30日に行った「うく?しずむ?」実験をそばで見ていた先生に感想を聞き、私なりに色々な反省点が見つかったのですが、その話の中で「ひび割れたミニトマトは浮いた」ことを発見した3歳児クラスの子ども数名がいたことを聞きました。KKくんが「ミニトマトが浮いた」ことを話してきたそうです。実験では普通のトマトは浮き、小さなミニトマトは沈んだのでした。
私はあんなに水っぽいトマトは沈むんじゃないかと思っていたので、トマトが浮くこと自体に驚いたのですが、その後にやったミニトマトは、「それならこれも浮くんだろうな」と思ってやったら沈んだので、さらに予測が外れて、非常に面白い展開になったのです。
ところがです。子どもたちが、しかも3歳児クラスの子が、沈んだはずのミニトマトが浮いていることを発見したのです。先生によると、その時の子どもの様子は明かに意外性を訴えていたようです。さっきは沈んでいたのに浮いた!という意外性です。
このようなことに驚くことができることが、幼児がSTEM保育をやることの最も大きな意味があるところなのです。「さっきはこうだったのに、今度はどうしてこうなんだ!」ということに気づくこと。「知っている」ということではなくて、あれ!なんで?という気づきであり、小さな驚きです。そこから、試す、確かめるという活動を保育の中に用意していく必要があります。
そこで早速、家でやってみました。ミニトマトに傷をつけてしばらく水の中に入れておいたのです。すると、確かに浮きました。ミニトマト全体が水を吸って膨張して密度が小さくなったのです。それならと、試しに料理でトマトの皮を剥く時に熱湯につけると皮が縮んでむけやすくなりますが、ミニトマトを同じように熱湯につけておくと、最初は沈んでいたのに、皮がひび割れてくると、浮きました。
水に浮くか沈むかは、その物の比重が、水よりも大きか小さいかです。水の密度は1㎤あたり1gです。つまり「1㎤/g」です。ただし4°Cの時です。氷になると膨張して密度は「0.9㎤/g」と小さくなるので、浮きますよね。こんな密度や比重の概念は、子どもたちはずっとあとで学ぶわけですが、浮いたり、沈んだりする本当の理由を理解するために、その現象に「あれ、どうしてだろう、面白いな」と感じておく感性が「サイエンスへの扉」を開くのだと思います。