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園長の日記

社会情動的スキル13  感情の進化

2022/05/06

(福田正治 富山大学医学部行動科学 「感情心理学研究」感情の階層性と脳の進化 より)

ここで何回か紹介してきた経済協力開発機構(OECD)の2015年の報告書は、子どもたちが「望ましい結果」(心身の健康や学業の成績など)をもたらすために「社会情動的スキル」を身につけることが必要だと主張しています。また、日本の国立教育政策研究所も「非認知的(社会情緒的)能力の発達」について大規模な研究を続けています。幼少期の経験が大きくなってからの「望ましい結果」に影響するというわけですから、私たちの子育てや保育も無関心ではいられません。実際のところ、縦断研究などによるエビデンス(根拠や証拠)に基づいて、保育所保育指針は改定され、乳幼児保育の充実や「非認知的側面」が強調されるようになってきたのでした。

そこで、私は「そもそも」のところから話を整理しながら先に進めますが、何度か話してきたように、社会情動的なものは、人と人の関係の中で発生する情動(感情や心情、感性、フィーリングなども含まれます)ですから、それはとてもたくさんあるわけで、赤ちゃんや乳幼児と一緒に生活していればわかりますが、大人のように繊細な感情はまだ発達していません。そもそも、感情はどのように進化発達してきたのでしょうか。動物も持っている感情と私たち人間だけが持っている感情とは、何がどのように違うのでしょうか。その上で、これからの未来社会に向かう時に、社会性を伴う情動について、どんなことが大事だというのでしょうか。

私たちの持っている感情には進化の歴史があります。それをざっと簡単に振り返っておきましょう。宇宙は137億年の歴史がありますが、太陽系が45億年まえにできて地球も生まれました。シアノバクテリアのような原始生命が発生したのは35億年まえ、その頃、植物も誕生し、アメーバやゾウリムシのような原生動物は7億年前に登場します。4億年前には魚類が、3億年前には蛇やトカゲやワニなどの爬虫類が出てきます。子どもたちが大好きな恐竜もその頃です。その後にネズミのような哺乳類が2億年前ごろから細々と今に至るまで続くのです。その哺乳類のうち700万年前にチンパンジーから類人猿が枝分かれして私たち人間と進化してきたことになるわけですが、さて、私たちが感じている、この「感情」は、いつ頃生まれて進化してきたのでしょうか。

感情をもっていそうな動物に対して、子どもたちは優しくなります。そもそも生き物への関心や共感は子どもはもともと持っているように感じます。自分の感情を対象に投影しているように見えます。最近のブログでよく見かけるアゲハの卵やダンゴムシ、スズムシの赤ちゃんの話です。これらの昆虫も動物ですが、金魚になると、わざわざ浅草の金魚屋さんに「金魚が病気になった、大変だ」と相談したくらいですから、どこかにカブトムシやスズムシとは異なる生き物の次元があるらしいのです。そんなことを思い浮かべながら、感情の進化の話を考えてみましょう。

 

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