お楽しみ会上映会3日目の17日(木)、これまでで最も多い観客数となりました。親子で鑑賞してもらっている様子を見ていて、とても大切なことに気づきました。それは、映画館がお楽しみ会場と似た雰囲気になったことです。子どもが映像で流れてくる歌を一緒に歌ったり、劇のセリフを思わず呟いたり、手遊びを一緒にはじめたり、親御さんの隣で、あるいは膝の上で、親子共々、楽しそうに過ごしていました。このようなリアクションが生じることで、映画館が黙って静かに観るという空間ではなく、ライブ会場と同じような空気に少しだけなっていたのです。
今回の「お楽しみ会」は、劇遊びの様子を撮影して上映するという方法を選んだのですが、その検討過程でネット配信も考えました。しかし今回はそこまで踏み切りませんでした。というよりも、一旦はこの方法でどうなるのか、試してみたかったこともありました。そして、今日の回で「ライブ感」のある上映会というもののよさを見出すことができました。
分散型、小規模という制約があるので、人数制限や予約制という条件が伴いますが、規模は小さくても「親子で一緒に観る」ことは、とても大切なことが含まれています。乳幼児は本来なら「テレビを見ない」という理由と重なってきます。一方的に流れるテレビの映像は相互性がありません。見ているこちらからテレビ側へ働きかけることができません。受動的に見るしかありません。そこに発達上の心配なことがあります。
ライブという上演方法は演者と観客の相互作用があるので、お互いが1回限りの、その都度の、相互影響を生みます。子どもはそのような関係の中で育つことが望ましいのです。そこで仮に乳幼児にテレビを見る時は、子ども一人で見せないで、親子で見るようにしましょう、というのが日本小児学会などの見解ですし、シュタイナー教育の見解だったりします。
これと同じように、撮影された映像であっても、親子で見ることで子どものリアクションを親が受け止めたり、一緒に体を揺らしたり、一緒に心を通わせていくことで、子どもの表現がそこに成立し、映像を能動的に受け止め返すことができると言っていいでしょう。最近はミュージシャンのドキュメンタリー映画が流行していますが、観客も一緒に歌ったりできる映画館もあります。
今日の上映会では、感染予防対策を講じながら、お楽しみ会が「リアクション付きミニシアター」になるという、新しい可能性を感じることができたのでした。