「メカニズム」の理解の差によっても対応が異なってきますから。

ここで紹介するのは、40年以上に渡って乳児保育の現場で子どもの素晴らしさをいっぱい発見して世の中に発信してこられた超ベテラン保育士の井桁容子さんの話です。昨日紹介したNHKすくすく子育てによく出てます。遠藤さんとペアで出ていた回から、ご紹介します。

まずこの発言に勇気付けられます。

◆イヤイヤの状態を見ると「かっこいい!」と思う

井桁「人生の中であんなに周辺のことも考えずに「嫌」っていることって、そうそうないんですよ。なので、思いっきり言えている状態を見ると「かっこいい!」って思う。そう、今やっておこうよって、逆に応援したくなる感じですね。」

鈴木「この大事な時期に、親はどのように関わっていけばいいですかね」

井桁「(イヤイヤ期は、子どもが)他人と自分は、どんな関係にあるかってことを知っていく、ということですよね。ですから、何かあった時に、自分の気持ちをわかってくれようとする大人と出会えるのか、自分の気持ちを押し付けてくる人に出会うのかで、全体に対する信頼感が変わってくるんですね。『イヤ!』っていうと『何が?』って聞いてくれるのとかね、『あなたは、ほんとうは、どうしたかったの?』って、聞いてくれることが大事なんですよね」

鈴木「イヤという気持ちを受け止める、ということですが、大切なのはわかるんですが、こんなお悩みもあります。子どもの気持ちを受け止める、というけれど・・・イヤイヤの原因がわからないときはどうする?ということなんですが」

◆番組に出演していたお母さんの話

さて、ここからが今日の本題です。

・私はダメとはわかっていても、おやつをあげて機嫌をとっちゃいます。でも、おやつをあげちゃうと、もっともっと、ってなちゃって、どうしようかな、と。

・動画を見せるとピタって泣き止むので、つい動画を見せて頼ってしまいます。

・下手に声をかけたり、手出してしまったりして、もう悪化してしまうことも怖いので、もう公共の場とかでない限り、ひたすら“地蔵”になって、待ちます。

・いつもほとんど二人っきりで、過ごしているので、結構辛くなって泣きたくなったり。

◆お母さんは「フラフラ期」で行こう!

鈴木「井桁先生、このように、忙しい時に子どもと接するのは難しいんですが」

井桁「うまくいかない時に、ママもうまく答えがわかんない時は、一緒に泣こうと言って、私も、わ〜って泣いて、あ〜スッキリしたね、っていうこともあっていい。我慢して、正解だけを大人が整える必要はなくて、一緒に揺れてあげるということも大事なことなので、一緒に泣こうというのもアリです」

鈴木「イヤイヤ期だけど、大人はフラフラ期でオッケー、ていう感じで。少し緩くいくといいのかなあ」

井桁「お母さんだけがカチンと硬いと、お子さんはぶつかる感じがするけど、一緒に揺れてくれれば、『あ、おんなじだ』って思う中で、子どもが「そんなに泣かなくてもいいよ』って、涙拭いてくれますから。やってみてください、ホントに」

◆イヤイヤ保険・・

井桁「忙しい時は難しいです、誰でもね。でもね、保険的なことがあるんですね、イヤイヤの保険。何かなっていうと、ご機嫌な時、お父さんもお母さんも余裕がある時ってあるじゃないですか。そういう時に、楽しい時間を共有するってことが、関係ないように見えて、イヤイヤ期の大切な保険なんですね。面白ね、すごいね、なるほどね、っていう気持ちのいい共感をお母さんやお父さんとしておくと、この人たちわかってくれるというベースができるんですよ。本当にイヤイヤの時は、子どもも大人も余裕がないので、あの時の、こないだのあれ面白かったなあ、という思いがあると、お父さんお母さんは楽しいことを共有してくれるけど、時々忙しくてこうなるんだなあ、と。ということは、理解の幅で効いてくるんです。なので、実は楽しい時間を、子どもが楽しく遊んでいる時、大人は上の空が多いじゃないですか。逆で、楽しい時に一緒に面白いことをしたっていう感覚が子どもに必ず生きてきます。」

 

最後に、このサイトをご紹介します。

征矢里沙さんのページです。
・『生きる力』をはぐくむ教育研究家
・NPO法人いきはぐ代表

11の「乗り切り方」が紹介されています。

https://tg-uchi.jp/topics/5143

 

色々なタイム

2020/01/15

今日は、天候と感染症の流行の広がりが見られることからバス遠足を中止してお部屋で遊びました。

運動ゾーンでは「わいわいタイム」「らんらんタイム」を40分交代で順番に使いました。
「先生これがやりたい」 「ん~でも、隣と近いから危ないよね」「えぇどうしよう」そんな子どもと先生との駆け引きがあり、その結果運動ゾーンの中に各活動ができるゾーンを作ることに・・・「クライミング」「トランポリン」「縄」「マット(ごっこ)」とスペースを分けてゾーンを作りました。  境に置いたマットが倒れたとき、わいわい組は自分たちで直すことが難しく、らんらん組は自分たちで立て直すことができました。年齢別の活動によってみられる発達の違いが面白かったです。

 

さて、ゾーンの中で一番人気があった遊びは何かというと・・・「ごっこ」遊びでした。内容としてはほとんどがじゃれあい遊びなのですが、これがまた子どもたちを夢中にさせて「サメ」や「肉を食べる動物?」になって遊んでいました。
少し話は変わりますが、「じゃれあい」は脳育として注目されている活動ですが、なんでしょう。早期教育で言われるような脳活、脳育はお金儲けに感じてしまいます。自分をどうやって教育していくかはそもそも子ども自身が一番自分を教育する方法を知っているように感じるのです。  あぁ~筋肉痛。。。老いを感じる1時間30分でもありました。

1月15日 昼食

2020/01/15

パン

鮭フライ

ポークビーンズ

野菜スープ

みかん

麦茶

イヤイヤ期を発達の専門家はどう説明?

2020/01/14

◆イヤイヤ期の第一人者の解説は・・

いわゆるイヤイヤ期(第一反抗期)がある理由や、その受け止め方を考えているうちに、そもそも「自分づくり」って何よ?ということになってきました。でも、その前に、今一度、イヤイヤ期について、日本のその分野の第一人者はどう考えているのか、ちょっとだけ紹介しておきたいと思います。

誰がいいかなと考えた末、遠藤利彦さんにしました。今は東京大学大学院の教授で発達心理学が専門です。彼にした理由は、地域の子育て支援を長らくやっていた方なので、親御さんの困り具合をよくご存知なのです。保育界では、遠藤先生と言えば「愛着の先生」というイメージですが、遠藤さんの書いている本はたくさんあって、学術的な文章よりも、もっとわかりやすい話し言葉はないかと探したところ、ちょうどNHKの「すくすく子育て」に出ていたいので、その時の解説を紹介することにします。

◆NHKの「すくすく子育て」からーーーー

MCの鈴木あきえさんが聞きます。

鈴木「早速ですが、遠藤さん、イヤイヤ期というのはどういった時期になるんですか」

遠藤「これ違うな、これ違うな、ということでイヤイヤ、とずっと言い続けるわけです。だけど、そういうことを繰り返しているうちに、あ、自分が好きなのはこういうことなんだな、ということがちょっとずつわかり始めて、自分がしたいことはこういうことなんだな、と、自分を探していく、自分のしたいことを探していく、言ってみれば自分探しのような時期と考えるとわかりやすいかな、思いますね」

鈴木「子どもって、どうしてイヤイヤをするんですかね」

遠藤「別にお父さんやお母さんを困らせようと思ってやるわけじゃ、当然ないんですね。この時期にはいろんな心の力が身についてきて、子どもはいろんなことがわかり始める。そうすると、あれもやりたいし、あっちの方も良さそうだし、という風に、心の中でもいろんなものが膨らんでいく、膨らんでいくんだけれども、じゃあ、実際何をやりたいかってなったときた時に、まだ漠然として整理されていないので、要するにこれやりたいんだという風に、ストレートに主張ができない。逆にいうと、だから提示されたもの、差し出されたものに対しては、でもこれは違うなということはわかり続けるから、嫌って言っちゃう、嫌っていちゃうんだけれども、まだこれがしたいとはっきりわからないということで、フラストレーションが湧いてくる、子ども自身も困っていると考えたほうがいいかもしれないですね」

鈴木「言葉では伝えられないですからね。どうしてこのような時期があるんですか」

遠藤「この時期から自分についての理解が、どんどん高い水準になっていくんですね。自分て、こんな存在で、こんなことが好きでということがわかり始めていくというふうな、そこから急速な自分探しが続いていくと考えていくといいですね」

◆自分探しが始まる1歳半から2歳ごろに「イヤイヤ」が始まる

この番組では、まだ自分がよくわからない1歳ごろまで、そして自分探しが始まる1歳半から2歳ごろ、それがもっと発展してく2歳半〜3歳ごろの3つの時期について、どんな風に成長していくかの動画解説がありました。

<1歳ごろまで>まだイヤイヤはない時期

この頃の子どは、自分が写っている鏡を見ても自分だと気づいていない。赤ちゃんは自分の姿や特徴を理解しておらず、自分のことをよくわかっていない。

<1歳半〜2歳>イヤイヤが始まる時期

このころ自分を発見していきます。自分の顔や性別を認識でき、鏡を見て自分だと認識できます。こうして自分というものがはっきりしてくると自分以外の人もはっきり認識するようになります。そのために他の人に対して、恥ずかしいという感情や、友達と自分を比較して羨ましいという感情を抱くようになります。

こんなふうに自分と自分以外の人の区別がはっきりしてくる頃に、イヤイヤ期が現れます。自分以外の人が提案してくることは、たとえそれが親であったとしても、自分がやりたいこととは違うと感じるようになるからです。

子どもは「いや」という意思ははっきりしているが、これが好きという好みは確立していません。そのため嫌としか主張できないのです。このような経験を積み重ねていくことで、自分の好みや心地よい状態などを発見していくのです。

<2歳半〜3歳ごろ>だんだん収まっていく時期

さらに自分探しは発展していきます。自分が他の人からどう見られているのかが気になりだします。「見て〜」このように、他の人からの評価に気づくことで、さらに自分探しが進んでいくのです。

(事例)お友達に取られそうになったおもちゃを「ダメ〜」と言って、とられないように取り返したあと、「あ、ちょっと悪いことをしてしまったのかなあ」といった風に、戸惑ったような様子を見せる男の子が映し出されました。自分のとった行動に対する相手の反応をみて、悪いことをしてしまったと気づいたようです。そんな時、取ろうとした子へ保育士が「借りて見てもいいかな、って聞いてみたらどうかしら」と落ち着いて提案していました。

相手の反応を見ることで、罪悪感など複雑な感情を抱くようになります。こうした経験を通して子どもは他の人の気持ちに気づいていきます。この時期に本当の自分を知ることが、相手の気持ちへの理解につながっていくんですね。

他人への思いやりなど大人と近い感情を持てるようになると、やがてイヤイヤ期も落ち着いていくのです。

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以上が遠藤さんが監修したと思われるビデオ解説でした。

さて、いよいよ明日は、イヤイヤが始まった時の具体的な対処法を考えます。

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