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園長の日記

がっかりだった安倍首相会見

2020/02/29

年に一度、オリンピック年でもある閏年だけにある今日229日、固唾をのんで見守った午後6時からの安倍首相の記者会見でしたが、私が期待して注視した乳幼児590万人については全く触れることはありませんでした。かろうじて学童保育所と小さい子どものいる家庭に対して、政府だけでは果たせない課題だからと懇願しただけでした。

ご存知でしょうか。厚生労働省は225日(火)の時点で、早くもたったA4一枚の通知を都道府県、政令指定都市および中核市の主管局課あてに流しています。その内容は驚くべきものでした。要するに新型コロナウイルスで保育士が感染の疑いなどで休職した場合に必要な保育士数が最低基準を下回っても問題としませんという内容でした。私は2重の意味で怒りが込み上げてきました。どうしてこんな通知が出せるのでしょうか。行政が最初から何もしないと宣言していいのでしょうか。大変な時だからこそ国民をサポートするのが、税金で働いる国家公務員の矜持ではなかったのでしょうか。

新型コロナウイルス感染症の発生に伴う保育所等の人員基準の取扱いについて

 

一つ目の怒り。厚生労働省はこれまで、保育園に対して諸外国のような「標準基準」を示すことは決してありませんでした。全く「サイテー」でしかない最低基準を長い間一度も見直さず、「0歳の赤ちゃんなら3人、1〜2歳なら6人、3歳なら20人、4歳5歳なら合わせて30人、保育士一人で保育できるでしょ」というのが保育士数です。しかも四捨五入などで、たとえば4歳5歳は46人いないと2人になりません。もし小学校なら切り上げなので31人になれば2学級で教員が2人になります。ついでに説明しておくと「赤ちゃんがハイハイして食事してお昼寝する面積は畳2枚あれば十分だよね」というのが面積の最低基準です。

このように、あまりにも少ない保育士数であるにも関わらず、今回のような緊急事態においてさえ「下回っても構わない」と通知一本でこの事態をすり抜けようとしているようにしか見えません。一時的にそうなっても仕方ないが、待ってください、その後、別の手当てを考えます、ならわかりますが。休校中の学校の先生が学童に応援に行ったり、保育士の資格があれば保育園の支援に回るなどできるでしょうに。厚労省と文科省が連携することはないでしょうが。

第二に「違うでしょ、逆でしょ」と言いたくなります。普段はともかく、このような時こそ最低な基準を「下回ってはいけない」と踏ん張って欲しい。なぜ逆なんでしょうか。そこが全くわからない。財政的あるいは人的拡充が必要な事態なのに、何もできませんから最低基準を守れなくてもとやかく言いません、なんとか頑張ってください。これは行政の任務放棄ではないでしょうか。これが子どもの最善の利益を謳っている子どもの権利条約を批准した先進国で経済大国のすることなのでしょうか。もし、通知のような事態が生じたとき、保育園内で事故を生じさせるわけにはいきませんから、私は最低基準を守りたいと思います。

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