先日7日の園内研修に続き、今日9日は藤森統括園長を囲んで、STEM保育について学びました。
10年後というのは2030年のことを指すのですが、それまでに急いで取り組む必要のある「地球温暖化防止」や「格差是正」に失敗すると、今の子どもたちが大きなツケを払わされる世界になってしまうことを意味します。従って、まずは大人が、政治が「正しい選択」をする必要があります。しかし、その実行が、なかなか難しい。
それでも一昨日7日(木)午後10時41分の地震のように(他にも、実際に起きた10年前の東日本大震災や、2050年までに70%の確率で起きると言われている「首都直下型地震」のように)、世界を揺るがすような大きな変化が待ち受けていて(変動性=Volatility)、それがいつくるのか不確実で(不確実性=Uncertainty)、それは単純なものではなく(複雑性Complexity)、合意を得ることが難しいような曖昧さ(Anbiguity)が付き纏います。こんな世界の特徴をVUCA(ブーカ)というのは9月1日に述べました。
今日の勉強会は、この話が大前提になります。そんな時代にはならないよ、と考えるなら、以下の話はいりません。でも残念ながら現実の世界はそんな時代になるのです。そんなに遠くの話ではありません。園児たちが中学生や高校生になる頃の話です。私の実感では、それはあっという間に来ます。そうした世界が待っていることが確実な中で、どんな力をつけておく必要があるのか?ということを考えました。
藤森先生の話は、まずなぜ、OECDが「2030年に向けた教育プラン」を打ち出したのか?ということから始まりました。きっかけは、日本の東日本大震災の教訓です。その一つが「釜石の奇跡」です。
消防庁のホームページによると「岩手県の釜石市では、約1,300人もの人が亡くなったり行方がわからなくなったりしました。大槌湾に面した鵜住居地区も、津波で壊滅状態となりました。しかし、この地区の鵜住居小学校と釜石東中学校にいた児童・生徒約570人は、全員無事に避難することができました。これは「釜石の奇跡」とよばれています。」として、音声読み上げ機能もつけて、詳しく説明されています。
https://www.fdma.go.jp/relocation/e-college/ippan/cat/cat1/cat/post-12.html
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では、児童・生徒は、どのようにして無事に避難することができたのでしょうか。
(1)鵜住居小学校では、地震直後、まず校舎の3階に児童が集まりました。ところが、3階に集まり始めたころ、
(2)隣の釜石東中学校では生徒が校庭に駆け出していました。
(3)これを見た小学校の児童は、日ごろから釜石東中学校と行っていた合同訓練を思い出し、自らの判断で校庭に駆け出しました。その後、児童・生徒は約500m先の高台にあるグループホーム「ございしょの里」まで避難しましたが、建物の裏の崖が崩れるのを見た生徒が教師にもっと高いところに避難しようと伝え、
(4)さらに高台の介護福祉施設「やまざき機能訓練デイサービスセンター」まで避難しました。
(5)このあと、津波が堤防を越えたという消防団員や地域の人の声に反応し、子どもたちはさらに高台の石材店までかけのぼりました。
(6)このあと学校やまちは津波にのまれてしまいましたが、児童・生徒は全員、無事に避難することができました。
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なぜ、こんなことができたのでしょうか。
どんな力の差が、子どもたちの生死を分けたのでしょうか。
どんな防災教育が功を奏したのでしょう。
ホームページには、大きな文字で以下のようにまとめてあります。
さらに、その三原則とはこの3つです。
この教訓を、ブーカの世界に立ち向かうための教育に取り入れたのが、OECDの「ラーニングフレーム2030」だと、いわれているそうです。ちょうど7日の園内研修で取り上げたものです。ただし、このモデルは、教員が主導して行う教育モデルに近いので、子ども主体の学びに転換させる必要があります。
その参考になるのは、シンガポールの教育改革です。さらにこれを突き詰めていくと、STEM保育の必要性につながっていくのです。その内容は別の機会に触れるかもしれませんが、今日は、そのポイントを整理しました。
藤森先生は来月、北京で幼児のアクティブ・ラーニングについて講演します。藤森先生に講演を依頼したのは、佐藤学先生と秋田喜代美先生です。
保育において、想定や思い込みにとらわれず、現状に甘んじないで、各自が当事者として率先して行動できるかどうか?
子どもにはクリティカルシンキングが必要なこと、見通しを持って最善を尽くそうとすること、自ら考えて実行する力を持つこと。こんなことができるように、さて、乳幼児からの保育は何をどうしたらいいのか。
今日の勉強会で、絞り込んでいって最後に残ったキーワードは、真鍋淑郎さんと同じ「好奇心」でした。