(園だより6月号 巻頭言より)
6月1日から保育園が再開します。25日からの登園準備保育(慣れ保育)で、久しぶりにお会いした方も多かったのですが、皆さん元気に過ごされたようで、ホッとしました。子どもたちも、一旦園生活に戻ってきてくれれば、すぐに元気に飛び跳ねて遊んでくれました。休園であっても、皆さんと少しでも繋がっていたくて、オンライン保育園で「つなぐ・つながるプロジェクト」を実践してみましたが、いかがだったでしょうか。保育園へのスムーズな登園に、ちょっぴりでもお役に立てたのなら嬉しいです。
この約2か月に及ぶ休園の原因である「コロナウイルス禍」によって、失うものも大きく、その影響はこれからも続くわけですが、その一方で「家で子どもと一緒に過ごせていい時間でした」という方や「仕事と子育てが一緒で大変でしたが、こんな経験は滅多にできないから、前向きに頑張りました」という方もいらっしゃって、それぞれのご家庭によって、自粛生活もいろいろだったんだなあ、と思えば当たり前のことに気づかされる今週でした。
日本も世界も大きな傷を負ったわけですが、今なお続くこの渦中にあって、返って「大切なものに気づくことができた」という話もよく聞くようになりました。緊急事態宣言が解除されても「以前と同じ生活には戻れない」「新しい生活様式が始まる」と言われます。これからは、人と人がマスクで遮られ、どこでも物理的な距離をとる生活が続くのだといいます。
ところが、それを保育に当てはめて考えると、変える必要があるものと、どんなに時代が変わっても、保育で変えてはならないものを、しっかりと見極めていくことも大事です。その一つが「子ども同士の関わりの中で育つものをなくさない」ということです。子ども同士の関わりで象徴的な言葉あります。それは「アタッチメント」です。日本語では愛着と訳されますが、本来は「くっつく」という意味です。子どもと子どもがくっつくこと。群れること。肌と肌が触れ合うこと。抱っこすること。先生の膝の上で安心を取り戻すこと。こうした「くっつくこと」ができなくなったら、もはや保育ではありません。
新しい生活様式になっても、子どもが育つために必要な条件まで、変えてしまっていけません。大人と大人がマスクによって、仮に隔てられた感じがしたとしても、心が通じ合うことまでなくしてはいけません。そこを決して見失わないようにしたいと思っています。