園だより5月号「巻頭言」より
年長のKHさんが朝のゾーン決めの司会をしています。「どのゾーンがいいですか?」 すると「はい!」「はい!」と手があがります。手が真上にピーンと伸びています。その手は「ねえ、ボクをあてて!」と主張しています。かわいいですね。
司会「〇〇ちゃん」
子ども「運動ゾーン」
司会「なんのゾーンがいいですか?」
子ども「パズルゾーン」・・・
こんな集団の中で会話を繰り返して、朝8時30分からの3階の生活が始まります・・
こんなやりとりを毎日、いろんな場面で繰り広げているわけですが、ここには「目標の達成」「他者との協働」「感情のコントロール」と言う、社会情動的スキルを育てるという大切な保育テーマが盛り込まれています。どこで遊びたいか、それぞれの目標を達成するために「他者との対話」を通じて、全体を通じて「協力すること」が求められます。その中で「最初にやるより2番目にやろう」とか、「先にこっちで遊んで、それまで待とう」とか、「今度はこっちにしよう」という「実行機能」が使われていることがわかります。
また、一方で今週から、すいすいを主に相手にした「園長タイム」が、朝の運動や午後の絵本の読み聞かせなどで、割り込ませてもらっています。30分から1時間ほどの関わりですが、その間に、子どもの特性を理解したり、興味や関心を把握したりしています。そこから見えてくるものは、これからの生活の道標になっていくのですが、短い時間ながら面白い発見がいっぱいです。
絵本を読んであげていると、単語の理解度や集中できる時間の長さ、面白いと思うポイントの違い、その子独自の反応の違いなどがあって、頭の中で何を想像しているのかが感じ取られて楽しいのです。今週は「エルマーの冒険」を読み始めましたが、やっとみかん島のクランベリ港に無事に到着しました。枝つきとうもろこしの袋と勘違いされて見つからずに済んだ件(くだり)は、その面白さがわかったかどうか、微妙な理解度だったあたりも、「どうかなあ、通じるかなあ」と思いながら読んでいます。ああ、そう言うことか、と後で微笑んでいる子もいて、いい時間だなあと感じるのです。