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2023年 10月

ドングリ遊びの中で起きていること

2023/10/21

昨日20日(金)は、保育園を選ぶために来園された方の見学が終わる頃、散歩から園児が帰ってきました。乳児も幼児も秋の収穫物がいろいろです。どんぐりや銀杏、ひめりんご、紫色の何かの木の実も混ざっています。さあ、それを並べたり、潰して色水にしたり、紙や布に浸したり、染めたり、実を転がしたり土に埋めたり、まあ色々なことがなされるでしょう。

どんぐりなら、幼児は毎年のようにコマや、やじろべえが作られたり、色が塗られたり、動物などのマスコットやリース、モビールなどの装飾に使われたりします。

4〜5歳児の子たちは、数日前から牛乳パックでできた長い道を、どんぐりを転がして遊んでいます。右に転がると行き止まりで「はずれ」。左に行くとさらに進めるのだそうです。道から落ちたどんぐりは透明カップの中にうまく落ちれば「あたり」です。さらにそこから先の道ができるのかどうか? そんなことをやるのに子どもの列ができたりしています。

その奥の方では面白いどんぐりマスコットができていました。どんぐりを顔に見立てて、マジックで目や口を描いています。それは絵本「かおかお いろんなかお」と同じコンセプトで、4歳の女の子二人が「眠いかお」とか「うんちのときのかお」などと、いろんな場面の顔を実際に担任にして見せてくれ、それをどんぐりの顔にしていました。

3歳児の男の子は床に落ちて跳ねるどんぐりが面白くなって、床に投げては跳ねさせることを繰り返したり、もっと上に高く投げてみる子どもが出てきたりします。今度は一つずつではなく、数個をまとめて続けて投げる子どもが出てきて、どんぐりがそこらじゅうに転がって散らばると、それに加わった5歳の子は「どんぐりまつりだ」とはしゃいでいます。ちょっとはしゃぎすぎると、先生から「ちょっと遊び方が違うかもなあ」と修正されたりしながらですが(笑)。

こういう姿を見ていると、子どもは思いつきでいろんな遊びを楽しんでいるのですが、年齢によってもその差が見られ、遊びの「あてどなさ」とでもいうのでしょうか、受動的にあれもこれもと注意が拡散している時期から、だんだん目的を持ってやることが高度になっていく感じが確かにあるのです。その辺りの違いはクラスごとの保育ドキュメンテーションで比べてもらえるとわかるかもしれません。

しかし、そのことをもっと本質的に捉えると次のようなことになりそうです。無藤隆先生が、このような遊びの特質を次のように表現されていましたので、了解をいただきましたので、ちょっと長いのですが全文をご紹介します。

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○幼児は一歩前に踏み出し新鮮さに出会う

幼児はどうして毎日のように園に来て、毎日のように新しいことに取り組むような新鮮な気持ちで遊ぶのであろうか。

そもそも、今という時間は静止した固定したことではない。常に動きつつ、その流動はどうやらその瞬間といいながらもごく短い時間の継起としても経験されるらしい。その瞬間は今でありつつ、既にその次の一瞬に踏み出しかけ、そしてその少し先への予感としての開かれた先へと方向付けられる。より正確には、その踏み出す勢いがその先の何かを開き、方向付けとなるのだろう。

別に哲学的あるいは科学的な議論をしたいわけではない。幼児がその身近な環境に出会う様子を記述したいのである。その今を一歩踏み出す。そこに環境との呼応があり、気まぐれがあり、偶然があり、思いつきが促し、思いがけないことが起こる。そこに新鮮さが現れるだろう。

そこには型通りの行動や予定されたいつもの活動であり、時に昨日の続きであるにしても、そこにはそのような新たなことが生まれ、その新たなことへと踏みだし、踏み出すから新たなことが一層そうなっていく。それは「今」が揺らぎの中にあり、流動する中の瞬間であり、そこにその先への決定はできないからである。

とりわけ幼児はその統御より、その揺らぎにおいて生きている。統御がなされつつも、その先への大きな方向と切りかえのいわばギアは徐々に起こるのであり、それは半ばのことなのである。

その統御の不完全さは人としておそらく常にそうなのだが、とりわけ幼児はその不完全さが顕著であり、それがかえって新たな可能性をその一歩先の未来へと作り出す。それは例えば、何かを作りながら考え思いつき作っていくことであり、そのプロセスを生きることである。

朝の活動の開始を見れば分かるように、そこには昨日の続きはいつも曖昧にしか起こらない。ものを作ることと片付けることが一緒になっていることでもあり、新たに作り出すことが基本的なあり方となっている。昨日の活動の跡があろうと、それは痕跡であり、単なるパズルの続きをすることにはならない。

そして一歩新たに踏み出すと、そこでそれを通して生まれるものの配置は新たなものとなり、そこに未知の可能性が見えてくる。それをさらに踏み込めば次の可能性がまた多岐に広がるだろう。

幼児の世界はそのようにして、新鮮さに満ちている。新たな可能性の探究に常になっていく。遊びとはそのような新鮮さを充満させる営みなのである。そのようにして生きることは可能性を生み出し、その実現はさらなる可能性を広げることであり、そこに活動の豊さが生まれる。その新鮮な輝きは自分が世界の中にあり、その中で惑溺し、その感情を生きることである。

そこを振り返り、今後に向けて見渡すことを行って、その活動の流れが生起し、自覚され、方向付けることも増えていく。それは多様な活動を方向付け、ある制限を設けることだがそれに伴い、より焦点化した探究となり、深さの追究となるのである。

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いかがでしょうか。連日、遊んでいる子どもたちには、確かに、こんなことが起きていると思えるのです。3歳の子どもたちが「どんぐり祭りだ!」と多少ハメを外すように見えたとしても、それに遊びの本質が現れていて、自分がやったことから、またフィードバックが起きて、新たに現れてくる新鮮さに惑溺しながら、その楽しさを満喫している瞬間の連続なのでしょう。

ちなみに年長はその後、事務室にどんぐりの入った袋を冷蔵庫に入れて凍らせてくれと頼みにきました。

私の心地よいエキサイティングな混乱

2023/10/20

勉強不足による分からなさを、肯定的に書くとこうなります。

・・・他人に「子どもの姿を多面的にみよう」なんて、仕事柄、よくいうわけですが、私自身が見方を変えるのに苦労しています。この認識の転換は、結構難しいものなんです。例えていうと、自分がそれまで当たり前と思っていた一連の概念のつながりが違っていた、そうじゃないものがあることに気づいたというような、どこかで配線ミスがあることに気づき、一旦分解してまた組み立て直そうとしている作業に近いかも。そんな修正をしながらなので、難しいんです。

また大体、見当はついているのですが、脇道にそれて面白がっているので、戻ってくるのに時間がかかるというのもあります。散歩の途中で子どもが道草しているのと同じです。

でも「そうか!」って気づいて一瞬で「全部がわかる」とかじゃなくて、「それがそうなら、こっちはどうなのよ?」が次々と出てきて、そっちを調べていたらまた別の世界に入ってしまって、また道に迷う。ちょっと大袈裟ですが、私にとっては科学史でいうパラダイム転換に近い。併せて試験勉強をしていて、やらないといけないことじゃない脇道にそれて、そっちの方が面白かったりするのにも近いかも。

最近の私のお気に入りは「適時に学び、早期に展望し、遅く理解する」という言葉。遅すぎでしょ!って突っ込まれるのは覚悟の上ですし、本当はもっと早く展望したかったんですけどね。

それなので時間がかかるんですよね。きっと頭の中で配線を組み直している感じで、そんなことをやっているので、今日はこんなことがありました、とか、こんなことをしましたなら、いいんですが、子どものこの姿にはこんな意味があると思った、的な記述をしようとすると、ちょっと待てよ、本当にそうか? それじゃつまんないだろう! と自分で疑念が湧いてくる感じです。

でも、そこを日記に書きたいものだから一苦労なんです。そこにこだわり出してしまったので時間がとてもかかる。そのことを書くのに「児童心理学・発達科学ハンドブック」を開いて調べたり、最近読んだ文章の、え〜っと、どこだったっけ?と検索したりして、もう一度考え直したりしているので、そのことを納得するのに時間がかかっているんです。

これはいわば、これまで、ほぼ自動的に言葉になっていた表現を、別のものに入れ替わっていくわけですから、ちょっと手間なんですよね。というわけで、この話は今日はもう書けそうもないから、もう少し時間をかけてからまたお伝えします。(これじゃ、いったい何を言っているのか、全く意味不明ですね。ともかく子どもの姿の意味についてです)。

10月20日 昼食

2023/10/20

ごはん

鮭の塩焼き

切り干し大根の旨煮

ほうれん草の味噌汁

バナナ

保育園選びのための見学案内

2023/10/19

今月になって、保育園選びの見学が増えてきました。来園される方は、これから出産の方や既に2歳になっている子など、年齢はいろいろです。

見学は受け入れてもらえるのだろうかと、迷われている方がいらしたら、ぜひ遠慮なくお電話ください。次のような案内をしています。約1時間位です。詳しくご説明します。ご夫婦でぜひどうぞ。お子さんも連れてきていただいて構いません。バキー置き場もあります。

電話 03-6811-6686

まず園児数やクラス定員、開園時間や延長保育など保育園の概要をはじめ、保育の特徴や保育方針など、大事にしていることを説明した後、実際に部屋を案内して、子どもと保育者の様子を見てもらいます。

環境を通した保育の実際を見ていただいて、遊びで大切にしていることをお伝えします。園庭がないので、よく行く公園とその頻度、ベランダや屋上空間(菜園やプール)もご案内します。

また、併せて食事メニューの内容、喫食のときの姿勢保持の大切さ、安心安全な食材の質のレベル、食物アレルギーへの対応、午睡の意味やレンタルベッドの内容、排泄の自立にむけたポイント、紙おむつのサブスク、おすすめの衣服やその着脱の援助の方法、手洗いや歯磨きなど清潔の面、あいさつの意味など、基本的な生活の習慣がどのように身についていくのか、その自立の姿をその過程に沿って知ってもらいます。

そのほか、入園が決まったら用意してもらう持ち物や個人別ロッカー、家庭と園の連絡アプリや保育ドキュメンテーションの実際、発熱・消化器系・呼吸器系・発疹の4大症状など、どんな時にお迎えをお願いするかの具体例、年間を通じた主な行事の内容、保育参観や保育参加のこと、慣れ保育のこと、バギー置き場の使い方などなど。

そのほかよくある質問は入園が決まったら保育料以外にかかる費用は基本的に延長保育料しかないこと、入園までに作ってもらうものもないこと、保育園が決めたPTAのような保護者会はないこと、保育参観や懇談会のことなどでしょうか。

そして、入園するしないにかかわらず、お勧めしているのが無料の睡眠講座です。赤ちゃんが「夜ぐっすりねんねできるコツ」を睡眠衛生士がアドバイスします。これは地域向け子育て支援として実施しているものですが、大変好評です。

https://www.chiyodaseiga.ed.jp/mamssalon/

千代田区として親子教室の一環として妊娠したら受講できるように働きかけています。社会福祉協議会がとりあげるようになってきたので、保健所主催に広がってほしいと思っています。

ちなみに、建物は壁面(雨水を利用した壁面緑化のビオトープ、太陽光パネル)、室内ジム(運動ゾーン)、目の前に首都高速道路が走っているため騒音排気ガス防止のためのペアガラスとホテル仕様の24時間換気システム、吸音材を多用し、図書館と同じ静けさを確保した音環境にっています。

10月19日 昼食

2023/10/19

ごはん

レバーのマリアナ風

もやしとワカメのナムル

中華コーンスープ

オレンジ

早寝早起きで免疫力もアップさせよう

2023/10/18

今日は千代田区社会福祉協議会アキバ分室で、永持伸子さんの睡眠講座「赤ちゃんねんね」を開きました。分室のひろばにいらしていた乳児の親子5〜6組の方と、ズームで参加されている方が受講されました。内容はいつもと同じです。

季節の変わり目は、体調不良になりがちですが、喉にくる感染症も流行っているみたいです。今日は子どもの健康診断があったのですが、保健からは以下のような注意を促しました。ここにも再掲します。

「気温が下がり、乾燥を好むウイルスも多くなりますので、沢山からだを動かし毎日を楽しく過ごす、早起き早寝・バランスの良い食事を食べる等、免疫力を高める生活を心掛けてください。また今年はインフルエンザの流行が早いようですので、予防接種を早めに受けられるようお勧めします」

来週は土曜日28日に「親子運動遊びの会」があります。元気に親子で参加して楽しめるように体調を良くしていきましょう。

「第3回 乳幼児STEM保育実践研究会」での私の気づき

2023/10/17

昨日16日(月)に東京理科大学で開かれた3回乳幼児STEM保育研修会(主催・乳幼児STEM保育研究会)がありました。この研修会は、今回で3回目だったのですが、STEMという切り口から入ったとしても、実際の保育は要領や領域環境などの中で言われてきたことと変わりはなく、他の分野と同じように日常の中にあるものから、どのようにそれを見つけるか、取り出すか、あるいは実際に環境を用意するかということだと思います。

この数年、幼児教育と科学の関係を考えることが増えました。そこで読み返しているものに『理科大好き!の子どもを育てる 心理学・脳科学者からの提言』(無藤隆編者・北大路書房 2008年)があります。幼児期から中高生までの理科の在り方についての本で、出版されて15年ほど経ちますが、内容の性格からしても、普遍的なこと、原則的なことので、今でもとても参考になります。特に第1章の12の原則は、ことあるごとに読み返しています。その中に乳幼児にも通じるものがあるのです。

その12を書き出すと、次のようになります。

・身体的動きの原型から発する・自然への気づきは恣意的なものではない・驚異の念を保持する・好きなことから注意を育てる・日常的世界の見方をかえる・ものを作り出し、組み立てる・抽象への移行を支える心的モデルを作る・科学的探索の技能を教える・知識を組み替えていく・熟達のモデルに出会う・学びを尊重する文化を育てる・適時に学び、早期に展望し、遅く理解する

この本のことを思い出したのは、そこに書いてあることとで、研修会の実践を振り返ると理解がつながって、個人的にはとても有意義な気づきを得ることができました。

それは、誤解を恐れずに端的にいうと、次のような感じです。

・子どもの楽しい、面白いというところから始まって、既に持っている本人の既有知識が身体的働きを通じて新しい気づきを得ながら、それがセンスオブワンダーを保持していきながら、さらにもっとどうなっているんだろうという、世界への探究に向かっていく動きが生まれていくこと。

・そこには、わかった!やへえ、そうなんだ!などが起きていて、じゃあ、ちょっとこうしてみたらどうなるかな、という工夫や試行錯誤が、それは言い方を変えると環境との関わり方や意味を取り入れていくプロセスが生じていて、そのプロセスの中には、新たに関心から注意がそこに向かうので、つまり環境からの<呼びかけ>が新たに<聞こえてくる>ようなことなので、さらにそこへ入り込もうとする<思いつき>や<ひらめき>が生まれている。

・その思いつきやひらめきは、最初の楽しい、や面白いという感じがあればこそ、そこには遊び心が躍動している感じが大事。リラックスしていて、なんでもやっていいんだという開放された心理状態になっている方がいい。何か期待されていたり、正解が求められているという変なプレッシャーなない方がいい。自分と対象との関係の間に、面白さや楽しさがあるから、その営みの循環が起きていることで、さらに先に進んでいくことができる。

こんな感じです。ステムの実践は面白いですね。

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