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園長の日記

「やりたいえん」の劇遊び

2020/11/25

一日保育園にいると「これ見て!」と10回以上は言われます。同じように私が何かを作っていると「何しているの?」「私も(僕も)やりたい!」と必ず言われます。これだけ「やりたいだらけ」「まってられない」生活なので、保育園の名前もそうした名前にしたいほどです。中川李枝子さんの名作絵本に「いやいやえん」がありますが、それに倣うなら「やりたいえん」です。

どのゾーンで過ごすか、何をして遊ぶか、どの絵本を選ぶか、何をどれくらい食べるか・・・いろいろは選択の連続ですが、その中にもさらに小さな判断が積み重なって「その子らしく」が出来上がっていきます。実は明日の誕生会は絵本『じゃがいもポテトくん』を子どもと一緒に劇遊びにしてみるつもりなのですが、4人家族のじゃがいも家族のうち、お父さん、お母さん、妹の役を子どもに頼んでみました。すると、男の子でも率先して妹の「いもーぬ」役を選ぶ子もいれば、主役の「じゃーむす」じゃないと嫌だという子もいます。

劇遊びの中で「何になってみたいか」ということから「その子らしさ」が見えてきて面白いです。お母さんの「じゃじゃりん」をお願いしようと思っていたSさんが明日お休みなので、代わりにKくんがやってくれることになりました。子どもにとって、何かになってようとすることは、その子が抱いているそのイメージが肯定的かどうかにもよるのですが、すいすいくらいになると、全体のお話のためにその役が必要なら「やってもいい」という譲歩ができます。男の子だけどお母さんを引き受けてくれたKくんは「明日だけだよ」の条件付きでやってくれます。

単なる「やりたい」から、全体のためなら「やってもいい」という意識を持てる成長です。劇遊びにも悪役がないと面白くない、と思えるかどうか。いわゆる自己中心性の脱却ということですが、これは One for all ,  All for one の精神へとつながっていくものと言っていいでしょう。役割分担のある遊びの意義は、この発達の筋道の中にあるから大切な遊びということになります。このテーマは、今年の成長展でも取り上げる予定です。

 

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