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園長の日記

健康③乳幼児期の運動と体力について

2020/02/06

◆子どもの「運動能力」って何が育つといいんだろう?

入園以来、私は保護者の皆さんに「子どもが自分の体を思いどおりに動かせるようにさせてあげたい」とお話してきました。自分がこうしたい!と思ったらそれができるようになってほしい、と。そのために、それぞれの発達の過程にあった運動ができる環境をできるだけ用意してきました。赤ちゃんから就学前の子どもたちが、十分にその力を発揮できるような環境です。では、その運動能力とはどんなものなのか、ちょっと分入ってみてみましょう。

運動能力に関係する言葉、よく使われる言葉をまず整理してみましょう。

◆「体力」とは色々な身体的な器官の機能のこと

遠くの公園まで歩いて行けたとか、活発な運動をしてもあまり疲れなくなったとか、風邪をひきにくくなったとか、そうしたことがあると「体力がついたなあ」などと言いますね。この「体力」とはなんでしょうか。私たちは腕力とか走力とか、個別の話ではなくて、全体的な身体の育ちをイメージすると思います。発達の専門用語を紐解くと、次のように書いてあります。

「運動能力の基礎となる身体諸器官の機能を体力と呼ぶ。筋力、敏捷性、平衡性、持久力、瞬発力・・などからなる」(発達心理学辞典)。

この定義によると、いろいろな器官の機能がよく発達することのようです。それが発達する仕組みは、生まれる前から携えてきた潜在的な力(持って生まれた力)と、生まれた後で、その器官を使うことで伸びていく力が合わさって形成されていくことになります。私たちのできることは、後者の「生まれた後で、その器官をよく使うような機会をちゃんと用意すること」になります。では、この「ちゃんと」とはどんなことでしょうか。それは、それぞれの身体的器官がちゃんと働くような環境のことでしょう。そのポイントは、あくまでも子どもが「思わずやりたがるような環境」です。

◆運動技能を育てるには

もちろん体の中の、消化器官や呼吸器官、循環器官なども、ちゃんと働くことが大事です。これも広い意味での身体的運動で、健康の基盤になります。生きていく生命維持活動そのものですね。生命の保持そのものの機能ということですね。ある程度の負荷と休息のリズムを必要とします。よく言われるように、適度な運動とバランスのいい食事、そしてストレスの少ない生活です。ただ今日のテーマでいう「運動」は、もう少し狭い意味での身体的な運動です。いわゆる「運動技能(スキル)」です。技能ですから、生まれた後で習得できるもの、学習で身につくものになります。辞典をみてみましょう。こうなっています。

「運動技能(スキル)は、運動形態の実行能力、または個人に定着した習熟能力。運動遂行能力のこと。いくつかの下位技能(部分機能)が有機的に統合され、時間的、空間的にまとまりを持って遂行される」

私はこれを「やればやるほど、上手になっていく身のこなし」という言い方をしてきました。これは機能の種別としては筋力、持久性、柔軟性、平衡性、俊敏性などの要素に分けられます。これらの中で乳幼児に必要なのは、これらの他に目と手がスムーズに連動するなど協応性が大切になります。

◆生活の中で身につく「習慣的技能」

さて、このように、いろいろな運動技能を考えると、現代の「便利な生活環境」の中では、意識して計画しないと経験できないものがあります。例えば、高いところに自力で登る、降りる、地面に手をついて体重を支える、地面を蹴って跳び上がる、上下逆さまになる、といった動きです。これらは昔に比べて極端に少なくなっていると言われています。これらの運動技能は毎日の生活の中で「習慣的技能」と言われることもあります。体全体の動き(粗大運動)だけでも歩く、坂や階段をのぼる、走るなどいろいろありますね。手指の運動(微細運動)もスプーンや箸などの食具を使うこと、歯磨きや衣服の着脱、お絵かきなどもそうです。

◆遊びの中で育てたい「知覚的技能」

このような動きを生活の中に取り入れることが大切ですが、もう一つ大事な運動の領域があります。それは「知覚的技能」と連動するような運動です。粗大運動なら「鬼ごっこ」がわかりやすいでしょう。どのようなことかというと、刻々と変化する状況に合わせて、自分の行動を目的に合わせて変化させることができる技能です。その場合に目で見たり、触れたりといった知覚的な機能を上手に使って、自分の動きを調整します。縄跳びや、ボール運動、けん玉などもそうですね。対象を見たり、触ったりして、自分の身体を調整する必要があります。そこから「知覚的技能」と言います。目隠し鬼なら音を聞いて、ということです。手先を使う微細運動だと、LaQなどのパズル、折り紙、あやとり、コマ回しなども入ります。

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