【園長の一日】
7時に出勤して、メールのチェックと日々の動きの確認。朝8時30分のスタッフミーティングのあと、9時から園内をチェックして回り、その後はコピー複合機の会社に電話してスキャン機能を拡張させ、10時に2冊児クラスの入園先を探している方に園内を案内し、10時45分から、子どもたちがどのように遊んでいるかを見て、11時30分に来園したレンタル会社の見積もり提案の説明を聞き、12時20分から2階で昼食を楽しむ。14時30分からは会計システムの操作方法を打ち合わせ、16時30分からは、今日のメインイベントである3歳4歳5歳児クラスの保護者会に参加しました。その後、来客が3人あって8時まで話し込む。細切れの時間には、電話やメールやラインでの連絡やネットでの発注などが途切れることがありません。この1週間、こんな日々が続いています。
【コンタクト・タイム】
この中で、保育士でもある私の専門は、コンタクト・タイム、つまり子どもと接する時間にあります。この時期がなくなってしまったら、保育園にいる意味がないでしょう。保育で何が起きているかがわからなくなってしまうからです。野球なら試合会場にいない監督、味見をしない料理人のようなものかもしれません。
さて、今日のコンタクト・タイムで発見したことがあります。それは保護者会で言いそびれたことですが、集団の育ちの意味についてです。
3歳4歳の子どもたちは、この1週間で随分と保育園生活に慣れてきました。どのゾーンにどんな遊具があるか、その遊具ならどんな遊びができるか、誰と一緒に遊びたいか、そんなことがわかってきて、面白いと思う遊びを選んで過ごしています。
思い思いの遊びに熱中しています。複数の子どもたちが店員さんやお客さん、親と子どもといった役割を演じながら遊ぶロールプレイングのような見立て遊びはあまり見られません。それよりも1人で、思う存分、楽しみたいと言う感じです。
ただ、こんな貴重な瞬間に出会えました。ごっこ遊びのゾーンでした。お椀いっぱいに色とりどりの食材が山盛りになった丼ものが2つありました。ある男の子が「一緒に食べよう」と言うと、もう1人の男の子が「いいよ」。すると、「わーい」と喜んでいます。この「わーい」は、〈嘘っこ〉の「わーい」ではありません。ごっこ遊びの中で本当に喜んでいるのです。こうやって友達ができていくんですね。
【先生の役割】
私たちは、こんな子どもたちの育ちの状況を「集団の育ち」と言う言葉でとらえることがあります。バラバラに遊んでいるように見えるみたて遊びのゾーン。そこで担任はこんな援助をしていました。うちの職員ながら、さすがだなと思いました。何をしたかと言うと、「いただきま~すをします。用意はいいですか」と言う、毎日食事の時にやっている挨拶をつぶやきだしたのです。すると子供たちが一斉に寄ってきました。2人しかいなかったその場に、数人が寄ってきて「食事ごっこ」を始めたのです。
【楽しい体験が、みたて遊びを生む】
子どもたちの中に同じような体験が増えていくと、関わりのある会話も弾んでいくことでしょう。〈嘘っこ〉なんだけど、共通する世界を分かち合って、その世界に入り込んで豊かに遊びを展開する、そんな姿が見られるようになっていくのも、時間の問題です。友達ができて仲の良い関係が深まっていくと、楽しいことや面白い体験をしたら、それをもう一度再現したいと言う衝動に駆られるものです。それが制作になったり絵になったり、そして役割分担遊びになったりしていくのです。自然とそのような遊びも増えてきます。楽しみですね。