園だより 7月号 巻頭言より
保育参観で「子どもに見つかってしまって、普段の様子が見られなかった」という方は、保育参加という方法もおすすめしています。これは、お父さん、お母さんをはじめ祖父母の方や、保護者の方ならどなたでも構いません。歳の離れたお兄さんやお姉さんでもいいです。せいがサポートスタッフ(SSS)の家族版と思っていただいても構いません。
子どもは保護者の方が側にいると安心して親と離れて遊び出すものです。これを「安心感の輪」と言って、私たち保育者が大切にしている考え方なのですが、社会では心理的安全性という言葉で、創造的活動を発揮させる条件としてよく言われるようになってきました。輪の一端に子どもにとっての「避難場所や安全基地」があって、そこに親や先生がいるわけです。子どもである場合もあります。何あったら、そこに駆け込めばいい。不安になったり困ったりしたら、そこで慰めてもらったり励ましてもらったりして、エネルギーを補給してもらう。そしてまた元気になってそこを離れて遊び出す。大人は手を離す、ハンドオフするだけでいいのです。見守るをハンドオフと訳すこともあります。
ポイントは安全基地にいる私たち大人が、ウロウロしないことです。遊んでいる子どもを邪魔しない、何もないなら近寄らないこと。過干渉も過保護にもならないコツがここにあります。子どもにとって見通しのきく場所にいて、子どもからすると「何かあればそこに行けばいい」という安心感を持って遊ぶことができることになります。そして困った、寂しい、手伝って・・などのサインがあればそれにちゃんと反応する。それは無視しない。そんな感じです。
保育参観で見つかって気持ちが崩れるのは、子どもにとっての安全基地が突然現れるからでしょう。安全基地は子どもにとってわかりやすい場所にあって、そこを動かないことが条件です。それが見つからないように隠れているわけですから、子どもにとっては不安になります。ルール違反のようなものでしょうか。
「今日はママが先生だからね。側にいるから安心して遊んでおいで」という感じで離れる方がいいのです。子どももそれがなんとなくわかるようで、べったりくっついたままということはなくて、自然と離れて遊び始めます。何度か繰り返すとより効果的です。同じ意味で日曜開放などを使って、半日でも親子で過ごしてみると、その間に子どもは慣れて遊び始めて親御さんから離れていくものです。親子ひろばでも同じようなことが起きますよね。ぜひ、気軽に担任にご相談ください。