「ボクは○○をやる!」「ワタシは○○役!」そんな会話がご家庭でも始まっていることでしょう。12月中旬の15日から始まる「お楽しみ会」上映会に向けて、16日〜21日の週は劇遊びや生活劇遊びを楽しむ時間が増えました。ちっちは大好きな絵本を主題にしたもの、ぐんぐん組も生活の中で好きな遊びを取り上げます。にこにこ組は絵本の「てぶくろ」、わいわい組は「大きなかぶ」、らんらん組は「ももたろう」、そしてすいすい組は「エルマーの冒険」になりました。
どんな劇を選ぶかは、子どもたちが決めます。これまで親しんできた絵本や物語の中から取り上げます。この時もまた、子どもの「やりたい」という意欲を大切にします。幼児になると、子どもがいくつかの候補の中から選びます。
ちょっと話が寄り道しますが、人は楽しい、面白いと思っているものはなんでも、「またやりたい」「もっとやりたい」という気持ちになります。これを保育では「心情」と「意欲」の関係としてとらえます。いろいろな気持ちの中で「意欲」は特別なものです。「また」とか「もっと」などの副詞で表されることの多い意欲の姿です。楽しい、面白い、嬉しい、おかしい、こうした心情は形容詞で表されることが多いものですが、そうした心情の中でも「意欲」は特別なものです。
さて、話を戻すと、ごっこ遊びや劇遊びは役割分担があって、その想像の人や役になりきって遊ぶものなので、一人遊びではなく複数の子どもたちが1つの世界を共有しないと成立しません。家族ごっこだったら、「ボクお父さん役、ワタシお母さん役、じゃあボクはお客さん役・・」というように、お互いに想定している世界と役割をお互いに了解し合っていないと成立しません。
それぞれが役を持って一緒に作り上げる、という意味を理解できるようになってくるのは、にこにこ組ぐらいからです。劇遊びの場合は、話のところ所に「やりたいサビ」のような場面があって、それを繰り返し楽しんでいるうちに、あっという間にフィナーレを迎えていた、という自然が流れがあります。
定番となっている「お話」は、そうした同じ構造を持っています。3回ぐらい同じ繰り返しがあって、今度は誰が出てくるんだろう?、今度はどうなるんだろう? という子どもの想像力が刺激されます。次に何が起きるんだろうというように想像しやすくて、小さな変化が大きな変化や結末を生じるようなストーリーになっていて、そこには小さな人生があるような話です。
何事も、繰り返しやっても飽きがこないもの。そういうものには芸塾的なものが含まれています。アートになっていると言ってもいいでしょう。子どもが繰り返し楽しんでいる様子を見ていると、その「お話」には、繰り返しに耐えうる芸術性があると言っていいのでしょう。
仕事でも同じです。職場をストレスの少ないものにするには、アートデザインが大切なように、生活の営みに「美」は不可欠なのです。
小学生の勉強もそういう要素で満たす必要があります。そうしたことを詳しく解説しているのはルドルフ・シュタイナーですが、乳幼児の場合は特に、生活全体をファンタジーで包んであげておきたいものです。ちなみにワタシはお楽しみ会の「美術」を担当します。