成長展の特別展示は第3期(10月〜12月)までの子どもたちの様子を描き展示しました。先週末に最終の第4期(1月〜3月)のそれが完成しました。そして今日、それを丹念に読み終えました。1年間を4期に分けてそれぞれの期の育ちを振り返ってみたわけですが、その4期を全部並べて読み進めてみると、とても興味深いことに、1年間の育ちが立ち現れてくるという現象が発生します。ぜひ、みなさんもご自身の目でお確かめください。
その「現象」の謎解きになるかどうかわかりませんが、少し前提となっていることをお話しします。
この展示内容のために選ばれている写真とコメントは、お察しのとおり、膨大な数にのぼるのですが、それでも全体のほんの一部でしかりません。それでも先生たちが選んだ事例は、その時期の育ちの何かを表しています。それを繋げてみたときに初めて見えてくる育ちのストーリーが浮かび上がってきました。ストーリーといっても、別に脚本があるわけではありません。結果的にみえてくる育ちの流れのようなものです。私にはこんなふうに見えたという感想をもっているのですが、それは人によって違うかもしれません。
このことを、どう例えるといいのでしょう。満天の星空に星座を描くことに似ているかもしれません。どの星とどの星を結ぶかは任意であるはずですが、白鳥や柄杓が見えてくるのは、私たちのイメージの投影です。いろんな絵が無数に描けるはずなのです。それをアインシュタインは自身が見出した理論についてさえ、同じことを言っています。数学のトポロジーと同じことになります。
そのたとえよりも「別の宇宙に出てしまう」と言った方がいいかもしれません。今流行りのマルチバースに似ています。理論的には存在する可能性が高い仮説だが、誰もみたことがないという事情に似ています。すでに過ぎ去った過去なので、いまからそこをねらって(写真とコメントを撮ったり)記録することは不可能なのですが、それでも、その頃に別の似た事例もそこにきっと見出すことができるに決まっているというような事情です。
そうしたことを差し置いても、ここで選らばれた事例は、事実であるという意味でドキュメントとして価値があるはずです。「そうそう、このエピソードは◯◯ちゃんのことを、よく表しているよね」といった数々だからです。また、「こういう経験に似たことがたくさんあるよね」ということが選ばれています。それだけではなく、逆もあります。「よくこんなことがあるもんだね」ということも記録されており驚きます。
これらの事例は、いわばノンフィクションであることは間違いない、と言いたいのですが、それでもある1つの視点から切り取った姿ではあります。具体的には、国が定めた要領や指針に基づく子どもの姿です。それでも、また繰り返しますが、そこにも結果的に何を選び並べるかという選択があって、一つの傾向や偏りがあるはずなのです。さらに、ある側面が強調され過ぎていたり、全く触れられていない事実が隠れていたりするかもしれません。その歪さが大きいと、そこに描かれていることは何か大切なことから「的外れ」ということになるのでしょう。
さて、果たしてどうでしょうか? そうかどうかは、案外簡単な判断かもしれません。というのも私にはそう的外れではないという確信がもてました。みなさんは、いかがでしょうか?それはみなさんが判断できます。ご自身のお子さんのことですから、きっと合点や納得がいくことが見出されると思うのですが、いかがでしょうか?