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園長の日記

現代版「核兵器・病原体・飛行機」

2020/03/16

ジャレド・ダイヤモンドのピューリッツアー賞を受賞した著書に『銃・病原菌・鉄』がありますが、この本の論点は、西欧が新大陸を征服できたのは、地政学的に優位だった西欧が、銃と馬と病原体によって威力を発揮した、という話です。

これを新型コロナウイルスに当てはめると、大航海時代と現代との違いがはっきりします。移動手段は馬や船ではなく旅客機です。全く人の移動スピードが違います。日本ではヨーロッパからの帰国者から陽性反応が出ています。国境をなくそうと目指してきたEUでさえ、国境管理の厳格化が始まりました。例えばドイツは北からデンマーク、ルクセンブルク、フランス、スイス、オーストリアとの出入国の禁止に踏み切りました。

逆にG7緊急テレビ会議の開催のように、いまは対策も世界的な連携をはかることができます。国連を軸に世界中が一斉に対策を講じることができます。帝国主義時代のような時間差は、今はありません。ただし北朝鮮のように独裁国家による情報隠ぺいが続く数カ国が、今は最大のリスクですが。マスコミによる情報共有も瞬時です。メガファーマによる治療薬の開発競争も熾烈です。まもなく米国ギリアド・サイエンシズの治療薬レムデシビルなどの治験が済むので、市場に出回るでしょう。

地球はこんなに小さくなりました。病原体の伝染スピードも昔と全く違います。目に見えない微生物がこんなに素早く地球上をくまなく移動してしまうのですから、人類がいかにスピーディに移動する手段を獲得したのかを実感します。

と同時に、いかに大量の人間が協力して力を合わせることができるようになったのかにも注目したいものです。なぜなら、そこにしか人類の未来は開かないというのが、現代の「知の巨人」たちの共通認識だからです。

その協力する力の拡大を加速させること。例えば、国家間の消費量の格差を解消する方向へ向かうこと。そのために人類が協調性を発揮できるかどうか。その多くは先進国の責任です。この目に見えない、待った無しの人類の課題に目を凝らしましょう、いま地球規模の病原体と戦う時にこそ。

 

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