今日は午後から区役所で会議がありました。この会議は基本的にはどの自治体も開いているもので、「要保護児童対策地域協議会」といいます。ちょっと厳しいかもしれない、上から目線の名称ですが、要保護とは「保護が必要な」という意味で、家庭での養育だけでは子どもの人権が守られないという場合を想定しています。つまり虐待から子どもを守るための仕組みです。児童虐待は親権を制限してでも、社会的に防ぐ必要があるという考えです。
会議の主催は千代田区児童・家庭支援センター(児家セン)ですが、参加は東京都、警視庁、千代田区のほか、私たちのような保育施設、公立学校、子育てに関わる民生部門の各団体から、総勢90名近い実務者が集まります。区役所の保育園担当の部署ももちろんいます。都の児童相談所、千代田区の児家センから相談件数の推移などが報告されました。子どもの虐待相談件数は過去ずっと増え続けていて、令和3年度は全国でざっと21万件、人口1300万人の東京都が54,000件です。人口6万人の千代田区は900件弱。それでも過去数年間でも増えています。
約900件のうち虐待相談が300件ですから、約3割が虐待関連です。種類で見ると心理的虐待120件、ネグレクト100件、身体的虐待70件、性的虐待わずか、という割合になります。虐待は母親も父親もほぼ同じで、通報経路は児相、区、警察、学校、保健所の順に多く、意外と警察への通報が4分の1を占めることがわかります。都全体では45%が警察です。
被虐待児の年齢構成がわからないのですが、国の統計では45%が就学前の子どもたち(3歳未満が26%、3歳以上19%)で、小学生が35%となっており、その割合はあまり変わりません。要するに地域差よりも家族の形を含む構造的な問題と捉えた方がいいと、常々思ってきたのですが、対策はどうしても通報、発見、保護といった側面に傾いており、子育てのための家族や社会的親の構造への変容への手立てが、あまり具体的に議論されてない気がします。
それは要因が複数あって、一つだけが決め手にならないからでしょう。溢れ出る河口での洪水の原因を支流の山間部の保水力向上に求めなければならないような問題に似ているかもしれません。家庭の養育力の低下、みたいな議論だけが、いまだに中心になっていることが、どうなんだろうと思います。
保育園で地域の親子で過ごせるようにしたり、身近な広場を増やしたり、ファミサポの提供会員が子どもを保育園に連れてきたり、利用会員の負担を半分を援助したり、健診時に同年齢サークルの活動維持を支援する拠点を増やしたり、空きが出始めている保育園の乳児室に「0号認定」を創設して入園できたり、これから子育てを始める親向けの睡眠講座を保健所が開いたり、食事の影響も検討してみたり、ありそうでやっていない取り組みがいっぱいあるような気がするのですが。