ぐんぐん組のブログを読んでいると、言葉の獲得が子ども同士の世界を広げていく様子がよくわかります。よく物の取り合いなどの場面で、手を出したりする前に「ことばで言おうね、かして、って」などと促すことがよくあるわけですが、大人のそうした働きかけは、何をしているのかというと「行動の世界」を「ことばの世界」に置き換えていくことを促していることになります。これが、この時期の子どもたちの成長課題になっています。気に入ったものを自分もやりたい! だから自分もやるから取る、ということは「行動の世界」から見れば、それとして成長してきた証になるわけですが、それを「しつけ」つまり社会的なルールの獲得という、文化継承の面から見れば、相手の思いを尊重しながら承諾を得るというステップがどうしても必要なことを学んでもらう必要があるわけです。
そこで、例えばジェスチャーで、”それを僕もやりたい!”と、身振り手振りで表現してみてもいいわけですが、そこで人間の場合は、その表象の役割を言葉が担うようになっていくから、とても不思議で、面白いのです。ちょうど満1歳ごろから言葉を話し始め(初語)、人との関わる体験を積み重ねることで相手の意思や意図を理解しながら、自分の行動をコントロールしていくことができるようになってきます。その関係性の発達に合わせるように、「行動の世界」に「言葉の世界」が浸透していきます。ことばによる気持ちの通じ合いが体験されていくのです。その様子が子どもたちの遊びの姿からはっきりと読み取れる時期に、今ぐんぐんさん(1歳児クラス)はいます。
ことばが行動になり、行動がことばになって、その行き来が行われる中で、言葉の獲得が進んでいくのですが、見方を変えると実践しながら言葉の意味と使い方を身につけていくようにも見えます。この言葉の誕生期は、人間らしさの誕生と言ってもよく、もう一つの生きていく世界を自分のものにしています。子ども同士の関係の中で培われているものの豊かさを感じますね。