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園長の日記

らんらん組の保護者会を終えて

2020/11/09

らんらん組の保護者会、ご参加ありがとうございました。年中さんという年度の特徴を少しお話ししましたが、ちょうど「登山」に例えるなら、出発地点からは相当歩いてきたけれど、まだまだ頂上は見えないという感じに似ているかもしれません。でも、その山道の途中が、実は一番、山らしい山道だったりします。ちょうど今が、自分と世界が「つながっていく橋」を架けている真っ最中なのでしょう。その橋から、時折見せてくれる綺麗な風景を、探しながら一緒に歩いていきましょう。

子どもたちは出会う「世界」を自分の中に取り入れるために、近づき、触り、試し、やってみて判断することが多いものです。いったん真似したり、使ってみたりして学んでいくのでしょう。その中には、子どもに身につけて欲しくないもの、やってはいけないものもあり、大人はそれも学んでいって欲しいと願っています。言って欲しくない言葉もそうですね。

それで、相手がどのように感じるか、どんなに思うか、それもいったんは使ってみて確かめたいものかもしれません。その確かめ方は子どもによっていろいろですが、私たちが好ましくないと考えるものは、その「価値」を伝えないと、分からないままになるでしょう。世界は子どもと一緒に作っているからです。彼ら彼女らも、いずれ世界をになっていくことになるからです。

そうやって価値は時代とともに変化していきます。昔「クレヨンしんちゃん」が下品だからと視聴反対運動が起きたことを思うと、「鬼滅」の映像が簡単に受け入れられてしまっている時代に、私などの世代は、隔世の感を禁じえません。時代は大きく変わってしまったのでしょう。

何が良くて何が良くないと判断するか。アメリカ大統領選もそうでしたが、その「善さ」の価値判断を支えるものは、「自分も他者も傷つけない」という共生の価値観に根ざしているかどうかです。なぜなら、人間は相手があっての自分、他者があっての自己だからです。人が幸せでないと自分も幸せになれないという20世紀にたどり着いた社会理念の結論は、今世紀になってさらに一歩進んで、世界の持続可能性を目指し始めているからです。保育界ではそれを「私は私たち」という標語で語ってきた歴史があります。

千代田せいがの保育理念は、まさに「共生と貢献」です。子どもたちが、本当の鬼は自分の心の中に棲んでいることに気づき、それに打ち勝つ「克己」の方がかっこいいという美意識に気づくにはどうしたらいいのか、そんなことまで考えてしまいました。ただし、覇権を行使する存在があるのも事実。難しい時代です。

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