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2024年 8月

ダンサーとの話し合いから〜とうきょうすくわく〜

2024/08/22

昨日21日(水)はコンテンポラリーダンサーの芝田いづみさんと宮崎知佳さんにきていただき、子どもたちと運動を楽しみました。数あるダンスの種類の中で、なぜコンテンポラリーダンスなのかという話は長くなるのでまた別の機会にしますが、簡単にいうと「環境を通した保育」に適しているからです。子どもが楽しくなる、思わずやりたくなる身体的、音楽的、空間的な環境を作りだすことで、普段あまりない世界を子どもが体験できます。思わずやりたくなる、というのは子どもの方がやるかやらないか、それをその都度思いつきでやる主導権があるということを大事にできからです。(そういうのであれば、ダンスは何でもいいんですけれど)

この辺りは「振り付けのないダンス」という説明をしていたことに通じます。言ってみれば体遊びなのですが、戯れ遊びや鬼ごっこやわらべうたや体操やスポーツとも違う、新しい体の動きを発見していくような、身体の探究になっているような身体的な遊び、というといいでしょうか。ダンスの方からの言葉で言うとインプロビゼーション、即興的ということなのですが、子どもたちはそこに面白さを感じてノリノリになっていくのです。

子どもたちとのコミュニケーションのために、いろんな動きにわかりやすく名前がついているのですが、それぞれにやる目的というか意味があって、それはやるたびに発見されて、エクセルの表にまとめているものに、どんどん発見された子どもの姿が書き込まれていっているのですが、やるたびに子どもの経験が積み重なり身についていくので、それがまた新しい動きや思いつきを誘発させていて、午後はダンサーの芝田さんと振り返りながら長い間話し合いました。

たくさん話したのですが、その中の一つに、わいわ組(3歳児クラス)のISさんが「トンネル」を潜り出した時に、そばにあった椅子の下もどうなるか潜ってみたいと言い出し、その気づきが面白いね!いいね!と、それを試してみたのですが、ともて自分の体が通らないことがわかって、そのあと反対に椅子をトンネルのように覆う仕草をしていたのです。物との関わり方を試すということなのですが、そういう試行錯誤的な思いつきの体の使い方や世界の取り込み方が、即興的にどんどん生まれていく面白さが、この活動にはあるよね、という話になったのです。

0歳から3歳児以上の幼児クラスまで、全て動画を撮ってその分析をしながら、何が子どもたちに「起きているのか」を振り返ってみると面白いだろうと思っています。この日、午後の振り返りの中で、都内の中学校の保健体育でダンスを指導しているいづみさんと、幼児の時期にこのようなことを体験しているのとしていないのでは、何が変わると思うか?という話になったのですが、自分からこんなに表現していいんだという、自由に自分を出す体験の積み重ねは、そういう感覚を体験しているかどうかだから、かなり変わっていくと思いますよ、という話で同感したのでした。

ずっと一緒に見てきた担任も次のような感想を書いています。「毎年やっているので、年々、表現のバリエーションも増え、その時々の感情やその子らしさが見えてくるような気がします。ダイナミックに表現する子もいれば、よく見ていると、手先が動いているような、そっと表現するような子もいたり、輪に入って参加している子もいれば、見ている子もいたり、それぞれの距離感で表現遊びを楽しんでいます。」

 

子どもと対話しながら世界に向かっていく

2024/08/21

保育園で子どもたちが様々な遊びを展開していることと、食事や睡眠などの生活面でのスキル向上などの両方をトータルに眺めてみると、そこには子ども同士や先生との関係などの人的ネットワークが紡がれており、それぞれが影響を与えながら、色々な方向性に向かって学びながら発展していっているように見えます。

その過程はそれぞれの人(子どもも大人も)にとって学びでもあり探究でもあるのですが、どこに向かっているのか?とあえていうと、それぞれの生きている「世界の向こうへ、さらに」としか言いようのない、開かれた世界の彼方へ向かっているとでも言っていいのでしょうか。私たちは生死を超えた宇宙の彼方から彼方へ旅をしているのだとしたら、そういうものという言い方ができる気がします。

どんなテーマであろうと、やっている仕事や活動が違っていようと、そういう意味では誰もがアクティブラーナーであり探究者なんだと思います。主体的で対話的で深い学びとは、本当によく言い当てているなあ、と思うことがあります。特に「対話的で」が入っていることが、自分一人では成し遂げならないことや、対話することで自分や世界が見えてきたりして、そもそもじっとしていられないものだからこそ、そのようになるんだろうと思えてくるのです。

子どもたちがそうあることから教えてもらうことがたくさんあります。そしてある人の訃報に接して、遊星的な回帰に思い至り、保育という仕事も、子どもを世界に適応させるのではなくて、共に世界を探究するもの同士の対話を繰り返して行きたいと思うのでした。

野菜販売始めます!8月30日スタート〜とうきょうすくわく〜

2024/08/20

Naoraviチラシ 千代田せいが保育園

保育園の食育の目的は、以下の5つがあるのですが(書類「保育園の食事2024年」をご覧ください)、その2つ目の「食べたいもの、好きなものが増える子ども」のために、今月から美味しい野菜の味を探究する活動を始めます。その一環として、野菜の試食と販売を8月30日から始めます。

安全安心な給食づくりは、開園1年目からのテーマだったのですが、この間、味噌や醤油などの調理料は天然栽培のものに切り替えたりしてきたのですが、今後、野菜も少しずつ変えていく予定です。そのために旬の野菜を選りすぐりの産地から手に入れます。

子どもたちや親御さんにも、その野菜のおいしさを体験してもらいたいので、フランス料理のシェフである江口そらさんが開発した食育体験プログラムを取り入れて、野菜のおいしさと簡単な調理法を体験しながら試食するという「味覚探究活動」を始めることにしました。

今年度は月1回、毎週第二水曜日に行います。そのプレ開催として8月30日(金)に、群馬産の「ナス」を使った食育活動と、夕方の試食&販売(長野県上伊那産のとうもろこしもセット)をしますので、ぜひ試食してよかったらご購入ください。どんな調理法がいいかもライブでお伝えします。購入はその場でPayPayで。(早めに使えるように準備をお願いします)

<味の探究の日>はこんな流れになります

毎月第二火曜日(場所は全て2Fのダイニングで)

10:00〜11:00  「にこにこ組」で味の探究活動*東京すくわくプログラム

11:45〜12:30 ライブクッキング(昼食として副菜を調理)

16:00〜17:00   「わらす組」で味の探究活動

17:00〜18:00 野菜の試食と販売

<食育の5つの目標>

(1)お腹のすくリズムのもてる子ども

(2)食べたいもの、好きなものが増える子ども

(3)一緒に食べたい人がいる子ども

(4)食事づくり、準備にかかわる子ども

(5)食べものを話題にする子ども

ベイブレードのミニ大会で盛り上がる

2024/08/19

ベーゴマの現代版はトミカのベイブレード。子どもたちの中で流行っています。

スタジアムと呼ばれる台の中で、シュッとコマを回して対戦し、最後まで回り続けた方が勝ちという、昔の「べーごま」とルールは基本的に同じです。

ただ紐で回すのではなくて、引っ張って高速で回るようになっている器具を使うので、その操作さえできれば誰でもできる簡便なものです。

日曜開放で親御さんたちが企画して、園児や卒園児だけではなく、そのお友達の小学生たちも参加して大賑わいのミニ大会になりました。

そのせいでしょう、月曜日は子どもたちの制作遊びは、RaQでそれらしいもの作りに凝っていました。子どもたちとっての面白さ、かっこよさが詰まっているようです。

 

8月18日は「にちよう開放」です

2024/08/17

世の中がどうであろうと、それは大人からみた世界のことであって、子どもたちにとってはそれぞれにやりたいことがあってそれがやれることが一番です。

台風7号が遠ざかって今日は暑い一日でしたが、今週はその準備や対応で気の抜けない週末になっていました。それでも子どもたちは、それぞれの探究をいそしんでおり、その様子はドキュメンテーションにお知らせしてありますが、とにかく元気です。

このエネルギーをご家庭で爆発されたら、それは誰でもギブアップでしょう。大人とてもまともについていくことはできないかもしれません。もちろんお子さんにもよりますけれど。

一日の生活のなかでうまくリズムをつくってください。うまく保育園も家庭生活の一部に取り入れてその流れもうまくご活用ください。園での遊びや生活のうまくいっている「ノリ」のような部分を、家庭でもそのきになって没頭できる時間をつくってみるとか、家庭での遊びの延長を園生活でも楽しむとか、それぞれのつながり具合も担任と話し合ってもらえると何かヒントがあったり、うまい子どもとの距離感が生まれたりするかもしれません。

明日は日曜開放の予定です。外に出たくても暑すぎて、という方はちょっと園で過ごしてみるのもいいかもしれません。

進路がそれた!台風7号

2024/08/16

本日は台風への対応ありがとうございました。流れを振り返りました。

・・・

朝7時21分に次のようにお知らせ。

「午前中から暴風に警戒してください。台風7号は勢力を強めながら関東に接近しているため、本日16日午前中には東京にも昼過ぎまでに「暴風警報」に切り替わる見通しとなりました。外を歩くのが危険な状態となります。傘なども通用しません。そのためできるだけその前までのお迎えをお勧めします。また本日ご都合がつく方は、お休みなさるのが賢明です。」

雨よりは風が危険らしい。ただ昼の情報では進路は北北東に傾き始めたという。でも風速40メートルの「暴風圏」が千葉を直撃しそうなルートであるという。そこで昼過ぎの12時8分に「本日のお迎えのタイミングについて」次のようにお知らせしました。

「気象庁は11時45分、千代田区にも「暴風警報」(警戒レベル3)を発令しました。今後雨に加えて風がより強まりそうです。現在の進路予想によると「暴風域」はかすめる程度で済みそうです。しかし夕方から夜にかけて雨風は強まりますので、ご注意ください。また東京都には「洪水警報」も出されました。少し離れた台風の雨風は、急に強まったり弱まったりを繰り返します。突風は巻き込まれると大変危険です。登園されている方は再接近する夕方を待たずに、早めのお迎えをご検討ください。」

結果的に台風の進路は東へ大きくカーブして、関東直撃は免れたのでほっとしました。

昨日から法人本部、千代田区とも情報交換しながらの対応だったのですが、子どもの安全確保を第一に考えて、保育をすすめます。今日は皆さん、事前にお休みしてくださったり、早めのお迎えに来てくださったり、ありがとうございました。またそうしたくてもできないお仕事があることも理解しております。そういうことで心苦しく思うといったことのないように願います。

台風7号接近によるお願い

2024/08/15

台風7号が関東にむかって北上中。この時期のこのコースはあまりない気がするので、こういうのも気候変動のせいだろかと思ってニュースを聞いていると、やはり海水の温度が高くなっているので勢力を強めながらやってくるそうです。そこで保護者のみなさんには次のような案内をお知らせしました。

明日は台風7号が関東に接近するため、以下の点にご配慮とご協力をお願いします。

(1)明日の夕方は早めのお迎えが必要になるかもしれません。雨風や交通機関の運行状況などを予想して、早めの判断をお願いします。

(2)卒園生など保育ボランティアの受け入れ(SSSを含む)は、明日は中止とさせてもらいます。

情報に振り回されない生活

2024/08/14

人間の脳を含む身体は昔からあまり変わっていないのに、これだけ多くの情報が向こうからやってくるようになると、というよりも、もしかするとこちらからアクセスするようになると、気づかないうちに情報中毒のようになっていて、物の過剰消費と同じようにあまり必要でもないのにそれに接すること自体が目的化して、副作用のようなことがきっと起きているのだろうと思えて仕方がありません。

昔からテレビは見すぎるなとか、本は読みすぎるな、みたいなことが言われてきた時代があったのですが、私なりにそういうのをどう理解してきたかというと、ようするに振り回されないように自分に適切に作用させるというようなこととして理解しています。いったい自分はどうしたかったんだっけ?という肝心かなめのテーマを忘れて、目の前にやってくる事象をおっかけたり、食べたり寝たり必要な最低限欠かせない生理的習慣のはざまに生じる意識的な時間を、受動的な情報アクセスタイムになっていたりするのかもしれません。

いったいそこで何か自分にとっての主体的な自己形成なり社会貢献なり創造的な営みに近いものが少しはあってもいいだろうけれど、その情報空間の扉を開けてしまうと、自己を見失ってしまう自分に気づくことすら難しい情報消費社会の渦に巻き込まれてしまうリスクがあるように思えて仕方がありません。面白く、うまくできてますからね。

これだけ多くの人が、寄ってたかってPVを稼ぐような姿を眺めていると、昔は祭事の夜の道路で茶碗やバナナを面白い口上で売りさばいていた芸を思い出してしまいます(知らない方が多いと思いますが、要するにフーテンの寅さんの世界)。その点、保育園の世界は、つけっぱなしのテレビもBGM音楽もなし、そういうデジタルネット社会からはある程度、隔離されている(意図的に使う場合もありますが)とは思っているのですが、その分だけですが、それぞれの子どものもっているであろう本来の身体性が発揮されやすい環境にしやすいはず、という感じはします。

しかし、そんな環境が果たしてほんとうに過去にあったのか?というときっとそれもなかったので(幼稚園なんて昔はなかったわけですから、学校も昔はなかったわけですから)改めて何がいいのかを考えながら、試行錯誤しながら工夫し続けていくしかないのでしょう。人間の遠い過去から続いている知性と本能の長い旅は、それが知性が主導権をとりながら、それがつくり出す道具のあれこれ(文明社会)がかえって難題を創り出している(気候温暖化など)という面もあるように、情報にも両面がありそうなので、そのマイナスの側面に振り回されない落ち着いた生活で子どもたちを守ってあげたいものです。

全国大会の実践発表から(3)保育者のまなざしについて

2024/08/13

全国大会の実践発表を聞いて、かなりの部分を想像するしかないにしても、子どものそばに子どもがいるという異年齢の人的環境の関わりが起きている経験が起きていることは事実です。そしてそこに、何がどういうことが起きているのかに目を凝らしている保育者たち。こんなに組織として着目しているのか、と感心してしまいます。報告を振り返っているうちに、自分の見えている保育風景と重なってくることがありました。

子どもはやりたいことのために、それをやっていい状況を見つけ出す嗅覚を持っています。その時、周りにいる大人がいいと思っているかどうかに敏感な子どもいれば、他人の目線なり空気なりにお構いなく、やりたいことにまっしぐら、というタイプもいます。大人の顔色に敏感なのか、周りの子どもたちの言動に敏感なのか、あるいは人がいるいない、とか空間の広さや気配などに敏感なのか、それは実に色々であって、そうした傾向は見えにくくなったとしても大人になっても保持していることもあって、人間の成長や変化というものを長い目で見るときに、あまり変わりようのない基底的なものがあるなら、子どもの頃からそれにあった環境を用意してあげたいと思ったりします。

そうは思っていても、その子どもにとってふさわしい空間になっているかどうかは、実際に体験してみないとわからないので(本人も私たちも)、その様子を見ながら、こんな場所があるといいかもとか、こんなところがお気に入りなら無理のない範囲でそのままにしておこうとか、かなり融通をつけてどこでもいていい場所になっていきます。

その時に難しいのがどこまでそれを許容するか、という線引き問題が生じるという話です。きっとどの家庭でもどの園でも、どんな社会でも起きる話なのでしょうが、できるだけ大事にしているのは本人とのやりとりのあり方です。津守真の「保育者の地平」や倉橋惣三の「育ての心」などが大人の心情を満たしていることが理想的ですが、それを知らない、あるいは忙しくてそれどころではないという保育者がこの問題に直面すると、組織としての統一したルールのあるなしが問題という風に捉えられてしまうという難点が生じやすいと想像します。

もし第三者評価などの評価項目として、この辺りの標準化してルールが「ある」として用意するなら、内容はどう考えるか、という書き方になるか、かなりバリエーションを増やす例示の仕方になるかもしれません。

許されているという感覚すらないほど、あっけらかんとそこで過ごしていることが多いわけで、そこには「線」など見えないわけで、引くなら子どもと話し合って引き直すことになるでしょう。「ここね、お客さんが来るから、こっちでやらない?」とか。この辺りの対話がすんなりいく時とそうならないときとがあって、そこには小さい子どもなりに相手との相性とか優しさとかを感じ取っての反応と傾向が見られます。

同じように見える状況ではあっても、子どもによっても、大人によっても、それまでの経過によっても生成している事実はそれぞれ異なるものです。その時に感じているそれぞれの気づきも考えも思いも異なります。このような人と人の関わりの経験を保育としてどのように描き出すのか。どこに力点をおいて、その事象に適った言葉を連ねるのか。例えば「主体的」では意味が大きすぎて何もいっていることにならないとか、「選択」では結果的にそう判断しているかのように見える入り口や出口の様相でしかなく、そこの過程や揺らぎの部分が軽くなってしまう。といった具合に、言葉を使うなら、保育で起きている事実はもっと多面的に色々な姿として描き出す必要性を感じるのです。

起きていること、という捉え方自体も疑いたいのですが、そこまで考え出すと伝えるのも難しくなります。でもそのあたりのことを考えながら、子どもと接しているという日々なのです。

全国大会の実践発表から(2)〜主活動を見直す・食育・心を動かす〜

2024/08/12

ギビングツリーの全国大会の実践報告の続きです。

(4)多賀城バンビの丘こども園(多賀城市・定員69人・鶴島恵理園長)は「これまでの振り返りから 遊びの展開を考える」を発表しました。

主活動なり課題保育なり、名前はどうであれ午前中にある時間帯をそれにあて、それ以外の時間の意味づけなり、それとの関係が不明瞭なままであることがよくあります。そこを大胆に見直した報告でした。

週案の書式を次のように見直しました。左側に「子どもの姿」右側に「環境」を書き出し「子どもの興味や関心に合わせて選択できるように、また意見を表明して参加できる活動やゾーンなど」を対応できるようなものに変えたのです。

どの時間にどこでそれをやるのかは、やりやすいタイミングをアレンジすることになります。事例として「木登りををしたい」「雨の日、そして美容室」「STOP!その丘、危険です」の3つ。

その結果、子どもは「〜したいが増えた。『やりたくない』が減った」「遊びのルールや過ごし方を自分たちで話し合って決めるようになった」そうで、先生も「まず子どもに聞いてみることが増えた」と言います。

藤森代表「子どもがいろんな経験をする意味がよくわかる実践だったと思います。子どもが何かをを選べるようになるために、先生がこんなことが楽しいとか、どんなやり方があるかなどの方法も伝えることが必要です。こんなことができるよと体験できるとよい。心情・意欲・態度の中の心情を作るための課題保育、面白いとか楽しいとか感じるようになるから、意欲が生まれてきます。どこにどんな環境があるかも知らないと、そこへ向かわない。事例の木のぼりをしたい!と公園を選べるようになるのもそういう、それまでの体験があるからでしょう」

(5)大宝保育園(茨城県下妻市・定員120名・山内雄佑園長)は「見守る食育」の実践を報告しました。遊びのテーマ選択はよくある事例ですが、食育活動を選択できるようにした事例です。

「野菜の準備」「食育絵本」「ミーティング」「お米とぎ」をする場所に分けて、年長さんから始めてみると「玉ねぎ」の皮むきをしているグループに「色が違うよ」と絵本で見つけた玉ねぎの色の違いを伝えたり、終わった後の話し合いも気づいたことや感じたことを伝え合うという姿に変化していたそうです。

また、食事や運動や生活リズムなどの子どもの健康のために様々な最新情報を保育に活かしています。

藤森代表「ミーティングをどう考えか。米国のハイスコープでは何をしたいかというプランを立てたり選んだり、やった後にどうだったか振り返り、じゃあ次は何をするか次に結びつける話し合います。発表に『疑問のタネ』という言葉がありました。まさに、これを持たせるのがSTEMです。やってみて9割失敗しても構わないです。大事なのは疑問を持ってやってみようとすることが大事ですね」

(6)しげる保育園(仙台市太白区・定員70名)は「心を動かす環境作り」。

「自分らしく生き、望ましい未来社会を作り出すため」にという理念から「シチズンシップの基礎づくり」を心がけています。その視点からの異年齢の関わりの広がりが報告されました。

新年度は卒園や進級で子ども同士の関わりに変化が起きます。報告では3歳児が「関わりが減ったことを不思議に思っている」と捉え、他のクラスの様子を見に行ってみることに。すると年長児の「青葉祭り」で毎年やる「すずめ踊り」をみて「かっこいい」「一緒に踊ってみたい」。0歳児へいくと優しく触れ合う姿が見られ、先生は「乳児のことを知ろうとする姿」に驚きます。

生活の場面でも、幼児が乳児を部屋へ連れていってくれたり、幼児が「お手本になろう」とする姿が見られたとそうです。その流れで給食を一緒に食べたり、着替えやお昼寝のお手伝いへもつながり「頼られたり感謝される喜びや特別感を感じて」異年齢の交流が広がっていきました。

藤森代表「平成元年から始まった「環境を通して」ということがなかなかいかないといわれています。そこを先生たちがよく見直してます。子ども同士の関わりの環境も含めてです。ベルギーなどもそこを最初に検討するといわれています。4月の新学期は落ち着かないから異年齢はまだしない方がいいといわれることがあるが、異年齢の関わりが安定しているなら、そんな時こそ、年少の不安を年長がケアしてあげることができます。3歳児だけにしないで45歳児がそばにいてあげることで安心すると思います」

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