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園長の日記

サンタが届けるもの

2021/12/24

あの、歌にも歌われている「あわてんぼうのサンタクロース」が、一日早くほんとうに保育園にやってきて、「今晩、子どもたちのお家におもちゃを配りにいくんじゃ」とフィンランド語で話してくれました。「そうそう、みんなにもプレンゼントがあるぞ」と、見せてくれると、子どもたちに「わ〜っ」と嬉しそうな笑顔と声が広がりました。サンタクロース、「来てくれるのかなあ」、と楽しみにしていた子どもたちには、特別な1日になったようです。

ちょうど先週からマルクスの書いた「資本論」についての斉藤幸平さんの解説書を読んでいて、サンタクロースのプレゼントは商品でもないし、お金で買うわけでもないし、そこに労働もない。「商品〜貨幣〜商品」でもないし、でも、子どもたちの喜ぶ富がある。でも、大事な社会へのメッセージがあるだけどなあ〜と考えていました。

そして自問自答が続きます。「そりゃ、そうさ。これは、おとぎ話だから、現実の資本主義社会じゃないから、こんな夢〜プレゼント〜感謝という関連が成立するだけさ。だって、本当は、おもちゃもケーキもお金で買わないと手に入らないし、それを作ってくれた労働者たちがいることを、忘れてもらっては困るね」と、私の中から、誰かの聞こえてきます。

それでもサンタクロースはいてほしい。資本の論理ではなくて、格差を無くしたいという思いからサンタクロースが生まれた歴史に思いを馳せるなら、この子どもの夢を叶えてくれる存在が、世の中にはしっかりあるんだという実感を、子どもたちに伝えたい。私たちは、本当の世界にサンタクロースを作り出さなければならない時代に直面しています。それはどんなサンタなんでしょうか?

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