◆健康な心と体を育て、自ら健康で安全な生活をつくり出す力を育む
日記にこのタイトル?と思われるかもしれませんが、とても大切なフレーズなのでみなさんにお伝えしたいのです。これは日本の幼稚園教育要領や保育所保育指針での、幼児教育の領域「健康」のひとつです。
◆心も体も解放される体験
今日は、午前中の散歩でこんな場面がありました。ちっち組とぐんぐん組は今日のクラスブログにあるように、和泉公園へ行って「外の空気を吸いながら、広い場所で思い切り体を動かして」遊びました。子どもたちの弾けるような笑顔が眩しくて、まさに立春にふさわしい戸外遊びができました。子どもたちは「心も体も解放される感じ」を体験していて、確かに貴重な経験です。このような経験は「健康な心と体を育てる」ことになります。
◆にこにこ組も初めての和泉公園への散歩
さらに、こんな場面もありました。にこにこ組も今日、初めて和泉公園へ行きました。そこでは、広い芝生を走り回り、2種類の滑り台がついた大型アスレチックで遊びました。また列を作って歩道を歩き、階段を上り下りして、さらに途中にある色々なものを目に留めながら園と公園の往復ができたのです。これだけ体力もつき、しっかりとした足取りで、つまづいたり、転んだりもしません。
滑り台を安定した姿勢で滑ること。階段を上り下りするとき、手は手すりだけを支えていること。上手にネットをよじ登れること。手足の四点をうまく交互に動かす握力と支持力が育っていること。長い平均台のような棒にまたがり「いざる」動きができること。前後に揺れるワンちゃんの乗り物を上手に乗りこなすこと。数え上げるとキリがないほどですが、様々な動きを楽しんでいました。知らない人が見たら、しょっちゅう来ていると誤解されるはずです。初めての遊具のはずなのに、自然と遊べるのには驚きました。木場公園の冒険広場での経験も生きているはずです。
また、わいらん組も、朝の運動で画期的な育ちを見せてくれています。ルールを守って安全に体を動かすことができる子どもたちが、それを目指そうとしてくれています。子どもたちによるその伝播力は素晴らしいです。
ちっち組、ぐんぐん組、こにこ組、そしてわいらん組の子どもたちのこの姿から、「健康な心と体が育っている」ことを実感できます。
◆見通し・加減・判断
ところが、もっと嬉しく思ったのは、「子どもが自分でできそうなことの見通しや加減ができるようになっていた」ことです。危険なことはしない、でも、ちょっと難しそうだけど、やってみたい。その間(あわい)の判断力が育っているな、ということを感じました。あるいはこうも言えます。できそうなもの、自分に合うものを環境の中から選び出し、それを使うことで伸びようとしている能力を使っている、と。
私たちは、この子どもの姿をどう受け止めるといいのでしょうか。子どもの育ちをどのように振り返るといいのでしょうか。専門的には、子どもの発達をどのように評価(アセスメント)するべきか、ということになります。
◆自らつくり出す力
実は、こういう時のために、指針や要領は役立つのです。そこで、もう一度、教育「健康」の文を見ていただきたいのです。「健康な心と体を育て」の次の文言です。
「健康な心と体を育て、自ら健康で安全な生活をつくり出す力を養う」
私たちが子どもが健康であるように「教育」して、何を育てるのかというと、ここに書いてあるように「自ら〜つくり出す力」を養うのです。「健康で安全な生活」は、大人が用意するだけではなく、子ども自らが「つくり出す」のだ、と書いてあるのです。この違いはものすごく重要です。健康で安全な生活環境になるように、子ども自身でそれを「つくり出す力」を養うんです。主語が大人ではなく、子どもです。
◆危険回避能力を育む
子どもたちは、自らケガをしないように「危険を回避する力」を身につけていました。ここに至るためには、危ない環境をなくしてケガをしないようにしてきたのではなく、危ない環境があっても、それを選ばない、避けることができる、無理をしない、危なくないように活用するなど、そうした「安全な生活をつくる」ことができるようになってきているのです。
◆自己免疫力を高める
このことはケガの回避だけではありません。病気にならない丈夫な体を養うために必要なことは、免疫力を高めるために罹患して抗体を獲得することで身を守ること。これが基本です。予防接種も同じ発想です。赤ちゃんの頃、病気にかかりながら抵抗力を高めていく(抗体を獲得していく)ことが大事なことなのです。ただ、今注意しなければならないコロナウイルスのように、自己免疫がない、危険な病原体には「罹患しないこと」が最優先ですが、そのような対抗策は例外的であることを認識しておく必要があります。
◆適量を食べ、休息睡眠をとり、オムツがとれ、衣服が脱ぎ着でき・・
さらに対象を広げれば、健康な生活を作る力は「早寝早起き朝ごはん」の生活リズムを自らつくり出すことでもあります。「いっぱい・ちょっと」など食事の適量を自ら知ること、朝食をしっかり摂れる食欲が朝からあること、お腹空いたという感覚があること、疲れたら休息を自らとれること、眠くなったら心地よく眠りに自分で入れること、そして自ら気持ちよく目覚めること(いつまでも寝かしつけや目覚まし時計が必要ではなく)、朝、排便できること、衣服の着脱が自分でできること、暑いと汗をかいて体温を下げ、寒いと体を動かせば自分の体が体温を上げる仕組みを獲得すること、自分で気持ち悪いと感じて手を洗いうがいができること、・・・どうでしょうか。自らこんな生活をつくり出す力を養うことができたら。保護者会でもお伝えした基本的生活習慣の自立です。こうした身体的な自律(他律ではなく)がコンフィデンス(自信)を育てるのでした。さらに遡ると、その土台づくりが無意識に深く根を下ろした自信(基本的信頼感)を持つことでしたね。