あさ私に会うなり「園長ライオン」とニコニコしている子どもたちがいます。私と心を通わせたいのです。これが誰にも教わらなくてもできる自然なあいさつです。その後、使わなくなった紙おむつをいただいたのですが、その時「もう使わないんだ」と教えてくれるSくんの、ちょっと誇らしげな表情が微笑ましいような、これも朝のあいさつ。朝会が終わって階段を登ると、照れたような顔をして「園長先生」と笑顔を見せてくれるKちゃんや、Yちゃん。何かいいたそうな、でも口に出していう言葉が見つからないような、でも私と会って嬉しいという顔つきなので、私から「おはよう」というと二人からも「おはよう」という言葉が返ってきました。これも、自然な気持ちの通いあいです。
散歩に出かけるのは10時前ごろ、玄関は元気な子どもたちが「いってきま〜す」の代わりに「いってらっしゃ〜い」と言いながら出かけていきます。これも、保育園ならではのあいさつ。散歩から帰ってくると「ただいま〜」の代わりに「おかえり〜」と息が弾んでいます。それぞれの「楽しかったこと」が「ただいま〜」の勢いにこもっているかのようです。Fちゃんは、いっぱい体を動かしてきたかな。今日はお昼寝でぐっすり眠れるかな。そう思いながら、バギーの扉を閉めてあげました。
昼食は乳児は「パチパチ、ハッチンよ〜い、パチーン! いただきます」というご挨拶。幼児は歌を歌って、お当番さんが「用意はいいですか」「いいですよ」「それでは、みなさん、ご一緒に、いただきます」といって食べ始めます。これも食事のあいさつ。お昼寝は乳児は先生が「父さん、母さん、姉さんも・・・ねんねしな、ねんねしな、ねんねしな。おやすみなさい」という童歌風のお昼寝のあいさつの歌を歌ってあげると、ぐんぐん、ちっちさんが自分で布団にトコトコ移動して布団に寝ます。
挨拶というのは不思議なもので、ある人と人の出会いと別れのたびに交わすのですが、それが毎日繰り返されることが何より幸せなことだということを確認し合うものなのかもしれません。あいさつに込められる気持ちが、通い合うかどうか。子どもとっての「ごめんね」も「ありがとう」も、気持ちの繋がり方を、覚えていくためにあるように見えます。気持ちのこもっていない言葉は、心を動かされることがないことを、子どもの方が本質的に了解していると言えそうです。