ちょど昨日、次年度の保育継続のための書類をお渡ししましたが、子どもたちは一足早く、来年度への継続保育に向けた生活をはじめました。0歳児クラスは1歳児クラス(クラスという言葉は、学校の概念なので、本来は生活の仲間なのですが、慣習上、使います)と同じ部屋で生活しているので、来年度も同じ場所での生活になります。また3歳児と4歳児の学年の子どもたちも、来年度も同じ3階フロアが主たる生活エリアです。しかし、1歳児と2歳児の学年の子どもたちは、年度が変わるとそれぞれ一階上のフロアになります。
ここで私たちの保育園や幼稚園では、年度が上がることを「進級」ということがあるのですが、この進級について、年度をまたぐ時期の保育を、「移行保育」と呼ぶことが多いのです。またぐ時期ですから3月ごろのことを指すことが一般的です。それが当園の場合は、この頃から徐々に移行を始めます。子どもの実態や状況にあった環境を用意するのが保育ですから、その環境が徐々に上の生活環境の方が合っているなら、そこへ行く必要があります。にこにこ組にとって3階の環境が発達にあってきたから行くのです。つまり本当は、「1年中が移行」なのですが、ちょうどこの時期から顕著になってきた、というわけです。その様子が今日の2歳児にこにこ組のブログで紹介されています。
ちなみに2歳児にこにこ組だけが、ひとクラスだけ独立しているのは、大切な発達上の意味があるからです。ちょうど満3歳になっていくこの1年間は、自立・自律の完成時期です。自分一人で色々な生活のことができるようになります。食事は自分の適量を、食べこぼさずに食べられるようになり、排泄も自立してオムツが外れ、午睡も自分から心地よく眠りにつき、心地よく目覚めることができるようになり、衣服も自分で脱ぎ着ができるようになり、手洗いやうがい(ぶくぶくペー)もできるようになり、「おはやよう」や「ありがとう」も言えるようになります。これら食事、排泄、睡眠、衣服の着脱、清潔、挨拶などの基本的生活習慣が身につくと、昔から身辺自立が成し遂げれらたと、言われてきました。
この1年の成長・発達は大きくて、保育士の配置数は2歳児の6対1から、何と20対1になるのです。これはあまりに酷いので、せめて10対1ぐらいにしてほしいのですが、それでも先生を必要とする割合が半分になるくらい成長する、自立するというわけです。この自立は、先ほど申し上げた生活上の援助があまり手がかならなくなるということを前提にしているのですが、教育内容を厚くするなら、先生の数は必要なのですが、それはまた別の機会に述べます。
この頃、心情や意欲や態度の心の成長は、教育の側面からも顕著で、生活圏が広がり、遊びも多種多様な広がりと深まりを見せます。そのため、「移行」は、遊びから入ります。3階に出かけて行って、「わあ、すごい、面白そう!」という好奇心が掻き立てられ、新しい環境を訪ねていくのです。その様子はブログでご覧いただくとして、徐々に「遊び」の方法と面白さがわかってきたら、今度は3階での「生活」を増やしていきます。先ほど述べた基本的な生活習慣が3階でもできるようにしていくのです。
食事はこれまでと同じ2階のままですが、座る場所や配膳してもらう場所が変わります。睡眠は3階になる時期が年度内にきます。そのとき、同時に1歳児ぐんぐんも2階で生活するようになります。遊びから始め、食事や睡眠も移行していきます。この流れ、入園する時にも同じようなことをしたのですが、覚えていらっしゃいますか? 慣れ保育です。親御さんと一緒に安心できる場所であることを確認したら、一人になってみる日の次は、食事をしてみる、午睡をしてみる、というように長くしていきましたよね(ちなみにドイツでは子どもに負担をああたえないという人権感覚が強いので、この慣れ保育を2ヶ月間かけるのですが、日本はせいぜい1〜2週間程度です)。
5歳のすいすい組は小学生になるための、アプローチカリキュラムに移行するのですが、それは小学校や学童への訪問を含め、年明けになります。この幼小連携の話はまたの機会にしましょう。