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園長の日記

将来を思い描きながら現在をよく生きる

2021/11/27

(園だより 12月号 巻頭言より)

12月になると、卒園や進級に向けた生活が増えてきます。小学校以降の生活とのつながりを考える機会も増えてきます。この生活は、保育園だけで完結できるものではなく、小学校以降の生活と学びにもつながっていくものです。中学、高校と進学していくこともそうですが、さらにその後の社会人としての生活は、世界中の人々にとって、望ましい未来を作り出す仕事や生き方である必要があります。このことは昔に比べてSDG’sのように、とても身近なことに感じられる時代になりました。大人も何がしかを学び続けることになります。

そういうことを思う時、もともと保育は、将来に必要となる力の基礎を育成するという役割があると同時に、現在の生活と遊びを豊かにしていくという役割があることを思い出します。この二つのことは別のことではなく、同時に満たされていくようなものになります。このことを、保育所保育指針は「保育の目標」として「現在を最もよく生き、望ましい未来を作り出す基礎を培う」という言葉で表してきました。

では、望ましい未来とは、どんな未来でしょう? 現在を最もよく生きるとは、どんな生き方でしょう?

この二つに分かれているように思える方向は、昔からずっと考えられてきたテーマと言えます。たとえば、私たち保育者は、必ず保育者論のなかでルソーを学ぶのですが、望ましい未来についての考察が「社会契約論」になり、現在を最もよく生きることについての提案が「エミール」になるのです。この二つの領域のことは、切っても切れない関係になっていて、両方をセットで考えていく必要があります。ルソーもそう考えていました。

将来の社会は、一人ひとりの能力を発揮されやすいようにすることと同時に、協力したり、助け合ったりしながら、共生社会を実現することが必要になります。どうやったら自分らしく貢献できるか、何をすることがそうなることなのかを考えながら、自分のキャリアパス(進路)を探り続ける社会になっていくでしょう。

私たちの保育園の保育目標は「自分らしく、意欲的で、思いやりのある子ども」ですが、自分らしくあるためには、その持って生まれた多様な個性がそのまま発揮されるような生活や遊びを用意しておく必要があります。発達課題にあった生活や遊びが選択できるようにします。そしてお友達の気持ちに気づいたり、どうしたらもっとよくなるかを考えたりすることが楽しいという生活を体験していきたいと思います。

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